無責任な開業医

2003年12月2日
内科の開業医で特に一人でやっているような先生からの紹介患者さんは大切な患者さんだ.

一人で診療を続けるのが大変なことは理解できる.診断もできずどうしようもなくて脳神経外科の専門医に紹介するというのなら喜んで引き受ける.

しかし最近そうでもないケースが目立つのだ.

脳外科で急な頭痛といえばクモ膜下出血で,もしそうなら救急車で搬送しても死亡する場合があるほど危険である.

だが,事務から事務への電話連絡のみで救急車で搬送してきたのには驚いた.私に連絡がきたのは救急車が到着してからだった.幸いクモ膜下出血ではなかった.

風邪による発熱で頭痛を訴える患者に検査どころかちゃんと診察もしないで,髄膜炎の疑いがあるからとこちらの外来を受診させたのには患者さんも呆気にとられていた.

なんでだろう〜なんでだろう〜(流行語大賞)
なんて言って患者さんと踊りますか.

もう何をやってんだかわからない開業医が多くて困ってるんです.

昔から週末近くになると自分の通院患者を紹介する開業医はいた.これは休日に悪くなってこられると困るからだろう.これも一種の責任転嫁だが,まあ悪くなってから来るよりいいか.

でも最近のはちょっと違うようです.

医療事故が毎日のように新聞に取り上げられる時代だから誤診が恐いのだろうか.それとも,医学知識をどっかでなくしたのだろうか.

自分で診断しようとした痕跡もないのである.当然,適切な処置も検査もしない.わからないけどとにかく専門医に送るって言う感じがありありだ.

これって個人開業医の自己防衛診療なんでしょうか.

健康保険が無駄に使われ,医師への信頼が低下し,さらに大病院での診療報酬の引き下げが行われる原因になるんじゃないの.

私のような勤務医には大迷惑.
患者さんに「いっぱいくわされましたね.」と説明しても一緒に笑ってくれるわけがない.

なんにもしてくれない病院になぜかかるの.
話だけ聞いて中身のない手紙を書くだけなら医師でなくてもいい.

あっ,そうか.
だから事務の人に電話させたんだろう.

国民に対して無責任なのは小泉首相だけではなかった.開業医にもこんな無責任な医者がいるのだ.

以前,クリニック開業した脳外科医が言っていた.「外来患者が頭に1万円札を貼ってきているようにみえる」と.開業するとお金にしか興味がなくなるのか.人間の脳とはなんと不思議な物.

うまい話をするだけの開業医には要注意.
自分の身は自分で守るしかないみたいだ.

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