『坂口力厚生労働相は十三日、二〇〇四年度の診療報酬改定案を中央社会保険医療協議会(中医協)に諮問、原案通り答申を受けた。四月一日から実施される予定。
 不採算で診療科の閉鎖が相次いでいる小児医療を支援するため、時間外診療などの報酬を引き上げる。病名や治療の種類ごとに医療費を定額にする「包括払い制度」の対象病院を拡大、医療の効率化を目指す。
 小児医療は(1)夜間・休日を診療時間内とする病院にも時間外加算を認める(2)時間外の初診料・再診料を引き上げる(3)開業医が他の病院の夜間・休日診療をした場合を評価する要件を緩和?などで支援。新生児の入院医療の報酬も上乗せする。
 病気の種類と治療に応じて入院医療費を定額にする包括払いには、医療費抑制のほか病院の評価が容易になるとの期待があるが、「医療の質などの検証が不十分」(日本医師会)との指摘もある。
 包括払いでは、従来の診療報酬明細書(レセプト)では把握が難しかった「同一基準による各医療施設の活動の評価」ができるようになる。例えば「脳こうそく、手術あり」という診断群による各施設の入院日数や医療費などの情報が公開される。医師は、患者の症状や治療などを踏まえた上で、日数や医療費などについて他病院との違いを説明することが求められ、患者が病院を選ぶ参考になる。』

まず,小児医療を支援とあるがこの程度では小児科医は救われないように感じる.多くの小児救急の病院では日中の業務の後に交代で夜間診療をやっているのが実態だろう.2人だったら1日交代である.それも毎晩のように救急でもない患者を連れた親がやってくるのであるから私だったらとても相手をする気にはなれない.

でも中には本当に救急の子供もいるのだろうから夜間小児科の救急をやっている病院の小児科医は忍耐を強いられるわけである.診療報酬でコスト面を改善しても助かるのは病院の経営で小児科医が増えないことには小児科医は支援されたことにはならない.

包括払いには、医療費抑制のほか病院の評価が容易になるとの期待があると書かれているが,この意味が私にはよくわからない.医療費抑制効果はもともとの狙いなのだということはわかる.要するにこの病気はいくらで治せと厚生労働省が勝手に決めるのだからいくらでも抑制できるだろう.ただし,質を落とさないのが前提だと一般人は思うだろうが,はたして現実にそうなるだろうか.

私は,そんなことは現実には起こらないと思う.理由は簡単だ.病院の経営側は包括払いを採用した途端に医師に診療コストの抑制を要求しだすに決まっているからだ.その結果は当然のことながら診療の切り詰めが起こるだろう.厚生労働省はそんなことは予想していてもひたすら診療報酬の削減を行うにちがいない.

小児の夜間診療をみてもわかるように社会問題化してそうとうひどいことになるまでは包括払い制度は改善されないだろう.介護医療を介護保険に押し付け,身体障害者や精神障害者福祉も介護保険に上乗せしようと画策し,さらに包括払いで保健医療の質の低下を病院の責任に転嫁しようとする厚生労働省は無責任発言のまかり通る小泉内閣をまさに具現化している代表的政府機関と言えるだろう.

どなたが書いているのかは知らないが,時々読んでいるある小児科医の日記がある.興味のある方はどうぞ.
http://www4.diary.ne.jp/user/412474/

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