土壇場で何を言い出すかと思えば..
2004年2月23日『経験が浅く、医療事故を招く恐れが指摘されている研修医のアルバイト診療追放に向け、厚生労働省は二十二日までに、アルバイトを禁止しない病院には国の補助金を交付しない方針を決めた。
厚労省が作成した「二〇〇四年度医師臨床研修費補助金について(案)」によると、宿日直研修費補助金(新規、六十億円)は「原則として雇用契約の中でアルバイト診療の禁止が明らかにされていること」と交付の条件を明記。さらに「適切な指導体制を確保した宿日直研修について補助を行う」とし、一年目の研修医の宿日直は必ず指導医や上級医と組んで診療に当たるよう求めるとしている。
従来、研修医が収入不足を補うためアルバイトを余儀なくされるケースが横行、診療技術が未熟で医療事故を招きかねないと指摘されてきた。厚労省が〇二年に公表した実態調査によると、同省指定の臨床研修病院の約76%がアルバイトを認めていないのに対し、研修医の収入水準が低い大学病院は約81%が容認していた。
アルバイト禁止には、研修医に一定水準の収入を保障することが前提となる。厚労省は収入保障の適正水準を他の医療職種を参考に、宿舎提供などの現物支給の現金換算分も含め「年収三百六十万円程度」としており、これを下回る病院に改善を指導していく方針だ。
だが、病院にアルバイト禁止を義務付ける法的根拠はなく、雇用主に当たる病院側に自主的な対応を取ってもらうしかないのが実情。厚労省は補助金交付の条件にアルバイト禁止を盛り込むことで、「基本設計」の理念が骨抜きになるのを防ぎたい考えだ。』
医師臨床研修が四月に義務化されるのを目前にして厚生労働省が何を言い出すかと思えば,今度は研修医のアルバイト禁止だそうだ.
この論調ではまるで研修医は医療事故を起こすと決めつけているようだが,この根拠はいったいどこにあるのだろうか?最近の医療事故をみても研修医もしくは卒後3年以内の医師が起した事故なんてほとんど報道されていない.むしろ中堅からベテランのほうが大きな事故を起しているではないか.考えてみればベテランのほうがよりリスクの高い治療にあたらなければならないのだから当然大きな事故に遭う確率も高いのだ.
研修医制度の問題点はいくつもあるが,指導医の立場でいうと迷惑この上ない制度であろう.研修医を指導し自分の仕事は終わらなくなり,研修医が事故を起したら責任もとってやり,おまけに当直回数は増え,給料は増えないどころか減る可能性もあるのではやってられないだろう.患者にも自分にもメリットはないからよほど教育熱心な指導医でないとまともなことは教えないだろう.熱心に教えたあげく下手に自信をもたれて事故でも起されたら大変である.
研修医もまるでゆとり教育の医学生版みたいな研修ではどうせ2年やったって実力なんてつくはずはないのである.いや,本人たちは勉強になると思って期待しているかもしれないが,医学の道は厚生労働省のお役人が考えるほど甘くはないのが現実だ.時間と労働にゆとりのある2年間研修で学べるものは少ないだろう.
まあ,挿管や心臓マッサージのできない皮膚科や眼科の医者や中心静脈栄養もできない整形外科医がほんとうに減ればありがたいが,どうせ研修が終わって5年もたてばできなくなってしまうだろう.そういう私も学生時代に産科に実習にいったが,今では手伝うことはできはしない.臨床研修はなんのためなんだろうか.
そういえば,某私立医科大学はあまりに事故が多いため危機管理について厚生労働省から指導が入ったらしいが,医療の安全性確保のための臨床研修をするぐらいなら多額の寄付金で入学出来るような医科大学はすべて廃止して医師になる者の資質を上げるところからはじめるべきだろう.
東北大学医学部では大学院生の半分が私立大学出身者という話も聞くが,今後はブランド研修病院で研修したレベルの低い医師が巷にあふれて大きな顔で診療する時代になるかもしれない.これも厚生労働省の基本設計にあることなのだろうか.まあ,そうなる前に研修医制度は破綻してくれるとは思うのだが...
厚労省が作成した「二〇〇四年度医師臨床研修費補助金について(案)」によると、宿日直研修費補助金(新規、六十億円)は「原則として雇用契約の中でアルバイト診療の禁止が明らかにされていること」と交付の条件を明記。さらに「適切な指導体制を確保した宿日直研修について補助を行う」とし、一年目の研修医の宿日直は必ず指導医や上級医と組んで診療に当たるよう求めるとしている。
従来、研修医が収入不足を補うためアルバイトを余儀なくされるケースが横行、診療技術が未熟で医療事故を招きかねないと指摘されてきた。厚労省が〇二年に公表した実態調査によると、同省指定の臨床研修病院の約76%がアルバイトを認めていないのに対し、研修医の収入水準が低い大学病院は約81%が容認していた。
アルバイト禁止には、研修医に一定水準の収入を保障することが前提となる。厚労省は収入保障の適正水準を他の医療職種を参考に、宿舎提供などの現物支給の現金換算分も含め「年収三百六十万円程度」としており、これを下回る病院に改善を指導していく方針だ。
だが、病院にアルバイト禁止を義務付ける法的根拠はなく、雇用主に当たる病院側に自主的な対応を取ってもらうしかないのが実情。厚労省は補助金交付の条件にアルバイト禁止を盛り込むことで、「基本設計」の理念が骨抜きになるのを防ぎたい考えだ。』
医師臨床研修が四月に義務化されるのを目前にして厚生労働省が何を言い出すかと思えば,今度は研修医のアルバイト禁止だそうだ.
この論調ではまるで研修医は医療事故を起こすと決めつけているようだが,この根拠はいったいどこにあるのだろうか?最近の医療事故をみても研修医もしくは卒後3年以内の医師が起した事故なんてほとんど報道されていない.むしろ中堅からベテランのほうが大きな事故を起しているではないか.考えてみればベテランのほうがよりリスクの高い治療にあたらなければならないのだから当然大きな事故に遭う確率も高いのだ.
研修医制度の問題点はいくつもあるが,指導医の立場でいうと迷惑この上ない制度であろう.研修医を指導し自分の仕事は終わらなくなり,研修医が事故を起したら責任もとってやり,おまけに当直回数は増え,給料は増えないどころか減る可能性もあるのではやってられないだろう.患者にも自分にもメリットはないからよほど教育熱心な指導医でないとまともなことは教えないだろう.熱心に教えたあげく下手に自信をもたれて事故でも起されたら大変である.
研修医もまるでゆとり教育の医学生版みたいな研修ではどうせ2年やったって実力なんてつくはずはないのである.いや,本人たちは勉強になると思って期待しているかもしれないが,医学の道は厚生労働省のお役人が考えるほど甘くはないのが現実だ.時間と労働にゆとりのある2年間研修で学べるものは少ないだろう.
まあ,挿管や心臓マッサージのできない皮膚科や眼科の医者や中心静脈栄養もできない整形外科医がほんとうに減ればありがたいが,どうせ研修が終わって5年もたてばできなくなってしまうだろう.そういう私も学生時代に産科に実習にいったが,今では手伝うことはできはしない.臨床研修はなんのためなんだろうか.
そういえば,某私立医科大学はあまりに事故が多いため危機管理について厚生労働省から指導が入ったらしいが,医療の安全性確保のための臨床研修をするぐらいなら多額の寄付金で入学出来るような医科大学はすべて廃止して医師になる者の資質を上げるところからはじめるべきだろう.
東北大学医学部では大学院生の半分が私立大学出身者という話も聞くが,今後はブランド研修病院で研修したレベルの低い医師が巷にあふれて大きな顔で診療する時代になるかもしれない.これも厚生労働省の基本設計にあることなのだろうか.まあ,そうなる前に研修医制度は破綻してくれるとは思うのだが...
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