絵に描いた餅
2004年5月26日『大学病院から地方病院への医師派遣など地域医療をめぐる問題を協議するため、北海道は24日、医学部を持つ道内3大学、公立病院を抱える自治体、民間病院などを交え「北海道医療対策協議会」を設置。地方病院への医師派遣を、3大学横断的に統一して調整するシステムを提案した。道によると、このような制度は全国初の試み。同システムは、各大学との個別交渉で医師派遣が認められなかった市町村のため、道を中心に、3大学や民間病院、自治医大卒業生などと幅広く派遣医師を調整する。来年度からの運用を目指し、8月の第2回協議会で正式に承認を得たいとしている。
24日の第1回協議会では、自治体側から「医師の数が足りないのだから、派遣窓口を一元化しても、うまくいくわけではない。国の医師養成の問題だ。道は国と対決するつもりはあるのか」などと詰め寄る意見が出た。医師の名義貸し問題などがきっかけとなり、全国的に医師過疎地域への効率的な医師派遣が求められている。』
結論から言わせてもらえば最も効率的な医師派遣を維持していたのが大学の医局制度だったのだが,名義貸しにからんで医局そのものが弱体化し医師派遣を維持することができなくなったというのが現実だろう.
そもそも医師の絶対数が不足しているのに医師の都市への集中が過疎地域での医師不足をさらに加速しているということもあるのだろうが,地方の病院にはいろんな点で医師からみて働きやすい環境がないということも忘れてはいけないだろう.要するに地方の病院は医師にとって職場としての魅力がないのである.
地方自治体の方にもわかるように具体例をあげると
1.大都市から遠い.
2.古い公宅も含め住環境が悪く事務職員の対応も悪い.
3.自分の入院患者はいないのに経営状態の話ばかりする院長
4.働かずに入院患者数や診療報酬の話ばかりする固定の部長
5.固定医より若いローテーション医師の給与を下げる議会
6.医師不足による休日返上を含む拘束時間の増大
などが若い医師にとっては問題だろう.
まだまだあるだろうがこのうち3つでもあればそんな病院に就職する医師は他の病院では雇ってもらえない医師か医局の命令でローテーションで来た医師だけだろう.その医局主導のローテーション制度が今まさに崩壊しつつあるということだ.だから地方自治体が経済的に行き詰っていくなかで地方病院の医師集めはこれからますます困難が予想され,病院の業績が悪化すればそれがさらに自治体財政の悪化へとつながっていくはずである.
これは医師数だけを増やしても改善はしないだろう.理想をかかげても環境の悪いところにいい医者は集まらない.現在は国立病院から医師離れが起こっているようだが経営状態の悪い公的な中規模病院からは優秀な医師はどんどんいなくなっていくと思われる.地方の公立病院はその点でもっとも経営の危ない病院であるからわざわざ希望する医師はいないだろう.もっとも地方の中規模病院の経営を悪化させているのは厚生労働省の診療報酬改定であることを忘れてはならない.
こんな状況で道が3大学や民間病院、自治医大卒業生などと幅広く派遣医師を調整するなどといっても非現実的であろう.おそらくこれら3大学の医局にはもう人的余力はないだろう.そもそも大学病院自体がこれから生き残りをかけて診療や研究に力をいれなければならない時期に地方の病院のことなどかまっていられないというのが本音だろう.大学病院の医師も名義貸し問題からアルバイトがしにくくなって困っているからといって地方病院に就職を希望するわけなどないだろう.
道による全国初の試みははじめから無理なような気がする.こんなことをやってる暇があるのならせめて道立病院や道立札幌医科大学附属病院で働いている医師の待遇改善でもしてあげれば医療の質も向上すると思うのだが.
24日の第1回協議会では、自治体側から「医師の数が足りないのだから、派遣窓口を一元化しても、うまくいくわけではない。国の医師養成の問題だ。道は国と対決するつもりはあるのか」などと詰め寄る意見が出た。医師の名義貸し問題などがきっかけとなり、全国的に医師過疎地域への効率的な医師派遣が求められている。』
結論から言わせてもらえば最も効率的な医師派遣を維持していたのが大学の医局制度だったのだが,名義貸しにからんで医局そのものが弱体化し医師派遣を維持することができなくなったというのが現実だろう.
そもそも医師の絶対数が不足しているのに医師の都市への集中が過疎地域での医師不足をさらに加速しているということもあるのだろうが,地方の病院にはいろんな点で医師からみて働きやすい環境がないということも忘れてはいけないだろう.要するに地方の病院は医師にとって職場としての魅力がないのである.
地方自治体の方にもわかるように具体例をあげると
1.大都市から遠い.
2.古い公宅も含め住環境が悪く事務職員の対応も悪い.
3.自分の入院患者はいないのに経営状態の話ばかりする院長
4.働かずに入院患者数や診療報酬の話ばかりする固定の部長
5.固定医より若いローテーション医師の給与を下げる議会
6.医師不足による休日返上を含む拘束時間の増大
などが若い医師にとっては問題だろう.
まだまだあるだろうがこのうち3つでもあればそんな病院に就職する医師は他の病院では雇ってもらえない医師か医局の命令でローテーションで来た医師だけだろう.その医局主導のローテーション制度が今まさに崩壊しつつあるということだ.だから地方自治体が経済的に行き詰っていくなかで地方病院の医師集めはこれからますます困難が予想され,病院の業績が悪化すればそれがさらに自治体財政の悪化へとつながっていくはずである.
これは医師数だけを増やしても改善はしないだろう.理想をかかげても環境の悪いところにいい医者は集まらない.現在は国立病院から医師離れが起こっているようだが経営状態の悪い公的な中規模病院からは優秀な医師はどんどんいなくなっていくと思われる.地方の公立病院はその点でもっとも経営の危ない病院であるからわざわざ希望する医師はいないだろう.もっとも地方の中規模病院の経営を悪化させているのは厚生労働省の診療報酬改定であることを忘れてはならない.
こんな状況で道が3大学や民間病院、自治医大卒業生などと幅広く派遣医師を調整するなどといっても非現実的であろう.おそらくこれら3大学の医局にはもう人的余力はないだろう.そもそも大学病院自体がこれから生き残りをかけて診療や研究に力をいれなければならない時期に地方の病院のことなどかまっていられないというのが本音だろう.大学病院の医師も名義貸し問題からアルバイトがしにくくなって困っているからといって地方病院に就職を希望するわけなどないだろう.
道による全国初の試みははじめから無理なような気がする.こんなことをやってる暇があるのならせめて道立病院や道立札幌医科大学附属病院で働いている医師の待遇改善でもしてあげれば医療の質も向上すると思うのだが.
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