薬の信憑性

2004年6月15日
『大学発ベンチャー「アンジェスMG」(大阪府豊中市)の遺伝子治療薬臨床試験のメンバーだった大阪大病院の教授や医師らが、同社の未公開株を事前に取得していた問題で、厚生労働省は14日、事実関係の確認などの調査に乗り出すことを決めた。株の保有や売却の時期など事実関係を確かめるとともに、患者へ治療薬を投与して安全性や有効性を調べる臨床試験(治験)データの信頼性に影響がなかったかを重点的に調べる。必要に応じて、関係者から事情を聴く方針。この遺伝子治療薬をめぐって同省は、2001年、臨床研究実施を、経過観察や患者選定を厳格に行うことなどを条件に承認。医薬品開発に向けた臨床試験実施の届け出も既に受けている。今回の問題では、臨床試験の公正さが問われているが、アンジェスMGは「研究には研究者の意図が含まれず、高い信頼性と透明性が確保されている」とする見解を出している。』

調査するのは当然であるが,治験をやり直さずに真に安全性や有効性のデータの信頼性を調べることは論理的に不可能であろうから事実関係の確認程度の調査で問題なかったなどと報告されても私は信用する気になれない.信憑性が疑われただけで治験を無効とするのが正しい処分であろう.

国内で保険適用になっている薬でさえも実際に使ってみて効果がよくわからない薬がたくさんある.現在は姿を消した脳代謝賦活剤などはそのもっともいい例であった.痴呆に効くといわれている薬や抗血小板作用がある脳梗塞後遺症によるめまいに効く薬なども私はあまり信用していない薬である.

実際に国内では薬であっても海外では効果がまったく評価されていないものもたくさんあると聞いている.製薬会社は現在すごい勢いで整理されているようで外資系の会社に吸収されてしまったところもあるようだ.国内産業保護のためには毒でも薬でもなければあってもいいという考え方もあるかもしれない.

外来をやっていると症状がよくなったのでもう薬をやめることをすすめても頭痛薬や末梢神経炎の薬などは患者さんがやめると不安だと言うので処方を続けていることも多い.ちゃんと説明してもこういう心理的依存状態の患者さんを説得するのは難しい.病院にかかったら薬をもらわないと安心できない患者にも問題があるということだ.

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