『--兵庫県警不祥事:パトカー1台で月8件検挙がノルマ--
兵庫県警自動車警ら隊の捜査書類偽造問題で、同隊員はパトカー1台(2人勤務)で月8件の検挙を「目標」として課せられ、未達成者は始末書を提出させられていたことが2日、分かった。こうした事実上のノルマ制や実績を点数化するシステムがプレッシャーとなり、一部の隊員を書類偽造に走らせる要因になったとみられる。関係者によると、月間目標は1台当たり刑法犯6件、特別法犯2件の計8件。未達成では原因や今後の対策をまとめた始末書を提出するほか、場合によっては翌月分に積み増しされることもあった。検挙内容も、自転車盗なら「40点」、バイク盗なら「80点」などとポイント化し、隊内で競わせていた。県警調査チームのこれまでの調べでは、虚偽公文書作成容疑で立件対象となる見通しの不正処理約10件はいずれも自転車盗などの「微罪処分」の被害者でっち上げだったことが分かっている。背景には、職務質問で自転車盗を検挙しても、所有者から被害届を出してもらわないと微罪処分にできない内規があった。この場合、隊員は、正式に書類送検手続きに入るか、検挙はあきらめて署に自転車だけを引き継ぐことになる。ある元隊員は「正式な書類送検は微罪処分の3倍くらいの手間がかかり、隊員も管轄署員も手が回らないのが実情」と打ち明ける。簡単に検挙件数とポイントを稼ぐ手段として捜査書類の偽造が考え出されたとみられる。』

診療報酬の低下,健康保険料の個人負担の増加による病院収入の低下により経営の苦しくなった病院では入院患者数の増加と平均在院日数の低下による増収をもくろむようになっている.すぐに精密検査のために入院させるのはそのためだろう.

さらに最近問題になった名義貸し問題は大学からの派遣医師の引き上げを加速させる結果となり新たな問題を引き起こす可能性がある.それは派遣医師を増員してもらうために手術数をふやさなければならないということである.

必要な医師数の目安として外来患者数,入院患者数,医師が行う各種検査数や手術数などがあるが,外科系科目ではやはり手術数が重要視される.だから同じ医師不足なら手術数の多い病院が優先され,手術数が多ければ診療報酬も上がり病院長からも歓迎されるわけだ.だから当然のこととして医師には手術数の増加が要求されることになる.

だが,よく考えてみると手術の必要な患者数が増えることはあり得ない.何か特殊な事情が無い限り病気や事故が急増するわけではない.カルテの捏造で手術を増やしても診療報酬増加にはならない.では,どうやって手術を増やすのであろうか.

脳外科領域で最近増加したのはなんといっても未破裂脳動脈瘤の手術である.脳ドックの普及と相関してこれは確実に増えた.昔は破裂してクモ膜下出血になってから手術していたものを破裂する前に手術するわけだから予防的手術である.だが,未破裂のものすべてが将来破裂するとは限らないので実質的に手術適応の拡大となり手術件数は増えたのである.

手術を増やすもっとも簡単な方法はこのように手術適応の拡大をすることである.それが適正に行われるのなら問題ないのだが,脳ドックのガイドラインでも手術を勧めていないような動脈瘤を手術しようとしたり,脳卒中のガイドラインでグレードDの手術をするのはどうだろうか.

本当に患者や家族のことを考えればこんなことはできないはずなのだが,他の病院での手術後のトラブルで相談に来た患者さんの話を聞いたり,遷延性意識障害で転院後の家族の話を聞いたりしていると手術適応を決める際に患者や家族が適切に情報を伝えられていないことが感じられる.だから多くの場合に手術の結果に患者や家族が納得できないので相談に来るのである.それなら患者が死亡すれば訴訟になるのも当然だろう.

そして手術適応を決めた医師の頭の中に患者や家族の利益以外のものがあったように感じるのが脳外科医としてどうにもいやな感じなのである.では,なぜそんなにまでして手術をしなければいけないのだろうか.残念ながらその答えは私にはよくわからない.やってる人に本当の理由を話してもらうしかないだろう.

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