『--1年で4人に3人退院を 精神障害者の復帰促す --
精神障害者が症状が重くないのに入院を続ける「社会的入院」解消を検討している厚生労働省の「精神病床に関する検討会」は26日、新しい入院患者が1年後に残る割合「平均残存率」を23-24%とするなど、具体的な数値目標を設定した報告書をまとめ、大筋で合意した。精神障害者の場合、入院治療を続けるほどの症状ではないが、受け入れ先がないためやむを得ず継続する社会的入院の解消が課題となっている。報告書には都道府県ごとの10年後の達成目標も盛り込まれている。平均残存率の目標数値は、既に上位の数県で達成している数値を平均した。1年以上入院している患者が、さらに1年後までに退院する割合を示す「退院率」については、28-29%を目指す。上位以外の都道府県は10年後の達成を目指し、現状と目標の中間値を5年後の目標と定める。さらに(1)症状が重い期間に手厚い医療を施す(2)退院支援を専門的に行う?体制づくりを目指し、患者に応じた病院の機能分化を進めることも盛り込まれた。』

『健康保険組合連合会は26日、大企業のサラリーマンが加入する健康保険組合の2003年度決算見込みを発表した。経常収支は、過去最悪だった前年度の3999億円の赤字から一転し、1385億円の黒字となった。黒字は医療費の本人負担分が1割から2割に引き上げられた1998年度以来5年ぶり。』

痴呆老人や寝たきり老人の社会的入院をなくすための介護保険制度がつくられた.次は精神障害者と身体障害者の福祉を介護保険に抱き合わせにするシナリオがすでにできているのだが,これは精神障害者の社会的入院をなくすための布石でもあったわけだ.なるほど厚生労働省らしいやり方だ.

健康保険組合連合会は黒字傾向になってほっと一安心したことだろうが,組合員たる国民は決して安心などできない.医療費や医療保険料が増えるとこまるのは国や企業もなのであるが,介護保険の主体である地方自治体は今後財政が悪化するだろう.そうなるといずれは地方税を上げざるを得なくなるだろう.

結局は老人や精神障害者の社会的入院にかかっていた費用は地方自治体の介護保険と個人が負担することになりサービスの低下と費用の増大などの問題が顕在化していくことになるだろう.そのいい例が最近の介護保険料の増大とグループホームの設置規制などである.

病院から追い出され,グループホームにも入れない老人は家庭で介護せよというのが政府の方針なのだろうか.共働きの夫婦には受け入れられない条件だろう.こんどはそれに精神障害者が加わるわけである.子供も老人も障害者もちゃんと面倒を見てもらえないで安心して働けるわけがないだろう.それとも女性はパートをやめて家にいるのが政府の理想とでもいうのだろうか.

税金はとれるだけ取っておいてこれはないだろう.福祉に関しては国はほとんどを地方自治体に丸投げにするつもりのように見える.だが,今のところ地方自治体の財源は限られている.もうそろそろ介護保険で破綻する自治体が続出してもおかしくない時期であるが,今後さらにその傾向は過疎地域で加速することであろう.

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