『--薬物入手に処方せん悪用 目立つ多重受診、コピーも 向精神薬で薬剤師会調査--

 覚せい剤と似た作用があるリタリン(一般名塩酸メチルフェニデート)や、ハルシオン(同トリアゾラム)といった向精神薬を、処方せんの悪用によって不正入手したケースが、2001年からの3年半に少なくとも30都道府県で128件あったことが21日までに、日本薬剤師会の自治体アンケートで分かった。
 1人で多くの病院で受診し正規の処方せんを受け取る「多重受診」の手口が目立ち、コピーの例もあった。向精神薬は幻覚などの副作用があり若者の間で麻薬代わりの乱用が懸念されているが、処方せんの取り扱いで対策を迫られそうだ。
 調査は昨年8月、全都道府県の薬務担当課に実施。01年1月から昨年8月まで処方せんを悪用して向精神薬を薬局などから不正入手した事例の把握分について、担当者に尋ねた。
 件数は01年に29件、02年に25件、03年に51件、04年は8月までに23件だった。03年からの急増が目立ち、発生地は首都圏や大阪府など大都市が中心だった。
 薬の種類は抗うつ剤のリタリンが48件、睡眠導入剤のハルシオンが37件。手口は「多重受診」が34件(17都道府県)で4分の1を占めた。処方せんを何枚もカラーコピーしたり、改ざんして処方日数を増やしたり、1から偽造するなどの方法もあった。
 日本薬剤師会の石井甲一(いしい・こういち)専務理事は「薬局にとって不正を見抜くのは難しく、勘だけが頼り。不正は急増しており、組織的な対応が求められる」と話している。』

 ハルシオンは悪い意味で有名になりすぎたのと,高齢者での副作用が多いため結果として非常に使いにくくなりもう何年も処方はしていない.他の睡眠導入剤があるのにいまだに処方する医師がいるのが不思議だが,こういう不正入手もあるのがわかっているのならやはり何らかの対策をとるべきだろう.

 医療のシステムと言うのは基本的に患者さんは善人という前提になっているようで,詐病による偽診断書にはじまり薬物の不正使用などに対してはほとんど無防備である.先日も救急トレーから薬物が盗まれる事件があったが,学校以上に不審者の侵入に対してもガードが甘いのである.病院内での盗難は時々ニュースになっており大学病院で患者さんの個人情報の入ったノートパソコンが盗まれたのも記憶に新しい.

 以前にも健康保険証のICカード化のことを書いたが,来院者のIDや投薬記録などの情報が健康保険証で確認できれば受付で簡単に本人確認や受診投薬歴が確認できて便利だと思うのだがどうだろうか.個人情報は自分で管理するのがもっとも安全なはずである.もっとも免許証と同じで常時携帯しなければ意味がないから,かえってわずらわしくて実現は難しいかもしれない.

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索