家族の同意があれば見殺しも可能
2005年3月27日 医療の問題『--人工呼吸器外し患者死亡 「家族の希望」広島の病院 県警が聴取へ--
広島県福山市の民間病院で今月中旬、院長が入院患者の女性の人工呼吸器を外し、死亡させていたことが25日、分かった。同日午後、記者会見した院長によると、家族の希望を受けたためだが、患者本人の同意はなく、院長1人で判断したという。広島県警は患者死亡の経緯について院長らから事情を聴く方針。
同病院などによると、女性は3月4日に入院し、腎不全と肺炎の治療を受けていた。チューブを通して人工呼吸器を取り付けた。女性は間もなく尿が出ないなど容体が悪化し、意識不明に陥ったため、家族が13日、「楽にしてあげてほしい」と院長に要望した。院長は「人工呼吸器を外すと死亡する」と説明した上で急きょ、家族の同意を確認する「承諾書」を作成。一家が署名したのを受けチューブを外すと、女性は間もなく死亡したという。
院長は会見で「間違っていなかった。今後は自分1人の意見ではなく、他のスタッフの意見を聞いて判断したい」と述べた。』
症状が悪化して担当医も治療をあきらめたということなのだろうか.だが,最近の家族の同意があれば治療を中止してもいいかのような風潮には賛成できない.治療の効果が上がらないからといって途中で家族の希望を簡単に受け入れるくらいなら最初にどういう状態になったら治療を打ち切るのかを本人や家族と決めておくほうがいいだろう.
人工呼吸器などは一度装着すると病状が回復していない状態で急に外せば死亡する可能性が極めて高いのであるから医師としてはいくら家族の希望があっても外したくはないものだ.家族もそんなことを希望するくらいなら最初から装着を希望しないほうがいいだろう.
では,救急外来ではどうしたらいいのだろうか.ドナーカードのように意識のない場合にどこまでの治療を希望するかの意思表示を書いたカードでも持ってもらえばいいのだろうか.本人の意思確認ができないときに家族の希望でどこまで治療するか決めることにどういう意味があるのだろうか.
できるだけの治療をした結果として遷延性意識障害の状態で寝たきりとなった患者さんたちもたくさんいる.これも医師の説明と家族の希望の結果なのだろう.だが,家族の希望で呼吸器を外したり経管栄養を中止できるのだったらどういうことになるのだろうか.そんなことは避けたいが,この医師の行為が正当化されるのだったらいずれ経管栄養の中止を希望する家族も出てくることだろう.
広島県福山市の民間病院で今月中旬、院長が入院患者の女性の人工呼吸器を外し、死亡させていたことが25日、分かった。同日午後、記者会見した院長によると、家族の希望を受けたためだが、患者本人の同意はなく、院長1人で判断したという。広島県警は患者死亡の経緯について院長らから事情を聴く方針。
同病院などによると、女性は3月4日に入院し、腎不全と肺炎の治療を受けていた。チューブを通して人工呼吸器を取り付けた。女性は間もなく尿が出ないなど容体が悪化し、意識不明に陥ったため、家族が13日、「楽にしてあげてほしい」と院長に要望した。院長は「人工呼吸器を外すと死亡する」と説明した上で急きょ、家族の同意を確認する「承諾書」を作成。一家が署名したのを受けチューブを外すと、女性は間もなく死亡したという。
院長は会見で「間違っていなかった。今後は自分1人の意見ではなく、他のスタッフの意見を聞いて判断したい」と述べた。』
症状が悪化して担当医も治療をあきらめたということなのだろうか.だが,最近の家族の同意があれば治療を中止してもいいかのような風潮には賛成できない.治療の効果が上がらないからといって途中で家族の希望を簡単に受け入れるくらいなら最初にどういう状態になったら治療を打ち切るのかを本人や家族と決めておくほうがいいだろう.
人工呼吸器などは一度装着すると病状が回復していない状態で急に外せば死亡する可能性が極めて高いのであるから医師としてはいくら家族の希望があっても外したくはないものだ.家族もそんなことを希望するくらいなら最初から装着を希望しないほうがいいだろう.
では,救急外来ではどうしたらいいのだろうか.ドナーカードのように意識のない場合にどこまでの治療を希望するかの意思表示を書いたカードでも持ってもらえばいいのだろうか.本人の意思確認ができないときに家族の希望でどこまで治療するか決めることにどういう意味があるのだろうか.
できるだけの治療をした結果として遷延性意識障害の状態で寝たきりとなった患者さんたちもたくさんいる.これも医師の説明と家族の希望の結果なのだろう.だが,家族の希望で呼吸器を外したり経管栄養を中止できるのだったらどういうことになるのだろうか.そんなことは避けたいが,この医師の行為が正当化されるのだったらいずれ経管栄養の中止を希望する家族も出てくることだろう.
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