『--主治医を業過致死で起訴 埼玉医大で不適切な治療--

 環境評論家船瀬俊介(ふなせ・しゅんすけ)さん(54)の長女真愛美(まなみ)さん=当時(14)=が、埼玉医大病院(埼玉県毛呂山町)で入院中に死亡したのは適切な治療を怠ったためとして、さいたま地検は14日、業務上過失致死罪で、当時主治医だった田島弘(たじま・ひろし)医師(50)=東京都世田谷区=を在宅起訴した。

 起訴状によると、田島被告は、体調を崩して入院していた真愛美さんに、2000年5月1日から28日にかけ、高カロリー輸液剤の点滴をする際にビタミンB1を並行して投与する指示をせず、同月30日に多臓器不全で死亡させた。

 船瀬さんらは01年2月、当時の浦和地検に未必の故意による殺人容疑で田島被告を告訴していた。田島被告は昨年、埼玉医大を退職している。

 船瀬さんはベストセラー「買ってはいけない」の著者の1人。船瀬さん夫妻は01年10月に病院と主治医らに損害賠償を求め提訴。東京高裁は04年11月「適切な処置が遅れたことに過失があった」として約4500万円の支払いを命じた。

 医師の起訴に対し、埼玉医大は「司法の判断を待ちたい」としている。』

 この記事を読んでまず思ったのは,「殺人罪というからにはビタミンB1を補給していればこの娘さんが必ず助かっていたということをどうやって検察が科学的に証明するのか」ということである.

 なにもしなければ死亡する患者に医療行為を施して救命もしくは延命することが治療で,医療行為を施してもその行為の一部にミスがあり結果として患者が死亡すれば殺人罪と家族はいいたいのだろうか.気持ちはわからないでもないが,娘が死亡した恨みを医師にぶつけたら気が晴れるのだろうか.

 訴えられたくなければ医師は重症の患者の治療を避けるのが懸命ということになるかもしれない.ところが患者や家族は医師を選ぶことができるのに医師は患者を選ぶことはできない.医師には病院に来た患者を診る義務が課せられているからだ.だから医療ミスを起こす医師に遭遇するのは患者や家族に選択ミスがあったといえるかもしれない.このように結果で考えると医療事故は虚しい話になる.

 患者が死亡したらどこかにミスがあったのではと疑われ,結果が悪ければ損害賠償を請求され,挙句に殺人罪で訴えられるというのが社会現象になるようなら医師にも患者を診ない権利を与えるのが公平だろう.医療行為とは信頼関係で成り立っているはずである.お互いに信じられない者が患者と医師の関係になるのが不幸の始まりだろう.

 そもそも病気とは患者のかかえる問題であり医師はそれに救済の手を差し伸べる存在であるということをお互いに忘れてはいないだろうか.もちろん患者の家族もである.

コメント

nophoto
かえ
2007年4月6日11:21

医者は、病気を治すこと、あるいは状態を向上させることを職業としている。そのサービスのお返しに高額の給料をもらう。医者の判断の間違いによって患者が死亡した場合、その医者が責任を取るのは当然のことだ。人の命を任されている以上、そのくらいの責任の高さがあってほしい。患者の抱える問題であって、生死の問題は医者の責任ではないというような医者には、自分や自分の友人も含めて決して看てもらおうとは思わないし、そのような医者は医者として失格だと思う。

nophoto
宇宙
2008年2月29日13:28

この「買ってはいけない」の人が、その著作の中で繰り返し繰り返し勧めているのが生協の食料品です。この著者は、今回の毒餃子騒ぎについて何かコメントしていますか?自分で生協を勧めておいてこの態度です。
これが共産党シンパと言う連中の正体です。「買ってはいけない」に騙されてはいけません。

ブログ脳外科医
2021年12月7日23:53

裁判で訴えられるリスクまで考えたら、『そのサービスのお返しに高額の給料をもらう』というほど高額な給料をもらっている医者ってどこにいるのかと思いますね。

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索