『人工呼吸器外れ心肺停止 東北大病院で80代男性患者

 東北大病院(仙台市青葉区)は15日、入院中の宮城県在住の80代男性患者の人工呼吸器が約25-30分間外れ、一時心肺停止状態になる医療事故があったと発表した。男性は蘇生(そせい)処置をして重症病棟で治療中だが、意識不明という。

 病院によると、男性は7月中旬、転落事故で脊髄(せきずい)を損傷し、四肢まひと呼吸不全で緊急入院。10月13日夕、気管切開チューブと人工呼吸器の接続部分(コネクター)が外れた。

 アラームが鳴ったが、担当の看護師3人は別室で救急患者の対応に追われて気付かなかったという。男性と同じ病室の患者の診察に来た医師がアラームを聞き、接続部分が外れていることに気付いた。

 病院は15日までに宮城県警などに事故として報告した。

 里見進(さとみ・すすむ)病院長は「誰かが患者に付いていれば防げた事故。早急に事故調査委員会を立ち上げて原因を調べる。再発防止のため安全管理体制を強化したい」としている。

 東北大病院では7月下旬、50代の女性患者の生体肝移植手術中、急速輸液ポンプから静脈内に空気が流入し一時心機能を低下させる医療ミスがあった。』

 80歳で3ヶ月も人工呼吸器をつけていたということはもうはずせない状態だったのだろう.意識がはっきりしていたなら四肢麻痺で寝たきりで人工呼吸器をつけられたら毎日がきっと死ぬほど苦痛だったにちがいない.

 たとえ人工呼吸器がはずれなくとも肺炎や尿路感染や褥創からの感染症などで命を落とすこともある.遷延性意識障害の患者さんであれば恐怖感というものはないだろうが,脊髄損傷では意識は保たれるから毎日が死の恐怖との対面である.

 もっとも現在では栄養管理や体位(良肢位)管理などのレベルが向上し昔に比べれば合併症も格段に減ってはいるが,脊髄損傷の患者さんの不安が軽減したわけではないだろう.

 人工呼吸器がはずれた事故というニュースだが,自然に接続がはずれるようなことは実は考えにくいのだ.接続の時にちゃんと確認していれば本人を含めて誰かが故意にはずそうとしなければ通常は外れないものである.

 本人がはずしたというのなら気持ちもわからないではない.家族がはずしたとしたらどうだろうか.本人の意志にしたがってはずしたのならどうだろうか.私は,実際に妻がはずしたとしか考えられないケースを経験したことがある.主治医ではなかったが妻が面会後に呼吸器がはずれることが数回続いたのだった.アラームが鳴り事なきを得たのだが,それ以降は妻の面会を監視するようにしたら起きなくなった.

 病院というところはかつてはシステムが性善説で成り立っているところであったと思う.だが,最近の病院での事故を見ていると患者,家族,面会者,スタッフすべてを疑ってかからないと防げない事故も増えているようだ.

 こんな話をすると疑心暗鬼になる人もいるかもしれないが,医療が善意で成り立っているということに疑いを持つようならすでに患者と医師の信頼関係はないということなのだろう.なんとも情けない話だが,患者や家族が医師を疑うならば,医師が患者や家族を疑うことも非難するにはあたらないだろう.

コメント

nophoto
Ku
2006年3月2日20:30

はじめまして。
よろしかったら私のブログも見て下さい。
http://ku6996.exblog.jp/
相次ぐ事故に私のブログに登場する某大学名誉教授の麻酔科の大御所の先生は、「瓶直接加圧の輸血など考えられない。やるのなら血液の入ったポリ袋にマンシェットを巻いてやるべきだ。アラームを切っていた弁明が『そのほうが施術に専念できて安全である』...と病院長と多分関係した同一講座の助教授の方の記者会見記事のことをお話したら呆れ返っていました。
私のブログ、海外からも結構アクセスはあるのですが、書き込みをして下さる方が皆無なので、よろしければ、匿名でいいですのでコメントを頂けますと嬉しいです。

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