よく生きるということ
 病院の御用納めも終わり午後からお正月休みモードになった.私は今年最後の当直で夕食後に医局で新聞をみた.そこには今年あった多くの事件や災害が載っていた.今年最後の大きなニュースはJRの脱線事故だろうか,それとも泥湯温泉のガス中毒事故であろうか.いずれにしても犠牲者の方々はまさか自分の名前がこんなことで世間に出るとは思ってもいなかっただろう.

 医療の世界も医療事故のニュースが今年も非常に多かった.そして相変わらずのイラクの自爆テロ.そして地震や台風といった自然災害.さらに最悪だった年末の児童殺害事件.見たくもないような暗いニュースが毎日のように報道され,他人事なのに気が滅入る日が多かったような気がする.

 だが,本当に他人事なのだろうか.自分にもいつか起きるのではないだろうか.偽装マンション問題などは実はすでに自分の問題かも知れないのに知らないだけなのではないだろうか.そう考えると生きていること自体に懐疑的になってしまうのは私だけだろうか.

 そう,生きている証は実は今のこの一瞬だけに過ぎないということを人間は意識できないのではないだろうか.この次の一瞬にはもうこの世にいないかも知れない存在であることを理解出来る人がどれほどいるのであろうか.そう考えると夜寝るときに今日一日をよく生きただろうかと思わずにはいられないのである.夜寝ている間に意識がある人はいない.つまり意識は死んだ状態であり,そのまま目が覚めなければそれはすなわち死なのである.

 これをどう考えるかによって生き方も変わるのであろう.よく生きるとはどういうことなのであろうか.私にはこのように人生に疑問が生じると読み返す本がある.トルストイの民話集『人はなんで生きるか』という本である.大学に入学する前に読み,何度も読み返しているが未だに人生の意味を見いだせないでいる.というより読む度に意味が違うように感じるのである.それが精神的な成長なのか,単に齢をとって考えが変わっただけなのか.

 世の中いろんな人がいるのだから人生の意味も色々なのであろう.それはそれでいいのだが,私はやはり自分は毎日をよく生きたいのである.来年も毎日をよく生きることを人生の目的として年を重ねていきたいものである.

 今年も私の拙文を読んでくださってありがとうございました.来年の皆さまの毎日が実り多いものであることをお祈りさせていただきます.では,よいお年をお迎えください.

コメント

nophoto
k
2006年1月1日0:36

こんにちは
あけましておめでとうございます
先生のblogほんとにいつも拝見してるんですよ☆
今年もよろしくですー^^

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