自治体病院は消滅する?
2006年1月15日 医療の問題『--自治体病院、自力で黒字はわずか8% 政投銀調査--
全国の自治体病院のうち、補助金などに頼らず実質的な営業黒字を確保しているのは、全体の8%程度しかないことが、日本政策投資銀行の分析でわかった。補助金を含めて経常黒字を確保している病院は4割近くまで増えるが、累積赤字は増加傾向だ。自治体病院は「へき地医療など民間ではできない分野を担っている」(総務省)だけに、経営の効率化が求められそうだ。
政策投資銀が03年度に1000あった自治体病院について、地方公営企業決算をもとに分析したところ、実質的に営業黒字なのは82病院しかなかった。大半が診療報酬など本業の収入では、必要経費をまかなえない状況だ。
03年度の地方公営企業決算によると、自治体や国からの補助金で経常黒字の病院は389と4割近くまで増えるが、6割はなお赤字。病院事業全体の経常赤字額は合計で1400億円近くに達する。補助金に当たる病院事業会計への他会計からの繰入金は、全体で5451億円だった。
政投銀は、自治体ごとの一般財源の規模を表す「標準財政規模」に対する繰入金の比率も分析した。平均では3.4%になり、高い自治体では15%に達するところもあった。公共事業や福祉など全体の行政活動に必要な財源のうち、病院事業支援のためだけに15%を割いていることになり、財政負担が大きいことを示している。
診療報酬の引き下げや地方財政改革による補助金の削減が進めば、「自治体病院の経営はさらに厳しさを増す」(政策投資銀政策企画部)と見ている。 』
「自治体病院は「へき地医療など民間ではできない分野を担っている」(総務省)だけに、経営の効率化が求められそうだ。」という記事にひっかかってしまった.僻地での救急医療などは本来コスト面からはやらないほうがいいはずだし,僻地からの医師の引き上げが相次ぐ中で総合病院の看板を自治体病院が上げることすら不可能になりつつあるのが現実だ.
以前お世話になった自治体病院の副院長は「医師がいなくて大変です.」と年賀状に書いてあったし,看護部長たちからも「病院はいつも大変な状態です.」とあった.以前,私のところで働いていた看護師長も有能な部下と共に個人病院へ転職するとメールが来ていた.
自治体本体が今や病院の赤字とともに沈んでいくかもしれない状態である.効率化といっても診療報酬の引き下げや地方財政改革による補助金の削減で自治体病院の収益は今後下がる一方であろう.人件費の節約で経営の効率化をはかるにも限度があるだろうし,その限度に達する前に医師も看護師も確保できなくなることは見えている.
医療に限らず福祉に関して言えば,僻地に住んでいること自体が悪いこととされているかのようだ.その一方で地方で高収益を上げ続ける開業医もたくさんいる.これが現実だから自治体病院の勤務医はますます地域医療に貢献しているという誇りとともに勤労意欲を失って開業に走ることになるのだろうか.
本来は僻地医療などは奉仕活動みたいなものなのだからそこに効率化などということを言い出せば成立しなくなるのではないかと疑問に感じるのは私だけだろうか.
全国の自治体病院のうち、補助金などに頼らず実質的な営業黒字を確保しているのは、全体の8%程度しかないことが、日本政策投資銀行の分析でわかった。補助金を含めて経常黒字を確保している病院は4割近くまで増えるが、累積赤字は増加傾向だ。自治体病院は「へき地医療など民間ではできない分野を担っている」(総務省)だけに、経営の効率化が求められそうだ。
政策投資銀が03年度に1000あった自治体病院について、地方公営企業決算をもとに分析したところ、実質的に営業黒字なのは82病院しかなかった。大半が診療報酬など本業の収入では、必要経費をまかなえない状況だ。
03年度の地方公営企業決算によると、自治体や国からの補助金で経常黒字の病院は389と4割近くまで増えるが、6割はなお赤字。病院事業全体の経常赤字額は合計で1400億円近くに達する。補助金に当たる病院事業会計への他会計からの繰入金は、全体で5451億円だった。
政投銀は、自治体ごとの一般財源の規模を表す「標準財政規模」に対する繰入金の比率も分析した。平均では3.4%になり、高い自治体では15%に達するところもあった。公共事業や福祉など全体の行政活動に必要な財源のうち、病院事業支援のためだけに15%を割いていることになり、財政負担が大きいことを示している。
診療報酬の引き下げや地方財政改革による補助金の削減が進めば、「自治体病院の経営はさらに厳しさを増す」(政策投資銀政策企画部)と見ている。 』
「自治体病院は「へき地医療など民間ではできない分野を担っている」(総務省)だけに、経営の効率化が求められそうだ。」という記事にひっかかってしまった.僻地での救急医療などは本来コスト面からはやらないほうがいいはずだし,僻地からの医師の引き上げが相次ぐ中で総合病院の看板を自治体病院が上げることすら不可能になりつつあるのが現実だ.
以前お世話になった自治体病院の副院長は「医師がいなくて大変です.」と年賀状に書いてあったし,看護部長たちからも「病院はいつも大変な状態です.」とあった.以前,私のところで働いていた看護師長も有能な部下と共に個人病院へ転職するとメールが来ていた.
自治体本体が今や病院の赤字とともに沈んでいくかもしれない状態である.効率化といっても診療報酬の引き下げや地方財政改革による補助金の削減で自治体病院の収益は今後下がる一方であろう.人件費の節約で経営の効率化をはかるにも限度があるだろうし,その限度に達する前に医師も看護師も確保できなくなることは見えている.
医療に限らず福祉に関して言えば,僻地に住んでいること自体が悪いこととされているかのようだ.その一方で地方で高収益を上げ続ける開業医もたくさんいる.これが現実だから自治体病院の勤務医はますます地域医療に貢献しているという誇りとともに勤労意欲を失って開業に走ることになるのだろうか.
本来は僻地医療などは奉仕活動みたいなものなのだからそこに効率化などということを言い出せば成立しなくなるのではないかと疑問に感じるのは私だけだろうか.
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