『 -- 保険医団体も抗議 福島の産婦人科医起訴で --

 福島県立大野病院の産婦人科医が業務上過失致死と医師法違反の罪で起訴された事件で、全国保険医団体連合会は14日、「逮捕、起訴は不当」などとする抗議声明を出した。

 声明は、事故発生から1年以上経過してからの逮捕を「逃亡や証拠隠滅が想定されず異常」と批判。また、事件の背景に産婦人科医不足など構造的な問題があると指摘、「一産婦人科医の責任に矮小(わいしょう)化することは許されない」としている。

 事件をめぐり、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会も同様の声明を発表。医学界に波紋が広がっている。』

『 -- 起訴の産婦人科医を保釈 地検の準抗告認めず --

 福島地裁は14日、帝王切開手術で女性=当時(29)=を死亡させたなどとして業務上過失致死と医師法違反の罪で起訴された福島県立大野病院の産婦人科医加藤克彦(かとう・かつひこ)被告(38)の保釈を認める決定をした。

 福島地検は同日、決定を不服として準抗告したが棄却され、加藤被告は保釈された。関係者によると、医療関係者と接触しないことが条件となっているという。

 加藤被告は2004年12月、帝王切開の手術をした際、胎盤の癒着で大量出血する恐れがあったのに、胎盤を無理にはがして大量出血で女性を死亡させたなどとして逮捕された。

 加藤被告の逮捕、起訴で、医師会などが「逮捕は不当」などと反発を強めている。』

 この裁判ではいったいなにが争点になるのであろうか.「胎盤を無理にはがして大量出血で女性を死亡させた」ことだろうか,「帝王切開での異状死」なのだろうか.私はどちらも本来は起訴に値しないと思う.なぜなら,自然分娩したら児も母体も共に死亡していただろうからである.あらかじめ死亡する確率の非常に高いものを助けようとしたのに助けられなかったからといって刑法で裁かれるのではたまったものではないだろう.

 少なくとも致死率が50%を超えるものについては医療行為の結果の死は免責にすべきであろう.これらの患者さんは医師が治療を拒否すれば2人に1人は死亡するのであるから.治療の原点は死亡率を下げることであり,その点からは治療の結果として助かる人がいればそれで十分だと考えられないのだろうか.医学の進歩のおかげで助かるのが当たり前のように考え違いをしていないだろうか.

 医学の進歩の結果として治療の安全性は戦後から飛躍的に高まり平均寿命も延びているというのに,結果が悪いと医師個人の責任とされるのでは努力して自分で自分の首を絞めているようなものではないだろうか.人の命を助けることに誇りがもてなくなったら医師になる意味はないだろうと思う.今回,検察がやったことは医師の職業上の誇りを傷つけたという意味で医療社会に対する犯罪行為(挑発行為?)といってもいいような気がするのだがどうだろうか.

コメント

ちょめこ
2006年3月16日10:35

私も帝王切開での出産でしたから、他人事とは思えない出来事です。私が何故帝王切開に踏み切ったのかと申しますと、もともと旦那の立会いで自然に出産したかったわけですが、それより何よりも最優先に考えたのは「子供を無事出産すること」でした。だから助産院ではなく、総合病院で、それも近くにNICUがある病院を選びました。(NICUがある病院は入院費が恐ろしく高い。。。)そしたら「児頭骨盤不適合」それでも自然分娩ができないわけではなかったが、安全を最優先に考えた結果、帝王切開にしました。
帝王切開は一番安全な出産方法だったわけです。母親の立場としては。
それでも100%安全というわけではないですしね。
患者側としては手術前にリスクも含めた説明があったのか、医師と充分な話し合いがあってその結果、患者が納得して帝王切開に踏み切ったのか、そして死亡してしまったことに対して医師側にミスはなかったのか、真相を話してくれたのか、おそらく患者側は不信に思ったのかもしれませんね。
私の場合は、主治医がリスクも含めきちんと説明をしてくれましたし、セカンドオピニオンの機会も与えてくれました。手術直前になってハラを切ることに対する恐怖と自然分娩できない自分が情けなくて愚痴をこぼし始め、主治医は1時間も手術時間を遅らせて話を聞いてくれました。

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