『 -- 難しい症例で逮捕は不当 関係学会が会見で訴え --
福島県立大野病院で帝王切開を受けた女性が死亡し、医師が逮捕、起訴された医療事故で、日本産科婦人科学会(武谷雄二(たけたに・ゆうじ)理事長)と日本産婦人科医会(坂元正一(さかもと・しょういち)会長)は16日、東京都内で合同記者会見を開き、「非常に難しい症例で、適切な処置が行われたとしても救命できないこともある」として「逮捕は不当」と訴えた。
起訴状は、女性に胎盤の癒着で大量出血の可能性があり、生命の危険を未然に回避する必要があったのに医師がこれを怠った、としている。
これに対し同学会常務理事の岡井崇(おかい・たかし)・昭和大教授は「癒着胎盤はさまざまな程度があり、出血の仕方も予測できない。こういう症例に対し何が適切だと決め付けることは難しい」と指摘。「医療過誤の判定は難しく、今回のケースは専門家の9割以上が過誤ではないと言うと思う」と述べた。
また、女性の死亡を24時間以内に警察署に届けなかった医師法違反の罪にも問われていることについて、同じく学会常務理事の稲葉憲之(いなば・のりゆき)・独協医大病院長は「外科系の学会では(届ける必要のある)異状死の定義がきちんとされていない点が問題だ。(今回のケースは)病院長の判断を仰ぎ、異状死ではないとして届けなかったものだ」と指摘した。』
専門家の9割以上が過誤ではないと判定するようなことが業務上過失致死と刑事告訴されるということは医師の常識は検察には通用しないということである.民主主義の原理である多数決で判定するなら過半数の医師が過誤でないというなら免責にしなければ医療は成り立たないだろう.
被害者というのは自分が不当に扱われたと思うから被害者なのである.警察は患者の目線というが患者はすでに死亡しており,残された家族の被害感情による目線では公平性が失われるだろう.検察にしても一部の専門家の意見を聞くのではなくもっと多数の医師の普遍性のある意見を聞いて判断をするべきだったのではないだろうか.公平は判定とはそういうものだろう.
異状死の定義についても,もともと医療事故のケースなどは想定されていなかったものを勝手に拡大解釈するようなことは厳につつしむべきであろう.もともと刑法には疑わしきは罰せずというルールがあるのである.定義そのものが厳密でないものを適用して違法とするのはやはり順法精神にのっとった行為ではないだろう.
もっとも今回の一件はすでに告訴され決定権は該当裁判所に移ってしまっているわけだから,裁判所は迅速に審理を進めて公平かつ妥当な判断がなされることを期待したい.インターネットが普及したおかげで,日本中の医師がリアルタイムにことの成り行きを見守っているのである.まじめにやっている医師たちのやる気がすっかり失せてしまわないうちに早くなんとかして欲しいと思っているのはきっと私だけではないだろう.
福島県立大野病院で帝王切開を受けた女性が死亡し、医師が逮捕、起訴された医療事故で、日本産科婦人科学会(武谷雄二(たけたに・ゆうじ)理事長)と日本産婦人科医会(坂元正一(さかもと・しょういち)会長)は16日、東京都内で合同記者会見を開き、「非常に難しい症例で、適切な処置が行われたとしても救命できないこともある」として「逮捕は不当」と訴えた。
起訴状は、女性に胎盤の癒着で大量出血の可能性があり、生命の危険を未然に回避する必要があったのに医師がこれを怠った、としている。
これに対し同学会常務理事の岡井崇(おかい・たかし)・昭和大教授は「癒着胎盤はさまざまな程度があり、出血の仕方も予測できない。こういう症例に対し何が適切だと決め付けることは難しい」と指摘。「医療過誤の判定は難しく、今回のケースは専門家の9割以上が過誤ではないと言うと思う」と述べた。
また、女性の死亡を24時間以内に警察署に届けなかった医師法違反の罪にも問われていることについて、同じく学会常務理事の稲葉憲之(いなば・のりゆき)・独協医大病院長は「外科系の学会では(届ける必要のある)異状死の定義がきちんとされていない点が問題だ。(今回のケースは)病院長の判断を仰ぎ、異状死ではないとして届けなかったものだ」と指摘した。』
専門家の9割以上が過誤ではないと判定するようなことが業務上過失致死と刑事告訴されるということは医師の常識は検察には通用しないということである.民主主義の原理である多数決で判定するなら過半数の医師が過誤でないというなら免責にしなければ医療は成り立たないだろう.
被害者というのは自分が不当に扱われたと思うから被害者なのである.警察は患者の目線というが患者はすでに死亡しており,残された家族の被害感情による目線では公平性が失われるだろう.検察にしても一部の専門家の意見を聞くのではなくもっと多数の医師の普遍性のある意見を聞いて判断をするべきだったのではないだろうか.公平は判定とはそういうものだろう.
異状死の定義についても,もともと医療事故のケースなどは想定されていなかったものを勝手に拡大解釈するようなことは厳につつしむべきであろう.もともと刑法には疑わしきは罰せずというルールがあるのである.定義そのものが厳密でないものを適用して違法とするのはやはり順法精神にのっとった行為ではないだろう.
もっとも今回の一件はすでに告訴され決定権は該当裁判所に移ってしまっているわけだから,裁判所は迅速に審理を進めて公平かつ妥当な判断がなされることを期待したい.インターネットが普及したおかげで,日本中の医師がリアルタイムにことの成り行きを見守っているのである.まじめにやっている医師たちのやる気がすっかり失せてしまわないうちに早くなんとかして欲しいと思っているのはきっと私だけではないだろう.
コメント
責任を問われなくてはいけないのは医療過誤や医療ミスであって、避けることが不可能だった医療事故も同等に扱うマスコミにも問題があるのかもしれませんね。
大分の片田舎で中核病院の小児科一人医長です。
報道側に、医療の知識がないのは致し方ありませんが、今後は取り上げ方に工夫していただければ嬉しいと思います。今回の件についても、起訴された医師に対する中傷ではなく、我が国の周産期医療における問題点は何か?を深くえぐった報道があれば...救われるのですが...
別のHNでもいいですから,また戻ってきたらリンクしてください.お待ちしております.