『 -- 亀田総合病院に賠償命令 処置ミス認定、約8200万 --

 千葉県鴨川市の亀田総合病院(亀田信介(かめだ・しんすけ)院長)でぜんそく治療を受けていた高校2年の二男=当時(17)=が出血性ショックで死亡したのは処置のミスが原因として、両親が約8800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、千葉地裁は11日、病院側に約8200万円の支払いを命じた。判決理由で小磯武男(こいそ・たけお)裁判長は「カテーテル挿入時に血管を傷つけた過失が大量の出血をもたらした」と死亡と処置ミスとの因果関係を認めた。

 病院側は「血管損傷の事実はない。死因はぜんそく薬の成分『テオフィリン』によるショック症状などだ」と反論していた。

 判決によると、二男は2001年1月1日未明、吐き気などを訴え受診。ぜんそく治療で病院から処方されていたテオフィリンの血中濃度が高いことが判明。処置の過程で医師が脚の付け根にカテーテルを挿入した際、動脈や静脈を傷つけたため、後腹膜腔から大量に出血。二男は同日夜、死亡した。

 亀田院長は「強い憤りを感じており、ただちに控訴する」とコメントしている。

 亀田総合病院は電子カルテシステムの本格運用をいち早く導入するなど先進的な医療施設として知られ、浅田次郎(あさだ・じろう)氏の小説「天国までの百マイル」のモデルとされる』

 別のニュースではIVHカテーテルを挿入後より血尿が止まらず死亡したことになっていたようで,いったいどこの動脈や静脈を傷つけたら後腹膜腔から大量に出血するのか私にはよくわからない.大腿静脈穿刺のIVHも死亡事故が起きるほど危険だということなのだろうか.

 この記事からは,事実認定が病理解剖もしくは法医解剖の結果なされたのかどうかわからないが,「動脈や静脈を傷つけたため、後腹膜腔から大量に出血」とか「血尿が止まらず」といった程度の説明では約8200万円という高額の賠償には不釣り合いな印象がするのは私だけだろうか.

 事実の確認が曖昧で,治療にかかわらず患者が死亡すると賠償請求のための訴訟が続くようではやはり無過失賠償保険が必要だろう.それまでは安心して治療できないと感じる医師は防衛医療に徹するしかないのかも知れない,こんな報道が続くようでは,ここしばらくは医療の矮小化はますます加速することになるのだろう.

コメント

2006年9月13日0:50

しかし、ミスするたびに訴訟起こされる病院側もたまったもんじゃないな・・・
たった一つのミスで8000万ねぇ・・・・

確かにミスをしちゃいけない仕事なんでしょうけど、これは幾ら何でもやり過ぎじゃないでしょうか?

木花咲耶
木花咲耶
2006年9月18日12:58

マスコミの過剰反応に、患者が踊らされていることもあると思います。生死をさまよう重症や死亡に到った場合は勿論のこと、何でもかんでも医療過誤ではと疑心暗鬼になり、医師を責める家族が多いのは事実。

医師が安心して診療に取り組めるよう守ってあげないと、この国に医師はいなくなってしまうでしょう。

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