『地域で最新の専門医療提供 高度急性期病院を創設 各都道府県に1カ所以上 08年度に導入方針、厚労省

 厚生労働省は16日までに、症状が重く外科手術など集中的な治療が必要な急性期の疾患で高度な医療が求められる治療に対応するため「高度・急性期総合病院(仮称)」を2008年度に創設する方針を固めた。

 一般外来患者は受け付けず、入院治療が中心。400-500床の県立病院などからの移行を想定し各都道府県に最低1カ所以上設置する。医師や最新医療機器を集中させ、地域でも安心して最新の専門医療が受けられるとともに、外科医など医師の技術力を向上させるのが狙い。

 難病治療や臓器移植も含めあらゆる疾患を対象とする大学病院などの特定機能病院とは異なり一般の疾患が対象だが、外来は救急や専門的な治療が必要な患者に限定、十分な診療ができる態勢をとる。

 これに伴い、病院機能区分の再編も検討。高度・急性期総合病院で治療後、ある程度症状が改善した患者を受け入れる一般急性期病院と回復期リハビリ病棟、その後の療養に移る慢性期病棟や介護施設、在宅に分類。現在約90万床に上る一般病床の機能や役割分担を明確にする。

 一般急性期病院は、救急搬送などの外来も受け入れ、比較的簡単な手術や、在宅療養の患者が急に症状が悪化した際の治療を担う。患者によっては、例えば脳卒中を発症した患者が搬送されて治療を受け、回復リハビリ病棟で機能を回復し、在宅というケースもある。

 厚労省は、地方を中心に深刻な医師不足が続く中、勤務医が各病院に分散して高度な医療を担えなくなることを懸念、病院の集約や再編などが必要としている。

 08年度の診療報酬改定に合わせて導入を目指しており、中央社会保険医療協議会(中医協)に近く提案。医師や看護師の配置などの認定基準や入院基本料の設定など具体案づくりに着手する。』

 症状が重く外科手術など集中的な治療が必要な急性期の疾患で高度な医療が求められる治療に24時間対応するには,医師も看護師も大幅に増員しなければならないと思うのですが,それをどこから調達するつもりなんでしょうか.「笛吹けど踊らず」と言うより「無い袖は振れない」から「踊りたくても踊れない」でしょう.

 『日本病院団体協議会「病院経営の現況調査」 06年度診療報酬改定が経営に深刻な影響 赤字病院比率、約6ポイントアップ

 日本病院団体協議会は15日、赤字病院の比率が2005年度の37.11%から06年度には43.02%(5.91ポイント増)まで増加したとの実態をまとめた「病院経営の現況調査」の結果を発表した。同調査は、今年8月-9月に加盟する11団体の全病院を調査客体に実施し、回答数は2837病院(回答率32.0%)。

 調査結果によると、06年度の病院経営状況は前年度に比べ著しく悪化した。病床規模別では、500床以上病院の60.14%が赤字となっている。開設主体別では、自治体立で92.73%、国立は69.29%、公的は58.90%が赤字病院だった。一方、医療法人の赤字病院比率は25.33%、個人が21.21%で、自治体立などと医療法人の赤字病院の比率が大きく異なる現状が浮き彫りとなった。
  こうした結果から日病協では、06年度診療報酬改定が病院経営を悪化させたことは明らかと指摘。次期診療報酬改定における病院医療への十分な報酬増や、都道府県・地域の実情に合わせた産婦人科・小児科・救急医療などに対する公私の区別のない補助など、多面的な施策が必要と訴えた。

医師確保の厳しさが浮き彫りに

 一方、医師確保の現況では常勤医師の減少した病院が高率に存在し、医師の新規採用が極めて困難な状況になっている状況が明らかになった。03年度末と06年度末で医師数の増減を比較すると、「医師数が減少」と回答した病院は全体の31.88%を占めた。
  06年度中の医師募集は72.51%の病院で実施。その中で、「採用予定数より少なかった」が50.28%、「まったく採用できなかった」が25.60%となり、医師確保の難しさが浮き彫りになった。
  さらに、04年度以降の「病床休止もしくは返還」の状況については、全病院の18.67%(521病院)が「あり」と回答した。その病院数は、06年度に急増しており、今年度もその傾向が継続している。
  「病床休止もしくは返還」は、病床規模が大きい病院ほど比率が高く、開設主体では「国立」「自治体立」「公的」の順で比率が高い。病床種別では、「精神のみ」「一般のみ」の順で比率が高かった。
  このほか、04年度以降に「救急指定・救急輪番制などの取り下げ」を行った病院は、全体で109病院、3.95%であった。今後の運営方法では、「介護施設(一部含む)への転換を検討」274病院、「診療所への転換を検討」48病院、「閉院を検討」は20病院となっていた。』
 
 現状がこれなのに高度急性期病院に人手をとられたら僻地の中核病院とともに地域医療は完全に崩壊することでしょうし,400-500床の県立病院などから移行しても医師は集約できないことでしょう.病院の集約や再編などが必要というのは理解できますが,厚生労働省のおかげで医療環境が良くなったと感じている医師などいないでしょうから,今回もこんな話がうまくいくとはきっと誰も思っていないことでしょう.

 結局,舛添大臣に替わっても厚生労働省の官僚の仕事ぶりは変わってないなあと思うのは私だけでしょうか.

コメント

スミぱん@国会を見よう
スミぱん
2007年10月18日14:29

私もそう思いますよ。製造現場で1つの工程を24時間
フル稼働させるには、最低3人は要りますもん。
もっと医師を増やさないと24時間フル稼働なんて
はっきり言って無理です。

医学部の定員を倍(もっと?)くらいには増やして、
ヘンな研修制度を潰さないといけないでしょうね。
(決してウチが入りたいからというわけではない)

ウチはモノ造りの道をまい進しますんで。

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