『生活保護者に安価薬 「違反者」割り出し徹底

 ◇自治体「どう説明を…」

 生活保護受給者に対してジェネリック(後発)医薬品の使用を事実上強制する通知を厚生労働省が自治体に出していることが明らかになった。背景に医療費抑制を迫られる“国の懐事情”があり、通知書でも「後発医薬品は安く」「医療保険財政の改善の観点から」など、お金にかかわる文言が並ぶ。一方、指導に従わない生活保護者を割り出すため、薬局に1枚100円の手数料を払ってまで処方せんを入手するとしており、なりふり構わぬ様子がうかがえる。

 4月1日に始まった後期高齢者(長寿)医療制度に続き、生活保護者に限定した医療費抑制策は「弱者切り捨て」との批判を呼びそうだ。

 通知は後発薬について「一般的に開発費用が安く抑えられることから先発医薬品に比べて薬価が低く(中略)患者負担の軽減や医療保険財政の改善の観点から使用促進を進めている」と説明。生活保護者については「患者負担が発生しないことから、後発医薬品を選択するインセンティブ(動機付け)が働きにくいため、必要最小限の保障を行う生活保護法の趣旨目的にかんがみ、後発薬の使用を求める」としている。

 通知によると、都道府県や政令市などが所管する福祉事務所は、診療報酬明細書(レセプト)の抽出を行ってまで、生活保護者が後発薬を使っているか確認しなければならない。そのために、調剤薬局に1枚100円の手数料を支払い、先発薬を使っている生活保護者の処方せんの写しを提出させることまで規定していた。先発薬の使用を指示した医師に対しては「特段の理由なく(受給者が)後発薬を忌避したことが理由でないかについて確認」することも盛り込んだ。

 国は後発薬の使用を生活保護者だけでなく国民全体に呼びかけているが、窓口で3割負担をする患者は調剤薬局などと相談して先発薬を選ぶこともできる。しかし生活保護者は「医学的理由がない」と判断されれば、保護の停止や打ち切りにつながりかねず事実上、選択権が奪われた形だ。ある自治体の担当者は「停止や打ち切りにつながることを、どういう形で受給者に説明するか慎重に検討したい」と戸惑った様子で話す。』

 生活保護者には生存権はあっても,選択権はないというのが厚生労働省の本音で,やはり医療費削減最優先ということなのだろう.「後期高齢者不要制度」と同じく切り捨てられても文句の言えない弱い立場の物人たちを標的にしたようなやり方は今さらながら非常に不愉快でコメントを書く気にもなれなかったのだが,今度は,

『「手当打ち切り」撤回、都道府県に厚労省通知 ジェネリック医薬品、使用指示問題

 生活保護受給者は安価なジェネリック(後発)医薬品を使うよう、厚生労働省が自治体に指導を指示していた問題で、厚労省は30日午後、従わない場合の手当打ち切りなどの対応を撤回する通知を都道府県などに出す。舛添要一厚労相が閣議後会見で明らかにした。

 後発医薬品の普及は、国が医療費削減策の一環として取り組んでおり、厚労省は今月1日付で▽先発薬を使い続ける生活保護受給者には口頭や文書で指導する▽指導に従わなければ保護の一時停止や打ち切りを検討する--などの通知を出した。これに対し「患者の選択権を奪う」との批判が上がった。

 新たな通知は、後発品は国民全員で使用を進めていくとの趣旨を受給者に説明するとし、強制措置の検討は盛り込まない。舛添厚労相は通知について「役人言葉で書かれており国民の目線に立っていなかった」と不備を認めた。』

 この記事を見て,相変わらずのやり方に怒りと失望を感じたのは私だけだろうか.徹底的に年金生活者や障害者そして生活保護者という弱者を標的に医療費削減を進めながらも,うまく批判をかわすために世間の反応をみては言い方だけを和らげるというやり方である.もはや,「役人言葉で書かれており国民の目線に立っていなかった」などという問題ではなく,腐った役人根性の底にある考え方にこそ問題があると言うべきではないだろうか.

 などと,私がここで憤っていても世の中の多くの人は「そんなの関係ない」と思っているのかもしれないが,本当はいつ自分が病気になってもおかしくないし,生活保護者になるかもしれないのである.携帯電話の新機種の情報を検索するのも結構だが,もうちょっと自分の将来にかかわってくる医療の問題にも興味を持ってもらいたいものである.

コメント

nophoto
ニックネーム無し
2008年5月1日18:39

いつも興味深く読ませて頂いている者です。
私も社会の矛盾。
特にこちら紹介されている医療制度の諸問題について
いいしれぬ不安と危機感を抱いております。
自分や大切な人が昏倒してから救急車が来てくれなかったり
診てくれる先生がいないことに気付いてからでは遅いのです。
不謹慎かつ不適切な発言をすれば
高級官僚の身内か本人のどなたかでも
救急車でたらい回しにされた挙句、お亡くなりにでもならないかぎり
制度も真剣に見直されることは無いのではないかと言う様な
事例が多すぎます。

我が家の子供が大人になったときのこの国の有り様を考えたとき
胸が押しつぶされる思いでたまりません。

しゃな
しゃな
2008年5月2日9:56

一病院の患者として、人事ではないことだと思います。
まったく、心の痛い問題です。
今の日本、生きてきた中で最低ではないだろうか・・。
どうなってしまうんでしょうね。

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