珈琲はやっぱり良いらしい
『 コーヒーの摂取と死亡率上昇との間に関連はない

 『Annals of Internal Medicine』6月17日号に掲載された試験結果によれば、コーヒーの摂取によって男性または女性におけるあらゆる原因による死亡のリスクが上昇することはなく、心血管系疾患死亡のリスクが低下する可能性があるという。

「コーヒーの摂取は、様々な健康に良い効果や悪い効果と関連があるが、死亡率とコーヒー摂取との関連に関するデータは少ない」とハーバード大学公衆衛生学部ブリガム・アンド・ウィメンズ病院およびハーバード大学医学部(マサチューセッツ州ボストン)のEsther Lopez-Garcia, PhDらは記述している。「いくつかの試験で、コーヒーによってある種の癌(肝臓癌、結腸癌、口腔癌、咽頭癌、食道癌等)のリスクが低下する可能性が指摘されている。本試験の目的は、コーヒーの摂取とあらゆる原因による死亡率、心血管系疾患(CVD)死亡率、癌死亡率との関連を評価することであった」

研究者らは、前向き試験であるHealth Professionals Follow-up Study and Nurses’ Health Studyにおいて、男女別のCox比例ハザードモデルを用いて、コーヒー摂取とあらゆる原因による死亡および疾患特異的死亡率との関連を検討した。試験コホートは、開始時にCVDまたは癌の既往歴がない男性41,736例および女性86,214例からなった。

コーヒー摂取は1986年(男性)および1980年(女性)に最初に評価され、その後2004年まで2〜4年ごとに評価された。18年間の追跡調査期間中、男性において6888例(CVD死亡2049例、癌死亡2491例)、女性において11,095例(CVD死亡2368例、癌死亡5011 例)の死亡が実証された。

男女とも、年齢、喫煙、他のCVDおよび癌のリスクファクターについての調整後、コーヒー摂取の各区分を通してあらゆる原因による死亡の相対リスクは、コーヒー摂取が増加するにつれて低下した。摂取量が1ヵ月に1杯未満の場合と比べて、1日に6杯以上の摂取では、男性において20%、女性において17%のリスク低下と関連があった。

この反比例の関連は、カフェインの摂取に関係がなく、主としてCVD死亡リスクの若干の低下に起因した。潜在的交絡因子についての調整後、コーヒー摂取と癌死亡のリスクとの間に統計学的に有意な関連は認められなかった。カフェインレスコーヒーの摂取は、あらゆる原因による死亡およびCVD死亡率の軽微な低下に関連があった。

本試験の主な制限は、コーヒーの推定摂取量が自己申告に基づいたことである。コホートは、医療専門家に制限されたため、一般化は制限される。

「男女とも定期的なコーヒー摂取と死亡率上昇との関連は認められなかった」と本試験の著者らは記述している。「コーヒー摂取があらゆる原因による死亡およびCVD死亡に対してある程度の良い効果を及ぼす可能性はさらに検討する必要がある。… われわれのデータから、この関連はコーヒーに含まれるカフェイン以外の成分によるものであることが示唆される」

Ann Intern Med. 2008;148:904-914.』

 哲学者のイマヌエル・カント(Immanuel Kant, 1724-1804)は紅茶党でコーヒーの油は体に悪いと信じていたそうだが,死亡率が上昇しないということは少なくとも体に悪い事はないらしい.もっとも,コーヒーを飲むと胃の具合が悪くなる人というのは確かにいるみたいなので飲んだ方がいいと積極的に言うほどのこともないだろう.

 思い出してみると.若い頃はラジオの深夜放送を聞きながら毎晩のように紅茶を飲んでいたものだが,大学に入って喫茶店で時間を潰すようになってからコーヒーをよく飲むようになったような気がする.煙草は国家試験の勉強が本格的になった頃から吸いはじめ,大学院卒業までは毎日一箱くらい吸っていたような気がするが,臨床に戻るのをきっかけに昼間は吸わなくなり,10年くらい前からはまったく吸っていない.

 ストレスが多い現代社会で健康を保つには,体に悪い事は避けるのが賢明なことは誰でもわかっているのだろうが,それを実行する事ができない心の弱さを持っているのがまあ普通の人間なのだろうと思えるようになったのは,私が年をとったからなのだろうか.

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