急に寒くなってきた割に脳卒中で救急搬入になるのが少ないのはいいことなんだろうが,代わりに低血糖発作で救急搬入される患者さんが目につく.意識障害だけでなく瞳孔異常や片麻痺があったりすると救急隊員には脳卒中との鑑別が難しいのはわかるが,中には意識障害の鑑別診断ができない内科医からの依頼まであって救急外来で寒い思いをするのである.

 ネットで検索しても意識障害の鑑別で最初に必ずやるべきことの一つに血糖値のチェックと書いてある.血糖値の測定は僅かな血液で簡単に検査できるものなのになぜか救急隊員はやらないことになっているようだが,低血糖発作は内科で診れるものなので脳卒中との鑑別くらい救急車の中でやってもらえないものだろうかと思うのだ.

 低血糖発作は初期であれば診断も治療も簡単にできるのに,割とよく見落とされるのだろうか.時間が経つ程に意識障害の回復が難しくなり,場合によっては致死的になるので搬送時に診断できるならそのほうがより望ましいのではないだろうか.そして,診断がついたらブドウ糖液くらいは救急車内で静脈内投与してもよいことにするべきではないだろうか.

 救急隊員は軽症患者にはタクシー扱いされながらも本当に一生懸命働いていると思うが,救急患者のより適切な搬送を行うためにはもう一歩踏み込んだ知識や技能を身につけてもらう必要があるだろう.また,そうなることによって救急担当医との信頼関係も増して病院の受け入れもより好意的になるのではないだろうか.意識障害や麻痺があったらとりあえず脳神経外科に運ぶだけというのはもう止めた方がいいのにと思うのは私だけだろうか.

コメント

nophoto
当直あけ
2008年12月16日14:09

確かに血糖測定は救急搬送中にデキスターで評価してもらえると助かりますね。救命救急士なら法律的には点滴留置、気道確保が認められており、それに比べるとはるかに手技的には簡単です。ここまでは同感です。しかし、私自身低血糖を合併した脳卒中(脳内出血)例も経験しており、血糖値のみで脳卒中は否定することは危険と感じます。やはり、脳外科であろうが内科であろうが初期診療において、低血糖の補正(救急車内で行えるといいですが・・・)と同時進行での頭蓋内病変の評価とあわせての判断が妥当と考えます。

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