『臨床研修1年に短縮を提示 2010年度の導入目指す 医師不足で厚労、文科両省

 医師不足の一因とも指摘されている医師の臨床研修制度について、厚生労働省と文部科学省は18日までに、現行2年の研修期間を実質1年に短縮するなど現場で働く医師を確保する見直し案をまとめ、厚労・文科合同の専門家検討会に提示した。検討会はこうした方向で議論し、年度内にも結論を出す。早ければ2010年度からの導入を目指す。

 現行では、医師免許取得後2年間で7つの診療科の研修が必須だが、見直し案では、1年で内科や救急などの基本となる診療科の研修を終了、後半1年は将来専門とする診療科に特化させ、現場で診療も担わせる。

 また、診療科ごとの偏在を招かないよう、小児科や産科など医師不足が著しい科でも一定の研修医を確保できるよう対応を検討する。地域偏在解消については、募集定員に地域ごとの上限を設けたり、地域医療の研修を一定期間必須にすることを盛り込んだ。

 現行の臨床研修制度は04年度に導入。それまで出身大学での研修が通例だったが、導入後は研修先を選べるようになったため、症例の多い都市部の民間病院に希望が集中。研修医を確保しにくくなった大学病院が、派遣していた医師を地方の自治体病院から引き揚げる動きが相次ぎ、地方の医師不足の要因とされた。』

 要するに現場の人手不足を臨床研修を短縮して1年分繰り上げた研修医で補おうということなのだろうか.もしそうだとしても効果は1年分しか無いし,臨床研修を終えた新人医師が地域医療に向かうとも思えない.

 どこかのアンケートで医学部6年生の7割が「7割,条件が合えば勤務OK」なんて言ったそうだが,研修医になって就職活動をしてみれば条件が合う僻地なんてほとんど皆無だという現実に気づくに違いないのだ.

 少なくとも先進国では最低レベルの医療費で最低の労働環境で働いている勤務医の環境を変える事なく,研修制度を机上で書き換えたところで現実が変わる事なんてあり得ないと思うのだがどうだろうか.苦しんでいる患者さんを助けたくない医師はいないと思うが,研修を終えたばかりで大した実力もないのに僻地へ行ったところで下手をすると患者や家族に罵倒されるのがオチというのが現実ではないだろうか.

 自治体病院協議会会長が医師の地方勤務義務付けが必要とか発言して,協議会は既に自民党にこの考えを要望しているそうだが,こんなことができると考える事自体に自治体病院の体質的な問題点が透けて見えるのは私だけだろうか.医師は地方の政治家や自治体病院長が住民を喜ばすための道具ではないのだ.医師に来て欲しいのなら,まずこういう他人まかせの甘えた考え方を排して医師が気持ちよく働けるように自治体病院の改革を進めるべきだろう.

 卒後研修を大学の医局以外で受けた研修医の就職先がどのようになるのか興味はあるが,少なくとも脳神経外科に人気がでることなんてないだろうから研修制度がどうなったところで仕事にはほとんど影響はないことだろう.こんなに簡単に研修制度が変わるようだと,これから医師を目指す人たちにとっては先がますます不透明になって大変だろうが,現場の医師にとってもそれは同じ事で毎度のことだが厚生労働省のやり方をただ首を傾げて見ていることしかできないのである.

コメント

スミぱん@国会を見よう
2008年12月19日19:44

ウチの勤務先では、派遣切りでわーわーもめてます。

そんなに仕事がしたいのなら、医者にでもなれば?と言いたく
なりますね。今いちばん人手がたりない業種でしょうから。

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