『遭難計10人死亡 大雪山系トムラウシ山・美瑛岳
北海道大雪山系のトムラウシ山(2141メートル)と美瑛岳(2052メートル)で登山客らが相次いで遭難した事故で、北海道警は17日午前までに10人の死亡を確認した。18人が遭難したトムラウシ山では17日午前までに5人が自力下山し、道警などのヘリに13人が収容されたが、8人が死亡した。このツアーとは別に男性登山者1人が死亡して見つかった。6人が遭難した美瑛岳では17日未明、1人の死亡を確認した。北海道警は二つの遭難事故について業務上過失致死容疑でツアー会社側に対する捜査を始めた。
道警新得署などによると、トムラウシ山で遭難したのは東京都内の旅行会社アミューズトラベルが主催したツアー。50〜60代の客15人(男性5、女性10)と、男性ガイド4人の計19人のパーティーだったが、ガイド1人が避難小屋に残ったため遭難時は18人だった。自力で5人が下山し、ヘリに収容された人のうち5人の生存が確認された。
このパーティーが歩いたコースは、旭岳温泉から入山し、旭岳やトムラウシ山を2泊3日で縦走する「健脚向けのコース」。トムラウシ山はこの時期、花の山として人気があるが、山が奥深く、体力、精神力がないと登れないとされる。14日から16日にかけては雨や風が強く、気温も下がり、登山者の体力を奪ったとみられる。参加者の一人は「風が吹き荒れていたが、ツアーは計画通り出発した」と話している。
一方、美瑛岳で遭難したパーティーは、茨城県つくば市の旅行会社オフィスコンパスが企画したツアー。女性客3人と男性ガイド3人が遭難した。道警旭川東署は17日午前0時40分ごろ、美瑛富士避難小屋で兵庫県姫路市の尾上敦子さん(64)ら3人を発見し、さらに避難小屋から南西の標高1850メートル地点で野営していた3人も発見。尾上さんはすでに死亡していたという。
札幌管区気象台によると、14〜16日、道内は低気圧が通過し、大雨が降ったり強風が吹いたりした。トムラウシ山の標高2千メートル付近の16日午前9時の気温は6〜7度だったと推測されるという。帯広測候所によると、山頂付近では16日、20〜25メートルの強い風が吹いていたといい、同気象台は「体感温度はさらに低かったのでは」とみている。
同気象台によると、16日午前9時の札幌市の上空1500メートルの気温は、11.4度で平年の13.5度より2度低かった。今年の北海道は7月に入って低気圧が通過する回数が平年より多く、2〜4日に1度は低気圧が抜けた後に寒気が流れ込む割合が増えているという。』
亡くなられた方々には心よりお悔やみを申し上げるが,登山は自然が相手のスポーツだから,不測の事態に巻き込まれれば命を失うのも仕方がないかもしれない.かの植村直己さんでさえ最期は遭難されたのだから,自分の力量や目標の山の危険性をちゃんと評価できない素人ならなおさら危険ということなのだろう.だからガイドのいるツアーに参加したのかも知れないが,それは他人に命を預けることに他ならないのである.
ツアーを企画した旅行会社やガイドの責任は問われて然るべきだが,参加した人たちはこのツアーが体力的にどれほど大変なものかちゃんと理解していたのだろうか.私も登山に熱中した頃があり,トムラウシにも登ったが旭岳からの縦走なんてとても「健脚向けのコース」なんていう気軽なものではないと思う.長い距離を歩き山中で2泊してトムラウシに着く頃には体力的な余裕はもうほとんど残っていなかったに違いない.そこに寒波が襲来すればどうなるか.
暖かいところに住み慣れた人たちが気温5〜6度の中で疲れて身動きがとれなくなればあとは死を待つのみだろう.過去の事例を勉強して,よく考えれば夏山とはいえ危険があるということに気付くことが出来たのではないかと思うと残念な話だ.とは言え人間は何かと自分に都合よく考えて行動してしまうものである.一見,あり得ない事のようだが,考えられることは全て起こるということをまた実感させられた事故である.
参考)
1.トムラウシ山遭難事故2002年7月
http://www.ne.jp/asahi/slowly-hike/daisetsuzan/02taisetudata/04sonanjiko/20020711-13tomuraushi.html
2.山岳遭難発生状況
http://www.h2.dion.ne.jp/~cha2/mountain/sounan.htm
ドキュメント 気象遭難 山と渓谷社 羽根田 治
北海道大雪山系のトムラウシ山(2141メートル)と美瑛岳(2052メートル)で登山客らが相次いで遭難した事故で、北海道警は17日午前までに10人の死亡を確認した。18人が遭難したトムラウシ山では17日午前までに5人が自力下山し、道警などのヘリに13人が収容されたが、8人が死亡した。このツアーとは別に男性登山者1人が死亡して見つかった。6人が遭難した美瑛岳では17日未明、1人の死亡を確認した。北海道警は二つの遭難事故について業務上過失致死容疑でツアー会社側に対する捜査を始めた。
道警新得署などによると、トムラウシ山で遭難したのは東京都内の旅行会社アミューズトラベルが主催したツアー。50〜60代の客15人(男性5、女性10)と、男性ガイド4人の計19人のパーティーだったが、ガイド1人が避難小屋に残ったため遭難時は18人だった。自力で5人が下山し、ヘリに収容された人のうち5人の生存が確認された。
このパーティーが歩いたコースは、旭岳温泉から入山し、旭岳やトムラウシ山を2泊3日で縦走する「健脚向けのコース」。トムラウシ山はこの時期、花の山として人気があるが、山が奥深く、体力、精神力がないと登れないとされる。14日から16日にかけては雨や風が強く、気温も下がり、登山者の体力を奪ったとみられる。参加者の一人は「風が吹き荒れていたが、ツアーは計画通り出発した」と話している。
一方、美瑛岳で遭難したパーティーは、茨城県つくば市の旅行会社オフィスコンパスが企画したツアー。女性客3人と男性ガイド3人が遭難した。道警旭川東署は17日午前0時40分ごろ、美瑛富士避難小屋で兵庫県姫路市の尾上敦子さん(64)ら3人を発見し、さらに避難小屋から南西の標高1850メートル地点で野営していた3人も発見。尾上さんはすでに死亡していたという。
札幌管区気象台によると、14〜16日、道内は低気圧が通過し、大雨が降ったり強風が吹いたりした。トムラウシ山の標高2千メートル付近の16日午前9時の気温は6〜7度だったと推測されるという。帯広測候所によると、山頂付近では16日、20〜25メートルの強い風が吹いていたといい、同気象台は「体感温度はさらに低かったのでは」とみている。
同気象台によると、16日午前9時の札幌市の上空1500メートルの気温は、11.4度で平年の13.5度より2度低かった。今年の北海道は7月に入って低気圧が通過する回数が平年より多く、2〜4日に1度は低気圧が抜けた後に寒気が流れ込む割合が増えているという。』
亡くなられた方々には心よりお悔やみを申し上げるが,登山は自然が相手のスポーツだから,不測の事態に巻き込まれれば命を失うのも仕方がないかもしれない.かの植村直己さんでさえ最期は遭難されたのだから,自分の力量や目標の山の危険性をちゃんと評価できない素人ならなおさら危険ということなのだろう.だからガイドのいるツアーに参加したのかも知れないが,それは他人に命を預けることに他ならないのである.
ツアーを企画した旅行会社やガイドの責任は問われて然るべきだが,参加した人たちはこのツアーが体力的にどれほど大変なものかちゃんと理解していたのだろうか.私も登山に熱中した頃があり,トムラウシにも登ったが旭岳からの縦走なんてとても「健脚向けのコース」なんていう気軽なものではないと思う.長い距離を歩き山中で2泊してトムラウシに着く頃には体力的な余裕はもうほとんど残っていなかったに違いない.そこに寒波が襲来すればどうなるか.
暖かいところに住み慣れた人たちが気温5〜6度の中で疲れて身動きがとれなくなればあとは死を待つのみだろう.過去の事例を勉強して,よく考えれば夏山とはいえ危険があるということに気付くことが出来たのではないかと思うと残念な話だ.とは言え人間は何かと自分に都合よく考えて行動してしまうものである.一見,あり得ない事のようだが,考えられることは全て起こるということをまた実感させられた事故である.
参考)
1.トムラウシ山遭難事故2002年7月
http://www.ne.jp/asahi/slowly-hike/daisetsuzan/02taisetudata/04sonanjiko/20020711-13tomuraushi.html
2.山岳遭難発生状況
http://www.h2.dion.ne.jp/~cha2/mountain/sounan.htm
ドキュメント 気象遭難 山と渓谷社 羽根田 治
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