『ビンラディン容疑者死亡、ワシントンやNYで市民が歓喜

 約3000人が犠牲となった2001年9月11日の米同時多発攻撃の首謀者とされるアルカイダの指導者、ウサマ・ビンラディン容疑者が死亡したとのニュースを受け、ホワイトハウス前やニューヨークでは、市民数千人が集まって歓喜の声を挙げた。

 ワシントンのホワイトハウス前には、現地時間1日午後10時40分にビンラディン容疑者死亡の第1報が流れた直後から人が集まり始め、オバマ大統領が異例の深夜会見を行うころには「USA、USA」と連呼する声がこだました。

 「みんなで祝福しなくては。今日のニュースの結果を非常に喜んでいる」と語ったのは、湾岸戦争に参加した元米海軍兵士のスティーブン・ケリーさん。妻からの携帯電話のメッセージでニュースを知り、ホワイトハウスに駆け付けたという。ホワイトハウス前には当時まだ子どもだった大学生らも大勢が詰めかけ、大きな星条旗を体に巻きつけて興奮気味に喜びを語る人もいた。

 ニューヨークでは、マイケル・ブルームバーグ市長が「ニューヨーカーはこの知らせを10年近く待っていた。2001年9月11日に愛する人を失ったすべての人にとって、慰めになることを望む」との声明を発表。約1年前に爆破未遂事件が起きていたタイムズスクエア周辺や、世界貿易センター(WTC)ビルの跡地(グラウンド・ゼロ)では、遅い時間にもかかわらず数百人が繰り出し、集まった群衆に消防隊員らが手を振る様子も見られた。

 消防服を着た消防士のパトリス・マクラウドさんは「非常に素晴らしい瞬間だ。イスラム教徒だろうとキリスト教徒だろうと関係なく、誰であれ1つになれることを望む。われわれは絶対にあきらめない」と述べた。』

 キリスト教では報復殺人は喜ぶべきことなんだろうか.テロリストとの戦争だから暗殺も超法規的なもので法に反するものではないという考え方なのだろうか.そんなことはどうだろうと,「9・11」の復讐ができた気分で歓喜の声を挙げた市民が数千人はいたのはきっと事実なんだろう.

 だが,「9・11」以降に米軍との戦闘で死亡した罪もないイスラム教徒はいったい何人いたのかということを考えるととても喜ぶことなどできないのではないだろうか.米軍によって殺された人の家族にすれば未だ復讐は終わっていないし,米国への復讐を誓った者たちに終わりなどないだろう.

 米国民が目的のためには手段を選ばないこと,目的達成を決してあきらめないことはわかったが,それだけでは勝てないことを未だに学んでいないからこんなに素直に喜べるのだろう.今は一時の幸福感を味わったとしても現実は何も変わっていないということを明日から知ることになるだろうし,この先にどんな不幸があるかもわからない.

 殺害されたのが本物かどうかもわからないが,10年も経てばテロリストの世代交代も進んでいるはずだからたとえ本物だったとしてもこれでテロ活動が抑制されるとも思えない.むしろテロリストの象徴が暗殺されたということが次のテロ活動の口実とされ活動が再び活発化する可能性のほうが高いのではないだろうか.

 そう考えるとやはり喜んでいる場合ではないだろう.地震も津波も放射能も怖いがテロに巻き込まれて死ぬなんて考えるだけでも厭なことだ.なんとも恐ろしい事だらけの世の中になってしまったものだ.

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