JR東海はブラック企業?
2013年4月6日 社会の問題 コメント (1)『始業前出勤 強制か心掛けか 「出勤遅延未遂」責められた駅員が自殺
「朝活」ブームで、早朝から一日のスタートを切る人も多い。だが、それが仕事絡みで上司の指示に基づくなら、時間外労働として扱われ、労働基準法の制約を受けるのが筋だ。始業前出勤はあくまで自主的な心掛けか、それとも事実上の強制か。はざまで苦しんだ駅員だった男性のケースを追った。
今年一月十七日。滋賀県内の山林で、二十一歳の男性が自ら命を絶った姿で見つかった。男性はJR東海に入社して二年。駅員だった男性は寮から姿を消し、家族や友人が行方を捜していたのだ。
家族が上司から聞いた説明で、経緯が浮かび上がってきた。男性は以前、始業時間に遅刻したことから、定時より一時間前に出勤するよう「奨励」されていたのだ。
失踪する数日前、男性は定時の二十分前に出勤した。だが上司は、一時間前に出勤しなかったことを理由に、「出勤遅延未遂」と指摘。理由を明らかにするように、プライベートを含めて、前日からの行動記録を提出するよう求めた。
その提出期限は男性の休日だったが、職場に来て提出するよう約束させた。しかし、男性は期限に現れず、行方が分からなくなった。
以前に遅刻した際、男性は一週間にわたって勤務を外され、「反省」を迫られる経験をしている。失踪の前日、近所のホームセンターで男性はロープを買っていたことが、見つかったレシートで分かった。男性の父親(55)は「息子が遭ったのは明らかないじめであり、パワハラだ。遅刻未遂とは、遅刻していない意味のはず。なぜ自殺に追い込まれるまで責められなければならなかったのか。会社は明らかにするべきだ」と話す。
始業前に余裕を持って出勤するのは、一般的には仕事をスムーズに運ぶ上で良いこととされる。だが仕事に密接に関わることは本来、労働時間に含まれる。例えば制服や作業着に着替える時間。これを争った大手造船会社の勤務をめぐる裁判では二〇〇〇年三月、着替え時間も労働時間に含まれると最高裁が判断した。
判断の基準は「労働者の行為が、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否か」だ。朝礼や打ち合わせなど、上司が仕事の方針や手順を示し、それに参加しないと仕事上、本人の不利益になる場合は「指揮命令下」に当てはまる。
では、始業前に有志で勉強会を開く「朝活」はどうか。その場合、本人の自由意思で参加している限り、労働時間には入らない。だが、その「朝活」を上司が奨励し、昇進や給与、待遇を判断する材料となる場合は、「指揮命令下」である疑いは濃くなる。
会社側が始業前出勤を労働時間と見なさない以上、始業前に出勤しないことを理由に本人の責任を問うことは本来できない。自殺した男性のケースでは、一時間前の出勤「奨励」が事実上、上司の指示に基づく強制だったのかどうか、あくまで「奨励」なら、上司が遅刻の「未遂」をただしたことが正当だったのかどうか、が問題となる。
労働法制に詳しい労働弁護団の鵜飼良昭会長は「時間厳守と言いながら、働く者の時間を守っていないのは会社側だ。大幅な定時前出勤を奨励すること自体、法の精神に反している」と指摘する。
男性の自殺について、JR東海広報部は本紙の取材に対し「当社と遺族との関係なので、コメントはしません」としている。』
上司が勝手に一時間前に出勤しなかったことを「出勤遅延未遂」と指摘し責めたてたのであれば立派にパワハラだろう.だが,これがJR東海という組織ぐるみで常態化しているのであれば話はぜんぜん違ってくるだろう.もし,そうならJR東海はかなりブラック企業に近くなるのではないだろうか.
厚生労働省の役人をはじめとして日本には自分自身が給与をもらって働く労働者でありながら,労働者の権利に間違った考え方を持っている人が多いように思う.JR東海のこの上司にしても会社の命令でそうしていたなら会社の責任だろうが,自分がそのように教育されたから後輩にも同じ事を求めることに疑問を感じる事さえ出来なくなっているのだとしたら,奴隷同士でむち打ち合うみたいな話で全く馬鹿げたことではないだろうか.
最近では女子柔道がそうだったが,パワハラが組織として当たり前のように受け止められていたという情けない組織はきっと他にもまだたくさんあることだろう.学校でのいじめの問題も教師達の感覚の鈍さが問題を見過ごしているということがニュースでの学校や教育委員会のコメントから感じられることだ.こうした感覚の鈍さというのは無知では済まされず罪深いものと言うべきだろう.
もう一つこのニュースを読んでわかったことは『着替え時間も労働時間に含まれると最高裁が判断した』ということである.そうであれば,病院でも勤務時間開始からすぐに病棟回診が始まったり,外来終了時間が勤務終了時間だったりするのはおかしなことなのかもしれない.これは知らなかっただけにちょっと驚いた.
もっとも,それ以前に外来終了直前に来て頭部MRIやMRAを希望する患者がいるのも変だ.レストランでもラストオーダーがあるように新患の受付時間は外来終了の1時間前になっていないと検査する時間がないことになるのだ.これでは病院自体が時間外で外来患者の診療をすることが前提となっていて,医師も看護師も検査技師も時間外労働が当たり前と言っているのと同じことだ.
しかし,そんなことも厚生労働省は監査で指摘する事はない.医師の定員不足にはうるさいくせに,医師の勤務時間はたとえ時間外に外来患者を診ても労働時間には含めないのだから過重労働には甘いのである.最近の政府はなにかと国際標準を言いたがるが,それならまずこういうところを改めて欲しいものだが,真面目にやると医師が足りなくなるから眼をつぶっているのだろう.
今の日本では労働者は医師も含めて最初から過重労働するのが当たり前とされているのだろう.そして,それを国民もきっと当たり前だと思っていて問題だとは思っていないのではないだろうか.すなわち日本全体がブラックということだろう.最近のコンビニ受診の患者の態度をみているとそう思わずにはいられないのである.
「朝活」ブームで、早朝から一日のスタートを切る人も多い。だが、それが仕事絡みで上司の指示に基づくなら、時間外労働として扱われ、労働基準法の制約を受けるのが筋だ。始業前出勤はあくまで自主的な心掛けか、それとも事実上の強制か。はざまで苦しんだ駅員だった男性のケースを追った。
今年一月十七日。滋賀県内の山林で、二十一歳の男性が自ら命を絶った姿で見つかった。男性はJR東海に入社して二年。駅員だった男性は寮から姿を消し、家族や友人が行方を捜していたのだ。
家族が上司から聞いた説明で、経緯が浮かび上がってきた。男性は以前、始業時間に遅刻したことから、定時より一時間前に出勤するよう「奨励」されていたのだ。
失踪する数日前、男性は定時の二十分前に出勤した。だが上司は、一時間前に出勤しなかったことを理由に、「出勤遅延未遂」と指摘。理由を明らかにするように、プライベートを含めて、前日からの行動記録を提出するよう求めた。
その提出期限は男性の休日だったが、職場に来て提出するよう約束させた。しかし、男性は期限に現れず、行方が分からなくなった。
以前に遅刻した際、男性は一週間にわたって勤務を外され、「反省」を迫られる経験をしている。失踪の前日、近所のホームセンターで男性はロープを買っていたことが、見つかったレシートで分かった。男性の父親(55)は「息子が遭ったのは明らかないじめであり、パワハラだ。遅刻未遂とは、遅刻していない意味のはず。なぜ自殺に追い込まれるまで責められなければならなかったのか。会社は明らかにするべきだ」と話す。
始業前に余裕を持って出勤するのは、一般的には仕事をスムーズに運ぶ上で良いこととされる。だが仕事に密接に関わることは本来、労働時間に含まれる。例えば制服や作業着に着替える時間。これを争った大手造船会社の勤務をめぐる裁判では二〇〇〇年三月、着替え時間も労働時間に含まれると最高裁が判断した。
判断の基準は「労働者の行為が、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否か」だ。朝礼や打ち合わせなど、上司が仕事の方針や手順を示し、それに参加しないと仕事上、本人の不利益になる場合は「指揮命令下」に当てはまる。
では、始業前に有志で勉強会を開く「朝活」はどうか。その場合、本人の自由意思で参加している限り、労働時間には入らない。だが、その「朝活」を上司が奨励し、昇進や給与、待遇を判断する材料となる場合は、「指揮命令下」である疑いは濃くなる。
会社側が始業前出勤を労働時間と見なさない以上、始業前に出勤しないことを理由に本人の責任を問うことは本来できない。自殺した男性のケースでは、一時間前の出勤「奨励」が事実上、上司の指示に基づく強制だったのかどうか、あくまで「奨励」なら、上司が遅刻の「未遂」をただしたことが正当だったのかどうか、が問題となる。
労働法制に詳しい労働弁護団の鵜飼良昭会長は「時間厳守と言いながら、働く者の時間を守っていないのは会社側だ。大幅な定時前出勤を奨励すること自体、法の精神に反している」と指摘する。
男性の自殺について、JR東海広報部は本紙の取材に対し「当社と遺族との関係なので、コメントはしません」としている。』
上司が勝手に一時間前に出勤しなかったことを「出勤遅延未遂」と指摘し責めたてたのであれば立派にパワハラだろう.だが,これがJR東海という組織ぐるみで常態化しているのであれば話はぜんぜん違ってくるだろう.もし,そうならJR東海はかなりブラック企業に近くなるのではないだろうか.
厚生労働省の役人をはじめとして日本には自分自身が給与をもらって働く労働者でありながら,労働者の権利に間違った考え方を持っている人が多いように思う.JR東海のこの上司にしても会社の命令でそうしていたなら会社の責任だろうが,自分がそのように教育されたから後輩にも同じ事を求めることに疑問を感じる事さえ出来なくなっているのだとしたら,奴隷同士でむち打ち合うみたいな話で全く馬鹿げたことではないだろうか.
最近では女子柔道がそうだったが,パワハラが組織として当たり前のように受け止められていたという情けない組織はきっと他にもまだたくさんあることだろう.学校でのいじめの問題も教師達の感覚の鈍さが問題を見過ごしているということがニュースでの学校や教育委員会のコメントから感じられることだ.こうした感覚の鈍さというのは無知では済まされず罪深いものと言うべきだろう.
もう一つこのニュースを読んでわかったことは『着替え時間も労働時間に含まれると最高裁が判断した』ということである.そうであれば,病院でも勤務時間開始からすぐに病棟回診が始まったり,外来終了時間が勤務終了時間だったりするのはおかしなことなのかもしれない.これは知らなかっただけにちょっと驚いた.
もっとも,それ以前に外来終了直前に来て頭部MRIやMRAを希望する患者がいるのも変だ.レストランでもラストオーダーがあるように新患の受付時間は外来終了の1時間前になっていないと検査する時間がないことになるのだ.これでは病院自体が時間外で外来患者の診療をすることが前提となっていて,医師も看護師も検査技師も時間外労働が当たり前と言っているのと同じことだ.
しかし,そんなことも厚生労働省は監査で指摘する事はない.医師の定員不足にはうるさいくせに,医師の勤務時間はたとえ時間外に外来患者を診ても労働時間には含めないのだから過重労働には甘いのである.最近の政府はなにかと国際標準を言いたがるが,それならまずこういうところを改めて欲しいものだが,真面目にやると医師が足りなくなるから眼をつぶっているのだろう.
今の日本では労働者は医師も含めて最初から過重労働するのが当たり前とされているのだろう.そして,それを国民もきっと当たり前だと思っていて問題だとは思っていないのではないだろうか.すなわち日本全体がブラックということだろう.最近のコンビニ受診の患者の態度をみているとそう思わずにはいられないのである.
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