『「ゲン」制限要請撤回 「事実誤認」「知る自由」評価二分

 原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」をめぐり、松江市教育委員会が26日、閲覧制限を撤回したことについて賛否を問う声が上がった。

 「特定の思想傾向が強い漫画で、歴史学的に間違いがある」。政治学者の岩田温(あつし)・秀明大専任講師(29)が指摘するのは、市教委が過激で不適切として閲覧制限を決めた、旧日本軍の兵士が首を刀で切り落とし、女性に乱暴して惨殺する-という描写だ。

 岩田講師は「旧日本軍の一部に逸脱した行為があった可能性はあるが、まるで軍全体の方針であったかのように描かれている。児童生徒に積極的に読ませる書物なのか」と話した。

 被爆者らから閲覧制限に批判的な意見が相次ぐなか、市教委の対応を支持してきた被爆者や被爆2世らでつくる「平和と安全を求める被爆者たちの会」(広島市)。池中美平(びへい)副代表(63)は「原爆の悲惨さを強調するのはいい」と前置きした上で、「作品は非道な原爆投下を日本人の責任にする偏った思想の宣伝道具だ。学校図書とするのは問題だ」と指摘する。

 市教委の撤回方針に対しては、「判断力が乏しい子供たちに、根拠のない『日本が悪い』という潜在意識が生まれる」と危惧した。

 一方で、閲覧制限の撤回を支持する声も聞かれた。

 東京工芸大芸術学部マンガ学科の細萱(ほそがや)敦教授(50)は「忘れてはならない歴史を扱った名作で、小説などよりも戦争や原爆投下への理解を深める入り口になる」と指摘する。社団法人・日本図書館協会(東京)は市教委に閲覧制限を再考するように要望していた。同協会「図書館の自由委員会」の西河内靖泰(にしごうち・やすひろ)委員長(59)は「知る自由を保障することが図書館の役割。撤回は、その原則に立ち返った賢明な判断だ」と評価した。』

 教育委員会などというものがいかに教養や常識のない人たちで構成されたものかという話はさておき,いままで読まれてきた漫画を十分な議論もなしにいきなり閲覧出来ないようにするというのはやはり常識的に無理だと言うことだろう.

 一定の知識を身につけるために読む必要のある教科書ならともかくも,図書,それも漫画の内容が多少事実と違っていたとしても別に問題はないであろう.それよりも本に書かれている事をすべて真実だと思ってしまうような子どもばかりになるほうがはるかに恐ろしいことだ.

 現在の子ども達の回りには活字媒体よりもはるかに多くの情報がテレビやネットで流れているにも関わらず,多数の情報の中から自分で正しい情報を選ぶということを学校であまりきちんと教えられていないのが問題だ.情報操作されないように物を見る目を養うことを子どもに教えるべきだろう.

 私もずいぶん昔に「はだしのゲン」は何巻か読んだ事があるし,たしかに当時の漫画としては残酷なシーンもあったように思うが,それでも最近話題の「進撃の巨人」に比べたらさほどでもないし,現実に起きている自爆テロや化学兵器による大量殺人にくらべたらぜんぜん大したことではない.

 「はだしのゲン」から学ぶべき事は原子爆弾による無差別大量殺人や国家の武力衝突である戦争の悲惨さということであり,旧日本軍の一部の兵士の犯罪行為や日本人自体が悪いと言う話ではないだろう.何が正しくて,何が悪いのかを考える力をつけることが教育であり,考える機会そのものを奪うのは,自分で考えない馬鹿な大人を増やすだけの愚かな行為である.

 最近,twitterに非常識な行為をしたことを自慢げに書き込む馬鹿な若者が目立つのも,現実の世界について考える機会がないままにネットやゲームの仮想現実の中だけで育った子どもたちがそのまま大人になったからではないだろうか.彼らがあんな馬鹿なことができるのは,現実世界の認識が弱くて罪悪感がそれほどないからなのだろう.

 私が世の中を見ていて思う事は,今の日本はまだ「子ども社会」だということだ.テレビで何かの食品が健康にいいと言われると,店頭からその食品が消えたりするのはいい例だろう.何か情報が与えられるとその真偽を考えずにすぐに飛びつくというのは誰かに煽動されやすい危険な行動パターンだ.

 これでは韓国や中国で反日を叫んでいる人たちと同じ穴のムジナだ.早く情報を手に入れても,冷静に考えて行動しなければ,利用されるか潰されるかのどちらかになるだけだろう.

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