事の始まり
 事の始まりは9月のとある日曜日だった.いつものように近所のマルヤマクラスまで趣味の雑誌を買いに行ったのだが,見たことのある本ばかりでまだ新しいのは入荷していなかった.そんな時にたまたま目についたのが『COMMERCIAL PHOTO 2013/10』.この雑誌は広告写真の本で,たまに興味をひかれることが書いてあるので年に1回位は買うことがあるのだが,パラパラと立ち読みしてみると見たこともないカメラの写真が載っていた.

 Blackmagic cinemaという名前は春頃に写真の雑誌で見た記憶があり,それは何十万円もするプロ用の機材だと思っていたのだが,そこに書かれていた価格は¥101,800.これを見た瞬間にこれは使えそうだと直感してしまったのだ.さっそくこの本を買って急いで自宅に戻りスペックや他に必要なものについてネットで調べてみた.

 どうやらレンズは今持っているパナソニックのマイクロフォーサーズのものがそのまま使えそうだし,カラーグレーディングのソフトはプロ用のがタダで使えるらしいということが分かったので,ネットのプロショップに発注したが,すでに人気のために品薄で1ヶ月待ちと言うことになった.

 10月下旬になり入荷の案内のメールが来て月末に発送予定と連絡が入った.娘の合唱コンクールにどうにか間に合いそうだと思ったが,色々調べるうちに今持っているレンズでは性能が足りないかもしれないと思うようになり急きょ新しい望遠ズームレンズを発注して即日配達でどうにか間に合わせ,標準ズームのためにパナソニックのマイクロフォーサーズのカメラとレンズを下取り交換に出すことになった.

 実際に使ってみて分かったことは,確かに画質は良いが音質に問題がありコンサートなどの演奏の記録には役不足ということや,私のデジタル一眼レフとの併用ではカメラのシャッター音が大きすぎるということだった.

 実は,これ以前にソニーから11月15日に発売予定のHDR-MV1 ミュージックビデオレコーダーを予約してあったので,音声はこれで収録することにするとしてもデジタル一眼レフに代わるスチル写真撮影用の機材を私は持っていないことに気付いた.

 ネットでまた調べてみたら,たとえミラーレス機でデジタル音を消してもメカニカルシャッターを採用しているデジカメでは音がしてしまうので,完全に音が消せるもので使えそうなのはNikon 1だけだった.Nikon 1はその名の通り1インチセンサーなのでコンデジ並みの画質になってしまうが,交換レンズが使えるのとそのレンズの性能がまあまあ良いのでそれに期待してみることにした.

 そんなこんなで気がついたら,デジタルシネマカメラ1台,小さなミラーレスカメラ1台,と各々に標準と望遠のズームレンズを購入し,さらに昨年から購入予定を立てていた散歩写真用のFUJIFILM X-E2を購入したので,今季の撮影機材購入はNikon D3でフルサイズシステムを立ち上げた時以来の大掛かりなものになってしまった.

参考:
『1080HDのデジタルシネマカメラが¥101,800! 業界騒然のBlackmagic Design「Blackmagic Pocket Cinema Camera」

 YouTubeやVimeoによって720や1080のHD動画が当たり前の存在になった今、それらを撮影する機材の進化に拍車がかかっている。高画質の動画の撮影のためのデジタルシネマカメラと呼ばれるジャンルで注目の新製品が登場した。

 Blackmagic Designならではのシンプルで美しいデザインはアルミニウム合金製フレームでタフさも兼ね備える。大きさ的にはまさにマイクロフォーザーズのミラーレス一眼かそれよりもコンパクト。サイズは128×38×66mm、重量355g。センサーサイズ12.48mmx7.02mm、解像度1920x1080、フォーマットはLossless CinemaDNG RAW and Apple ProRes 422(HQ) at 1920x1080、フレームレート23.98p、24p、25p、29.97p、30p。7月発売予定。¥101,800〈Blackmagic/Blackmagic Design tel.03-5295-5661〉

 一昔前までHD動画といえば、プロがプロの機材を使って撮影するものだった。なぜならそれようのデジタルシネマカメラは数百万円レベルの代物で、おいそれと購入できるものではなかったからだ。例えば2008年に公開された『チェ 28歳の革命』『39歳 別れの手紙』は昔のフィルムで撮ったような質感になっているが、あれはボディのみで数百万円するアメリカのRED社のデジタルシネマカメラで撮影されたものだ。

 そもそも同じデジタルの1080HDでも、一般のコンパクトデジカメで撮れるHD動画とプロ用のデジタルシネマカメラと呼ばれる機材では映像のクオリティはまったくの別物。

 そもそもデジタルシネマカメラというのは23.98、24、25、29.97、30fps(つまり1秒あたり30枚)のデジタル映像を記録するというのもの。つまり静止画を1秒あたり30枚連写し、それを連続して再生することで動画に見えるようにしているわけだ。かつて活動写真と呼ばれていた映画がフィルムに1コマ1コマ焼き付けていたのと同じようなデータの構造になっているのが、これらプロ用の機材であり“ビデオカメラ”ではなく、“デジタルシネマカメラ”と呼ばれるゆえんである。

 そして、こうしたデータ構造とすることで、デジタル写真(静止画)と同様に色味や質感を自在に変えることができるようになり、前述の映画のように味のある映像とすることができるのだ。

 今回発表されたBlackmagic Designのデジタルシネマカメラ「Blackmagic Pocket Cinema Camera」は、そんなデジタルシネマカメラであるにも関わらず、なんと¥101,800という驚異的な低価格を実現した画期的なモデル。しかも価格のみならず、レンズマウントにアマチュアに普及しているミラーレス一眼の規格であるマイクロフォーザース規格を採用しているため、低価格で流通量とバリエーションの多いマイクロフォーザーズレンズをそのまま利用できるのだ。

 価格とマイクロフォーザーズ規格ということで、アマチュア向けのように感じられるかもしれないが、ダイナミックレンジは13段分、HMDIアウトプット、LANC Remote Controlなどの機能を備え、価格を超えたプロが使える性能を備えているのが特徴である。

 もちろんプロクオリティの作品撮りをするためには、さまざまなレンズや録音用のマイク、マウントやグリップなどが必要になってくる上、撮影後の画像処理を考えると基本的にはプロ用の機材といえる。とはいえ、¥101,800という価格、iPhone 5よりやや大きい程度の横幅128mm、重さ355gというコンパクトさと他のデジタルカメラにはないApple製品的なシンプルなデザインは実に魅力的。

今まで趣味で一眼動画を撮影していたアマチュアユーザー、特にマイクロフォーザーズユーザーには垂涎の1台といえるだろう。もしかしたらスナップHDムービーといった新しい映像ジャンルができるかもしれない。』

スナップ写真ならぬスナップHDムービーは私も撮ってみたいです.

コメント

えすこ
2013年11月11日12:30

カメラやレンズのことはさっぱり分かりませんが、事の経過と思考過程を読み、クスッと笑ってしまいました。

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