認知症かどうかが問題ではない
2016年11月12日 社会の問題
『認知機能チェック 厳格化、課題多く 来春、改正道交法施行
横浜市港南区で十月、小学一年生の男児が亡くなった事故に続き、今月に入り栃木県の大学病院や都内のコンビニでいずれも八十代のドライバーによる事故が相次いだ。来年三月には、高齢ドライバーの認知機能のチェックを厳しくする改正道路交通法が施行される。医師の診断を必要とする人の大幅増加が見込まれ、医療体制不足が懸念されるほか、免許が取り消されて交通手段を失った高齢者の暮らしを不安視する声もある。
「どこを走ったのか覚えていない」。十月二十八日朝、横浜市港南区で登校中の小学生の列に突っ込み、一年生の男児を死亡させた男(87)=自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で逮捕=は、警察にこう話したという。供述が二転三転していることなどから、横浜地検は今月十一日、認知機能が事故に影響したのかどうかを調べるため、男を鑑定留置にした。
社会の高齢化が進む中、警察庁は二〇〇九年、七十五歳以上の高齢者の免許更新時の認知機能検査を行い、「認知症の恐れがある」(第一分類)、「認知機能低下の恐れがある」(第二分類)、「低下の恐れがない」(第三分類)とする制度を導入。第一分類の人が信号無視などの交通違反を犯し、医師が認知症と診断すれば、免許取り消し処分にしてきた。
しかし、七十五歳以上の運転手が昨年一年間、より過失が重い第一当事者となった死亡事故(四百五十八件)を分析すると、免許更新時に第一分類とされた人は三十一人にとどまる一方、第二分類が百八十一人と四割近いことが判明。医療関係者によると、認知機能は急激に低下することもあり、横浜市で事故を起こした男も、三年前の免許更新時の検査では問題がないとされていた。
このため「免許更新時でなくても、高齢運転者の現状をタイムリーに把握する必要がある」(警察庁運転免許課の佐藤昭一理事官)と、認知機能のチェックを強化した改正道交法が来年三月に施行される。第一分類とされた人には、交通違反がなくてもすぐに医師の診断を受けさせるほか、第二分類以下でも違反があれば検査を受けさせ、認知症と診断されれば免許を取り消す。
ただ、課題も残る。昨年一年間に第一分類とされた人は約五万人。認知症専門医で八千代病院(愛知県安城市)の川畑信也認知症疾患医療センター長は「認知症の診断には一人あたり半日かかる。過疎地ほど車の必要性が高く診断の需要があるが、診ることのできる専門医は少ない」と医療体制の不十分さを指摘。
さらに「『診断で免許を取り消された』と医師が裁判で訴えられたり、『認知症を見過ごした』と事故の遺族から訴えられる可能性もある」と懸念する。
また「免許を取り上げれば、郊外に住む人の暮らしが著しく不自由になる」(佐藤理事官)ため、免許取り消し後の交通をどう確保するかも重要だ。
<75歳以上の高齢者の認知機能検査> 免許更新時に日付を聞いたり、絵を見せたりして、記憶を確認するテストを実施。49点未満は「認知症の恐れがある」(第一分類)、49点以上76点未満は「認知機能低下の恐れがある」(第二分類)、76点以上は「認知機能低下の恐れがない」(第三分類)とされる。昨年の検査で第一分類は約5万人、第二分類は約50万人、第三分類は約107万人。』
認知症は確かに運転には適さないが,アクセルとブレーキの踏み間違いが認知症と関連しているかどうかは疑わしい.運転に適する認知機能があるかどうかなんて医師でなくても見極めることが出来るだろう.80歳以上の運転者は免許の更新を1年ごとにするというのもいいのではないだろうか.
脳血管障害や癲癇の患者さんが運転免許の更新の時に認知機能や癲癇発作の可能性について意見書を提出しなければならず,外来に持ってくることが最近は以前より多くなった.認知症があるかどうかとか,癲癇発作の起きる可能性があるかどうかを選択肢から選んで回答するようになっているのだが,認知症とは言えなくとも運転はやめたほうがいいような人もいるし,癲癇発作が今後2年以内に起きそうもない癲癇患者というのはかなり少ないのが実態だろう.
つまり,明らかな認知症患者と癲癇発作を繰り返しているような患者以外については実際に免許を停止するのは難しいのではないかと思う.そもそも意見書を出してもその後どういう理由で免許が停止されたり発行されたりしたというフィードバックも来ないのである.それなのに意見書を書かされた挙句に,これはもし免許が発行されると心配だという患者さんには家族に更新しないように話したりしているのだから時間が足りなくなるのである.
はっきり言って運転免許に関しては健康保険ではなく自費で認知機能検査を受けてもらうようにすべきだろうし,それは公安委員会の嘱託医にでもやってもらったほうがいいだろう.これから80歳以上の運転者はさらに増えるのだろうから,今までのようなやり方では事故がさらに増えると考えて改正道交法を改正したのだろうが,運転免許のための認知機能の検査を一般病院に任せるのはいい加減やめてもらいたいものだ.
横浜市港南区で十月、小学一年生の男児が亡くなった事故に続き、今月に入り栃木県の大学病院や都内のコンビニでいずれも八十代のドライバーによる事故が相次いだ。来年三月には、高齢ドライバーの認知機能のチェックを厳しくする改正道路交通法が施行される。医師の診断を必要とする人の大幅増加が見込まれ、医療体制不足が懸念されるほか、免許が取り消されて交通手段を失った高齢者の暮らしを不安視する声もある。
「どこを走ったのか覚えていない」。十月二十八日朝、横浜市港南区で登校中の小学生の列に突っ込み、一年生の男児を死亡させた男(87)=自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で逮捕=は、警察にこう話したという。供述が二転三転していることなどから、横浜地検は今月十一日、認知機能が事故に影響したのかどうかを調べるため、男を鑑定留置にした。
社会の高齢化が進む中、警察庁は二〇〇九年、七十五歳以上の高齢者の免許更新時の認知機能検査を行い、「認知症の恐れがある」(第一分類)、「認知機能低下の恐れがある」(第二分類)、「低下の恐れがない」(第三分類)とする制度を導入。第一分類の人が信号無視などの交通違反を犯し、医師が認知症と診断すれば、免許取り消し処分にしてきた。
しかし、七十五歳以上の運転手が昨年一年間、より過失が重い第一当事者となった死亡事故(四百五十八件)を分析すると、免許更新時に第一分類とされた人は三十一人にとどまる一方、第二分類が百八十一人と四割近いことが判明。医療関係者によると、認知機能は急激に低下することもあり、横浜市で事故を起こした男も、三年前の免許更新時の検査では問題がないとされていた。
このため「免許更新時でなくても、高齢運転者の現状をタイムリーに把握する必要がある」(警察庁運転免許課の佐藤昭一理事官)と、認知機能のチェックを強化した改正道交法が来年三月に施行される。第一分類とされた人には、交通違反がなくてもすぐに医師の診断を受けさせるほか、第二分類以下でも違反があれば検査を受けさせ、認知症と診断されれば免許を取り消す。
ただ、課題も残る。昨年一年間に第一分類とされた人は約五万人。認知症専門医で八千代病院(愛知県安城市)の川畑信也認知症疾患医療センター長は「認知症の診断には一人あたり半日かかる。過疎地ほど車の必要性が高く診断の需要があるが、診ることのできる専門医は少ない」と医療体制の不十分さを指摘。
さらに「『診断で免許を取り消された』と医師が裁判で訴えられたり、『認知症を見過ごした』と事故の遺族から訴えられる可能性もある」と懸念する。
また「免許を取り上げれば、郊外に住む人の暮らしが著しく不自由になる」(佐藤理事官)ため、免許取り消し後の交通をどう確保するかも重要だ。
<75歳以上の高齢者の認知機能検査> 免許更新時に日付を聞いたり、絵を見せたりして、記憶を確認するテストを実施。49点未満は「認知症の恐れがある」(第一分類)、49点以上76点未満は「認知機能低下の恐れがある」(第二分類)、76点以上は「認知機能低下の恐れがない」(第三分類)とされる。昨年の検査で第一分類は約5万人、第二分類は約50万人、第三分類は約107万人。』
認知症は確かに運転には適さないが,アクセルとブレーキの踏み間違いが認知症と関連しているかどうかは疑わしい.運転に適する認知機能があるかどうかなんて医師でなくても見極めることが出来るだろう.80歳以上の運転者は免許の更新を1年ごとにするというのもいいのではないだろうか.
脳血管障害や癲癇の患者さんが運転免許の更新の時に認知機能や癲癇発作の可能性について意見書を提出しなければならず,外来に持ってくることが最近は以前より多くなった.認知症があるかどうかとか,癲癇発作の起きる可能性があるかどうかを選択肢から選んで回答するようになっているのだが,認知症とは言えなくとも運転はやめたほうがいいような人もいるし,癲癇発作が今後2年以内に起きそうもない癲癇患者というのはかなり少ないのが実態だろう.
つまり,明らかな認知症患者と癲癇発作を繰り返しているような患者以外については実際に免許を停止するのは難しいのではないかと思う.そもそも意見書を出してもその後どういう理由で免許が停止されたり発行されたりしたというフィードバックも来ないのである.それなのに意見書を書かされた挙句に,これはもし免許が発行されると心配だという患者さんには家族に更新しないように話したりしているのだから時間が足りなくなるのである.
はっきり言って運転免許に関しては健康保険ではなく自費で認知機能検査を受けてもらうようにすべきだろうし,それは公安委員会の嘱託医にでもやってもらったほうがいいだろう.これから80歳以上の運転者はさらに増えるのだろうから,今までのようなやり方では事故がさらに増えると考えて改正道交法を改正したのだろうが,運転免許のための認知機能の検査を一般病院に任せるのはいい加減やめてもらいたいものだ.
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