『 -- オレンジ果汁によって他の柑橘類の果汁よりも効果的に再発性腎臓結石が予防できる可能性 --
Jennifer Warner
WebMD Medical News
Reviewed By Louise Chang, MD
1日1杯のオレンジ果汁で腎臓結石を予防できる可能性がある。
新しい研究で1日1杯のオレンジ果汁によってレモネード等の他の柑橘類果汁よりも効果的に再発性腎臓結石が予防できる可能性が示されている。
どの柑橘類の果汁でも腎臓結石の生成を予防できると考えられている、と研究者らは述べる。しかし、今回の結果から、この痛みを伴う疾患のリスクが高い人において、すべての柑橘類果汁に同じような予防効果があるとは限らないことが示唆されている。
腎臓結石は尿中のミネラルおよび他の化学物質が非常に濃縮されたときに生成し、時間が経つにつれて結晶同士が結合して石になる。
腎臓結石のある人は再発性結石のリスクが高く、新しい結石の生成を遅らせるために食事とライフスタイルを変えるよう指導される。
クエン酸が腎臓結石の生成を遅らせる
これまでの研究で、クエン酸カリウムのサプリメントは腎臓結石の生成を遅らせうることが示されているが、消化器系の副作用のためこのサプリメントを服用できない人もいる。
このような人にとって、天然のクエン酸が含まれる柑橘類果汁を飲むことがサプリメントの代用となる可能性がある。
クエン酸は、尿中のクエン酸を増やし、尿の酸性度を低下させることによって腎臓結石の形成を予防する。
オレンジ果汁はレモネードよりも効果的
本研究で、研究者らはオレンジ果汁とレモネードの再発性腎臓結石の予防効果を比較した。どちらの果汁にも相当量のクエン酸が含まれる。
志願者13例が3段階の試験に参加した。被験者には腎臓結石の既往歴のある人とない人が含まれた。
被験者は約13オンス(約390mL)の蒸留水、オレンジ果汁、レモネードのいずれかを任意の順序で、1週間にわたり1日3回食事とともに飲用した。次の段階に移行する前に3週間のインターバルをおいた。また被験者は、再発性腎臓結石の予防のため推奨される特別食を摂取した。
結果から、オレンジ果汁によって尿中のクエン酸量が増加し、尿の酸性度が低下し、よって腎臓結石のリスクが低下することが示された。しかし、レモネードで同じ効果は得られなかった。
「オレンジ果汁は腎臓結石症の管理に重要な役割を果たす可能性があり、クエン酸カリウム不耐性の患者にとって1つの選択肢とみなすことができるだろう」と研究者であるテキサス大学サウスウエスタン医療センター(ダラス)の内科助教授であるClarita Odvina, MDはニュースリリースにおいて述べる。
Odvina博士は柑橘類果汁の別の成分が新しい腎臓結石発生のリスク低下における有効性に関係している可能性があると述べる。例えば、オレンジ果汁やグレープフルーツ果汁中のクエン酸はカリウムイオンを伴うのに対し、レモネードやクランベリー果汁中のクエン酸にはプロトンが付随している。Odvina博士はプロトンがこれらの果汁の酸性度低下作用を中和している可能性があると述べる。
この結果は『Clinical Journal of the American Society of Nephrology』に掲載されている。研究者らは、本試験は小規模試験であり、腎臓結石予防におけるオレンジ果汁や他の柑橘類果汁の役割を評価するにはさらなる研究が必要であるとしている。
本試験は米国立衛生研究所(NIH)からの助成金により支援された。
Odivina, C. Clinical Journal of the American Society of Nephrology, Aug. 30, 2006, online edition. News release, UTSW.』
当直の時はビールを飲むわけにはいかないので,必然的にコーヒーやジュースの類いを飲むことになるが,最近のお気に入りは以前に紹介したグレープフルーツジュースである.でも,オレンジジュースも体にいいみたいですね.
私がビールやコーヒーを愛飲する科学的根拠(?)はテーマ医食同源にまとめてあります.
Jennifer Warner
WebMD Medical News
Reviewed By Louise Chang, MD
1日1杯のオレンジ果汁で腎臓結石を予防できる可能性がある。
新しい研究で1日1杯のオレンジ果汁によってレモネード等の他の柑橘類果汁よりも効果的に再発性腎臓結石が予防できる可能性が示されている。
どの柑橘類の果汁でも腎臓結石の生成を予防できると考えられている、と研究者らは述べる。しかし、今回の結果から、この痛みを伴う疾患のリスクが高い人において、すべての柑橘類果汁に同じような予防効果があるとは限らないことが示唆されている。
腎臓結石は尿中のミネラルおよび他の化学物質が非常に濃縮されたときに生成し、時間が経つにつれて結晶同士が結合して石になる。
腎臓結石のある人は再発性結石のリスクが高く、新しい結石の生成を遅らせるために食事とライフスタイルを変えるよう指導される。
クエン酸が腎臓結石の生成を遅らせる
これまでの研究で、クエン酸カリウムのサプリメントは腎臓結石の生成を遅らせうることが示されているが、消化器系の副作用のためこのサプリメントを服用できない人もいる。
このような人にとって、天然のクエン酸が含まれる柑橘類果汁を飲むことがサプリメントの代用となる可能性がある。
クエン酸は、尿中のクエン酸を増やし、尿の酸性度を低下させることによって腎臓結石の形成を予防する。
オレンジ果汁はレモネードよりも効果的
本研究で、研究者らはオレンジ果汁とレモネードの再発性腎臓結石の予防効果を比較した。どちらの果汁にも相当量のクエン酸が含まれる。
志願者13例が3段階の試験に参加した。被験者には腎臓結石の既往歴のある人とない人が含まれた。
被験者は約13オンス(約390mL)の蒸留水、オレンジ果汁、レモネードのいずれかを任意の順序で、1週間にわたり1日3回食事とともに飲用した。次の段階に移行する前に3週間のインターバルをおいた。また被験者は、再発性腎臓結石の予防のため推奨される特別食を摂取した。
結果から、オレンジ果汁によって尿中のクエン酸量が増加し、尿の酸性度が低下し、よって腎臓結石のリスクが低下することが示された。しかし、レモネードで同じ効果は得られなかった。
「オレンジ果汁は腎臓結石症の管理に重要な役割を果たす可能性があり、クエン酸カリウム不耐性の患者にとって1つの選択肢とみなすことができるだろう」と研究者であるテキサス大学サウスウエスタン医療センター(ダラス)の内科助教授であるClarita Odvina, MDはニュースリリースにおいて述べる。
Odvina博士は柑橘類果汁の別の成分が新しい腎臓結石発生のリスク低下における有効性に関係している可能性があると述べる。例えば、オレンジ果汁やグレープフルーツ果汁中のクエン酸はカリウムイオンを伴うのに対し、レモネードやクランベリー果汁中のクエン酸にはプロトンが付随している。Odvina博士はプロトンがこれらの果汁の酸性度低下作用を中和している可能性があると述べる。
この結果は『Clinical Journal of the American Society of Nephrology』に掲載されている。研究者らは、本試験は小規模試験であり、腎臓結石予防におけるオレンジ果汁や他の柑橘類果汁の役割を評価するにはさらなる研究が必要であるとしている。
本試験は米国立衛生研究所(NIH)からの助成金により支援された。
Odivina, C. Clinical Journal of the American Society of Nephrology, Aug. 30, 2006, online edition. News release, UTSW.』
当直の時はビールを飲むわけにはいかないので,必然的にコーヒーやジュースの類いを飲むことになるが,最近のお気に入りは以前に紹介したグレープフルーツジュースである.でも,オレンジジュースも体にいいみたいですね.
私がビールやコーヒーを愛飲する科学的根拠(?)はテーマ医食同源にまとめてあります.
赤蜻蛉がたくさん飛んでいた.赤とんぼといえば「夕焼〜けこやけ〜の♪」なんだろうけど,あのねのねの「赤とんぼの唄」を思い出す人はいるだろうか.私は大昔に深夜放送でよく聞いたのだけれど.いや,ちょっと思い出したもので.
散歩に行きたくなるような良い天気ですが,お仕事頑張ってください.
散歩に行きたくなるような良い天気ですが,お仕事頑張ってください.
『 -- 亀田総合病院に賠償命令 処置ミス認定、約8200万 --
千葉県鴨川市の亀田総合病院(亀田信介(かめだ・しんすけ)院長)でぜんそく治療を受けていた高校2年の二男=当時(17)=が出血性ショックで死亡したのは処置のミスが原因として、両親が約8800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、千葉地裁は11日、病院側に約8200万円の支払いを命じた。判決理由で小磯武男(こいそ・たけお)裁判長は「カテーテル挿入時に血管を傷つけた過失が大量の出血をもたらした」と死亡と処置ミスとの因果関係を認めた。
病院側は「血管損傷の事実はない。死因はぜんそく薬の成分『テオフィリン』によるショック症状などだ」と反論していた。
判決によると、二男は2001年1月1日未明、吐き気などを訴え受診。ぜんそく治療で病院から処方されていたテオフィリンの血中濃度が高いことが判明。処置の過程で医師が脚の付け根にカテーテルを挿入した際、動脈や静脈を傷つけたため、後腹膜腔から大量に出血。二男は同日夜、死亡した。
亀田院長は「強い憤りを感じており、ただちに控訴する」とコメントしている。
亀田総合病院は電子カルテシステムの本格運用をいち早く導入するなど先進的な医療施設として知られ、浅田次郎(あさだ・じろう)氏の小説「天国までの百マイル」のモデルとされる』
別のニュースではIVHカテーテルを挿入後より血尿が止まらず死亡したことになっていたようで,いったいどこの動脈や静脈を傷つけたら後腹膜腔から大量に出血するのか私にはよくわからない.大腿静脈穿刺のIVHも死亡事故が起きるほど危険だということなのだろうか.
この記事からは,事実認定が病理解剖もしくは法医解剖の結果なされたのかどうかわからないが,「動脈や静脈を傷つけたため、後腹膜腔から大量に出血」とか「血尿が止まらず」といった程度の説明では約8200万円という高額の賠償には不釣り合いな印象がするのは私だけだろうか.
事実の確認が曖昧で,治療にかかわらず患者が死亡すると賠償請求のための訴訟が続くようではやはり無過失賠償保険が必要だろう.それまでは安心して治療できないと感じる医師は防衛医療に徹するしかないのかも知れない,こんな報道が続くようでは,ここしばらくは医療の矮小化はますます加速することになるのだろう.
千葉県鴨川市の亀田総合病院(亀田信介(かめだ・しんすけ)院長)でぜんそく治療を受けていた高校2年の二男=当時(17)=が出血性ショックで死亡したのは処置のミスが原因として、両親が約8800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、千葉地裁は11日、病院側に約8200万円の支払いを命じた。判決理由で小磯武男(こいそ・たけお)裁判長は「カテーテル挿入時に血管を傷つけた過失が大量の出血をもたらした」と死亡と処置ミスとの因果関係を認めた。
病院側は「血管損傷の事実はない。死因はぜんそく薬の成分『テオフィリン』によるショック症状などだ」と反論していた。
判決によると、二男は2001年1月1日未明、吐き気などを訴え受診。ぜんそく治療で病院から処方されていたテオフィリンの血中濃度が高いことが判明。処置の過程で医師が脚の付け根にカテーテルを挿入した際、動脈や静脈を傷つけたため、後腹膜腔から大量に出血。二男は同日夜、死亡した。
亀田院長は「強い憤りを感じており、ただちに控訴する」とコメントしている。
亀田総合病院は電子カルテシステムの本格運用をいち早く導入するなど先進的な医療施設として知られ、浅田次郎(あさだ・じろう)氏の小説「天国までの百マイル」のモデルとされる』
別のニュースではIVHカテーテルを挿入後より血尿が止まらず死亡したことになっていたようで,いったいどこの動脈や静脈を傷つけたら後腹膜腔から大量に出血するのか私にはよくわからない.大腿静脈穿刺のIVHも死亡事故が起きるほど危険だということなのだろうか.
この記事からは,事実認定が病理解剖もしくは法医解剖の結果なされたのかどうかわからないが,「動脈や静脈を傷つけたため、後腹膜腔から大量に出血」とか「血尿が止まらず」といった程度の説明では約8200万円という高額の賠償には不釣り合いな印象がするのは私だけだろうか.
事実の確認が曖昧で,治療にかかわらず患者が死亡すると賠償請求のための訴訟が続くようではやはり無過失賠償保険が必要だろう.それまでは安心して治療できないと感じる医師は防衛医療に徹するしかないのかも知れない,こんな報道が続くようでは,ここしばらくは医療の矮小化はますます加速することになるのだろう.
5年前にテレビで見た高層ビルからの黒煙,そしてビルが崩壊していく映像は忘れられない.しかし,その後にその犠牲者を遥かに上回るアルカイダとは関係のないイラクの人々が米国によって犠牲になったことは,広島や長崎への原爆投下と同様に忘れてはいけないことだろう.
『 -- 「世界遺産の石」を持ち帰り=フィンランド訪問の小泉首相 --
フィンランド訪問中の小泉純一郎首相は9日午前(日本時間同日夕)、ヘルシンキ市内のフィンランド湾に浮かぶ島に建設された世界遺産「スオメンリンナ要塞(ようさい)」を視察した。
同要塞は18世紀後半、当時フィンランドを支配していたスウェーデンがロシアからの防衛拠点として約40年かけて建設。首相は、城壁の前に来ると、地面からこぶし大の白っぽい石を拾い上げ「世界遺産の石だ。持って帰ってもいいかな」と質問。管理責任者が「光栄です」と応じ、首相は「石ころだけどわたしにとっては宝石だ」と満足そうだった。』
世界遺産とは何かを知らない,あるいは知っていても我慢する事ができないわが国の首相.たかが石ころだけど良識ある人たちのひんしゅくを買うには十分だろう.恥ずかし気もなく遺跡に自分の名前を書いてくる日本人観光客の代表としてこれほどふさわしい首相もいなかったと思う.これこそ職権乱用だろう.厚顔無恥という言葉は知っているのだろうか.
小泉改革というが,改革の結果なにが良くなったのか私にはよくわからない.医療制度改革だけは強きを助け,弱きをくじく内容になったことは私にもわかる.ささいなことであるが,最後の外遊なので油断して馬脚を現したのだろう.
『虎を描きて狗に類す(とらをえがきていぬにるいす):形だけ理想を求めていても、勘違いしていては何も身につかない。』.これこそ小泉首相にふさわしいことばだろう.次期政権はさらにひとまわり器が小さくなるようで,これで一体何が期待できるというのだろうか,
フィンランド訪問中の小泉純一郎首相は9日午前(日本時間同日夕)、ヘルシンキ市内のフィンランド湾に浮かぶ島に建設された世界遺産「スオメンリンナ要塞(ようさい)」を視察した。
同要塞は18世紀後半、当時フィンランドを支配していたスウェーデンがロシアからの防衛拠点として約40年かけて建設。首相は、城壁の前に来ると、地面からこぶし大の白っぽい石を拾い上げ「世界遺産の石だ。持って帰ってもいいかな」と質問。管理責任者が「光栄です」と応じ、首相は「石ころだけどわたしにとっては宝石だ」と満足そうだった。』
世界遺産とは何かを知らない,あるいは知っていても我慢する事ができないわが国の首相.たかが石ころだけど良識ある人たちのひんしゅくを買うには十分だろう.恥ずかし気もなく遺跡に自分の名前を書いてくる日本人観光客の代表としてこれほどふさわしい首相もいなかったと思う.これこそ職権乱用だろう.厚顔無恥という言葉は知っているのだろうか.
小泉改革というが,改革の結果なにが良くなったのか私にはよくわからない.医療制度改革だけは強きを助け,弱きをくじく内容になったことは私にもわかる.ささいなことであるが,最後の外遊なので油断して馬脚を現したのだろう.
『虎を描きて狗に類す(とらをえがきていぬにるいす):形だけ理想を求めていても、勘違いしていては何も身につかない。』.これこそ小泉首相にふさわしいことばだろう.次期政権はさらにひとまわり器が小さくなるようで,これで一体何が期待できるというのだろうか,
好感度NO.1の観光都市に住んでいてもどこかに紅葉狩りにでも行きたくなる季節.本格的な紅葉の始まる前に旅行の計画を立てたりするのは楽しいものだ.
とは言え出血性脳卒中が増えるシーズンでもある.やっぱり遠くの秋は写真で我慢して,近場の温泉でゆっくりすることにでもしよう.
今週もご苦労さまでした.写真は道東は雌阿寒岳のふもとにあるオンネトーという湖です.昨年の9月初旬に撮りました.湖畔にかつて赤塚不二雄氏がよく訪れたという民宿があります.小さいけれど水の色がとても美しい湖です.では,楽しい週末をお過ごしください.
とは言え出血性脳卒中が増えるシーズンでもある.やっぱり遠くの秋は写真で我慢して,近場の温泉でゆっくりすることにでもしよう.
今週もご苦労さまでした.写真は道東は雌阿寒岳のふもとにあるオンネトーという湖です.昨年の9月初旬に撮りました.湖畔にかつて赤塚不二雄氏がよく訪れたという民宿があります.小さいけれど水の色がとても美しい湖です.では,楽しい週末をお過ごしください.
高齢出産の父親のリスク?
2006年9月8日 その他 コメント (1)『 -- 父親高齢ほど自閉症増加 米調査、遺伝子情報関連か --
5日付の米紙ワシントン・ポストは、父親の年齢が高いときに生まれた子供は若い年齢の父親に生まれた子供に比べ、自閉症になる可能性が高くなるとの米マウントサイナイ医大などの研究結果を伝えた。父親の遺伝子情報が何らかの影響を及ぼしている可能性を示す新しい発見という。
研究チームは高齢の父親の事例数が少ないため、断定的な結論は出せないとしているが、父親の年齢が上がるにつれて自閉症の割合が増える傾向は、はっきりしたとしている。
同大などの研究チームがイスラエルで約38万人を対象に、大規模な調査を実施。
その結果、父親が15-29歳のときに生まれた子供の場合、自閉症になる確率が1万人に6人なのに対し、父親が30代のときの子供の場合は1.5倍の9人。40代では5倍以上の32人、50代以上では約9倍の52人に膨らんだという。
研究結果は精神医学の専門誌に掲載された。
自閉症は発達障害の一種で、生まれつき脳の機能に何らかの障害があることが原因とみられている。』
最近のニュースを見ていると,私の常識では考えられない恐ろしい事件を起す人が増えているような気がしてしまう.このような特に異常な行動をする人の脳にはきっとなにか異常があるに違いないと思っている.死刑になったら臓器は移植にでも使って脳は研究用に提供してもらったらいいのではないだろうか.
アインシュタイン博士の脳も最近の研究によるとグリア細胞の比率が高いとか頭頂葉の溝の形が普通の人の脳と違うそうである.異常性格はよく幼児期からの家庭環境などがもっともらしく語られるが,原因はそれだけではないだろう.ところで,この記事では自閉症と父親の遺伝子情報が関連している可能性がありそうだということだが,脳の特性も遺伝子で規定されるのだろうから十分考えられることである.
高齢出産に関わるリスクは従来は女性の話ばかりで,男性はEDくらいしか問題がないように見えたが,男性側にもこんなリスクが隠されていたとなると,もう一人どうしようかと迷い続けている高齢男性の私としては悩みがさらに深くなるのである.
5日付の米紙ワシントン・ポストは、父親の年齢が高いときに生まれた子供は若い年齢の父親に生まれた子供に比べ、自閉症になる可能性が高くなるとの米マウントサイナイ医大などの研究結果を伝えた。父親の遺伝子情報が何らかの影響を及ぼしている可能性を示す新しい発見という。
研究チームは高齢の父親の事例数が少ないため、断定的な結論は出せないとしているが、父親の年齢が上がるにつれて自閉症の割合が増える傾向は、はっきりしたとしている。
同大などの研究チームがイスラエルで約38万人を対象に、大規模な調査を実施。
その結果、父親が15-29歳のときに生まれた子供の場合、自閉症になる確率が1万人に6人なのに対し、父親が30代のときの子供の場合は1.5倍の9人。40代では5倍以上の32人、50代以上では約9倍の52人に膨らんだという。
研究結果は精神医学の専門誌に掲載された。
自閉症は発達障害の一種で、生まれつき脳の機能に何らかの障害があることが原因とみられている。』
最近のニュースを見ていると,私の常識では考えられない恐ろしい事件を起す人が増えているような気がしてしまう.このような特に異常な行動をする人の脳にはきっとなにか異常があるに違いないと思っている.死刑になったら臓器は移植にでも使って脳は研究用に提供してもらったらいいのではないだろうか.
アインシュタイン博士の脳も最近の研究によるとグリア細胞の比率が高いとか頭頂葉の溝の形が普通の人の脳と違うそうである.異常性格はよく幼児期からの家庭環境などがもっともらしく語られるが,原因はそれだけではないだろう.ところで,この記事では自閉症と父親の遺伝子情報が関連している可能性がありそうだということだが,脳の特性も遺伝子で規定されるのだろうから十分考えられることである.
高齢出産に関わるリスクは従来は女性の話ばかりで,男性はEDくらいしか問題がないように見えたが,男性側にもこんなリスクが隠されていたとなると,もう一人どうしようかと迷い続けている高齢男性の私としては悩みがさらに深くなるのである.
『白露(はくろ)は二十四節気の1つ。9月8日ごろ。およびこの日から秋分までの期間。 太陽黄経が165度のときで、大気が冷えて来て、露ができはじめるころ。八月節。『暦便覧』では「陰気ようやく重なりて露にごりて白色となれば也」と説明している.』とWikipediaにありました.
他にも「野には薄の穂が顔を出し、秋の趣がひとしお感じられる頃。朝夕の心地よい涼風に、幾分の肌寒さを感じさせる冷風が混じり始める。」「草露白(そうろ しろし) : 草に降りた露が白く光る」といった解説がありましたが,今朝の散歩はまさにそれを肌で感じました.
他にも「野には薄の穂が顔を出し、秋の趣がひとしお感じられる頃。朝夕の心地よい涼風に、幾分の肌寒さを感じさせる冷風が混じり始める。」「草露白(そうろ しろし) : 草に降りた露が白く光る」といった解説がありましたが,今朝の散歩はまさにそれを肌で感じました.
研修医には悪いが...
2006年9月7日 医療の問題 コメント (5)『 --「医療ミス」と遺族提訴 研修医がカテーテル挿入 --
栃木県立がんセンター(宇都宮市)で昨年8月、男性患者=当時(73)=が死亡したのはカテーテル挿入時のミスが原因として、遺族が5日、県に約4500万円の損害賠償を求める訴訟を宇都宮地裁に起こした。
訴状によると、男性は膵臓(すいぞう)がんのため昨年7月に入院。同8月9日、首の静脈へのカテーテル挿入の際、研修医が誤って動脈などを傷つけたため、出血性ショックによる多臓器不全で同月23日に死亡した。
原告側は「主治医が立ち会わず、研修医らに行わせたなどの過失がある」と主張している。
同センターは「訴状が届き次第対応する」としている。
宇都宮南署は今年3月、業務上過失致死容疑で研修医を書類送検した。』
主治医が立ち会っていても事故が予防できたかどうかは疑問である.研修期間中は指導医が必ずつくにしても,それで事故が起きて今度は指導医の指導が悪いと訴えられることはないのであろうか.
さっき入院患者さんの右鎖骨下静脈にIVHカテを入れてきたばかりでこれを見たのだが,ここに研修医がいなくて良かったとつい思ってしまった.
栃木県立がんセンター(宇都宮市)で昨年8月、男性患者=当時(73)=が死亡したのはカテーテル挿入時のミスが原因として、遺族が5日、県に約4500万円の損害賠償を求める訴訟を宇都宮地裁に起こした。
訴状によると、男性は膵臓(すいぞう)がんのため昨年7月に入院。同8月9日、首の静脈へのカテーテル挿入の際、研修医が誤って動脈などを傷つけたため、出血性ショックによる多臓器不全で同月23日に死亡した。
原告側は「主治医が立ち会わず、研修医らに行わせたなどの過失がある」と主張している。
同センターは「訴状が届き次第対応する」としている。
宇都宮南署は今年3月、業務上過失致死容疑で研修医を書類送検した。』
主治医が立ち会っていても事故が予防できたかどうかは疑問である.研修期間中は指導医が必ずつくにしても,それで事故が起きて今度は指導医の指導が悪いと訴えられることはないのであろうか.
さっき入院患者さんの右鎖骨下静脈にIVHカテを入れてきたばかりでこれを見たのだが,ここに研修医がいなくて良かったとつい思ってしまった.
『 -- 医療過誤訴訟:金沢大病院「過失ない」争う姿勢 --
金沢大付属病院(金沢市)に入院していた小松市の女性(59)が、脳こうそくを発症して神経に障害が残ったのは病院側の治療後の措置に過失のためとして、同大相手に1億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が4日、金沢地裁(倉田慎也裁判長)であった。金沢大側は「過失はなかった」として争う姿勢を見せた。
訴状によると、女性は01年12月10日に心不全で同大に入院。心臓検査のため、頸(けい)静脈にカテーテルを挿入した。同13日にカテーテルを抜いた後、ベッド交換のために移動したところ、挿入口から多量の空気が静脈に入り、脳こうそくを発症。付き添い介護が必要な後遺症が残った。
病院側はこれに対し、▽発症したのは脳こうそくではなく、脳塞栓(そくせん)▽カテーテルを抜去後の処置は医学水準に合致した手法で、挿入口から空気混入は考えられない▽ベッド交換が直接の原因とは断定できない----などと反論した。』
頸静脈のカテーテルの挿入口から多量の空気が静脈に入り空気塞栓による脳梗塞を起したという事故なんて経験したこともないし聞いたこともなかった.だが,起きる可能性はあったのではないだろうかと私は思う.
非常に稀な現象だろうが,心臓検査のためのカテーテルとあるから比較的径の太いカテーテルにより瘻孔が形成されていたところへ,起立と呼吸により静脈圧が陰圧となり空気が入り込み,さらに移動の際に今度は右心系の圧が上昇し,心内の右-左シャントを介して奇異性塞栓を起したという可能性はあるのではないだろうか.
本当にこんなことが起きるのだろうかという疑問は残るのだが,発症時の頭部CTで梗塞部位の脳血管内に空気がみとめられていたなら可能性は否定できないだろう.予防としては,やはりカテーテルの抜去は常に臥位で行い,気密性の高い被覆材を使うくらいしかないだろうか.いずれにしても明日は我が身,可能性のあることはすべて起きるというのが持論の私としてはちょっと気になる話だ.
金沢大付属病院(金沢市)に入院していた小松市の女性(59)が、脳こうそくを発症して神経に障害が残ったのは病院側の治療後の措置に過失のためとして、同大相手に1億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が4日、金沢地裁(倉田慎也裁判長)であった。金沢大側は「過失はなかった」として争う姿勢を見せた。
訴状によると、女性は01年12月10日に心不全で同大に入院。心臓検査のため、頸(けい)静脈にカテーテルを挿入した。同13日にカテーテルを抜いた後、ベッド交換のために移動したところ、挿入口から多量の空気が静脈に入り、脳こうそくを発症。付き添い介護が必要な後遺症が残った。
病院側はこれに対し、▽発症したのは脳こうそくではなく、脳塞栓(そくせん)▽カテーテルを抜去後の処置は医学水準に合致した手法で、挿入口から空気混入は考えられない▽ベッド交換が直接の原因とは断定できない----などと反論した。』
頸静脈のカテーテルの挿入口から多量の空気が静脈に入り空気塞栓による脳梗塞を起したという事故なんて経験したこともないし聞いたこともなかった.だが,起きる可能性はあったのではないだろうかと私は思う.
非常に稀な現象だろうが,心臓検査のためのカテーテルとあるから比較的径の太いカテーテルにより瘻孔が形成されていたところへ,起立と呼吸により静脈圧が陰圧となり空気が入り込み,さらに移動の際に今度は右心系の圧が上昇し,心内の右-左シャントを介して奇異性塞栓を起したという可能性はあるのではないだろうか.
本当にこんなことが起きるのだろうかという疑問は残るのだが,発症時の頭部CTで梗塞部位の脳血管内に空気がみとめられていたなら可能性は否定できないだろう.予防としては,やはりカテーテルの抜去は常に臥位で行い,気密性の高い被覆材を使うくらいしかないだろうか.いずれにしても明日は我が身,可能性のあることはすべて起きるというのが持論の私としてはちょっと気になる話だ.
『薬害エイズ事件で「官民癒着の温床」として製薬企業や業界団体への天下りが批判を浴びた旧厚生省(厚生労働省を含む)の局長らOB39人が事件後、計15の製薬企業や業界団体に天下りしていたことが、毎日新聞の調査で分かった。同事件で処分を受けた元幹部2人も含まれている。』
『医薬品の安全性などを審査し、厚生労働省に新薬として承認すべきかどうか通知する独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」(東京都千代田区)が04年4月の設立以降、製薬企業8社のOB9人を雇用していたことが分かった。』
『「薬害という言葉は公害を連想させる。(薬にはある効用が)公害にはなく、誤解を生む」
昨年12月2日、熊本市の熊本市民会館。日本エイズ学会のシンポジウムで、グレーのスーツ姿のパネリストが「薬害」を否定すると、医師ら参加者の多くがうなずいた。
声の主は聖学院大総合研究所の郡司篤晃教授。郡司氏は82-84年、旧厚生省で生物製剤課長を務めた。危機感を抱き安部英(たけし)・元帝京大副学長を委員長とする「エイズ研究班」を招集したが、有効な対策を打てず被害が拡大した。郡司氏は「薬は当時のベストの治療。後で社会的制裁を加えては、安全性の結論は出ない」と続けた。 壇上には元東京HIV訴訟原告で松本大学非常勤講師、川田龍平さん(30)の姿もあった。川田さんは「(旧)厚生省や企業、医師が『責任はない』と繰り返していることが、被害者としては苦しい」と訴えたが、会場の反応は鈍かった。』
薬害という言葉は別にどうでもいいが,医療業界の「官民癒着の温床」が一向に改善されていないらしいことだけはよくわかった.
天下りについて厚労省人事課は「再就職は個人情報で、コメントする立場にない。問題ないと考えている。」とコメント.政府の個人情報保護とはやはり隠蔽の手段なのだろう.
『医薬品の安全性などを審査し、厚生労働省に新薬として承認すべきかどうか通知する独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」(東京都千代田区)が04年4月の設立以降、製薬企業8社のOB9人を雇用していたことが分かった。』
『「薬害という言葉は公害を連想させる。(薬にはある効用が)公害にはなく、誤解を生む」
昨年12月2日、熊本市の熊本市民会館。日本エイズ学会のシンポジウムで、グレーのスーツ姿のパネリストが「薬害」を否定すると、医師ら参加者の多くがうなずいた。
声の主は聖学院大総合研究所の郡司篤晃教授。郡司氏は82-84年、旧厚生省で生物製剤課長を務めた。危機感を抱き安部英(たけし)・元帝京大副学長を委員長とする「エイズ研究班」を招集したが、有効な対策を打てず被害が拡大した。郡司氏は「薬は当時のベストの治療。後で社会的制裁を加えては、安全性の結論は出ない」と続けた。 壇上には元東京HIV訴訟原告で松本大学非常勤講師、川田龍平さん(30)の姿もあった。川田さんは「(旧)厚生省や企業、医師が『責任はない』と繰り返していることが、被害者としては苦しい」と訴えたが、会場の反応は鈍かった。』
薬害という言葉は別にどうでもいいが,医療業界の「官民癒着の温床」が一向に改善されていないらしいことだけはよくわかった.
天下りについて厚労省人事課は「再就職は個人情報で、コメントする立場にない。問題ないと考えている。」とコメント.政府の個人情報保護とはやはり隠蔽の手段なのだろう.
『今はもう秋,誰もいない海...』っていう昔の歌がありましたね.今なら「DIRTY OLD MAN〜さらば夏よ〜」でしょうか.
今年の夏ももう終わりです.朝夕は涼しくなったけれど,夜明けが遅くて早朝の散歩写真を撮る時間的余裕がなくなってきました.ですが,写真的にはこれからが美しい紅葉の季節です.特に暑い夏から急に涼しくなる年はいちだんときれいな紅葉になるみたいですから期待十分です.
写真は夏の終わりの日本海に沈む夕陽です.これを観ながら夏の出来事を思い出していただければ幸いです.
今年の夏ももう終わりです.朝夕は涼しくなったけれど,夜明けが遅くて早朝の散歩写真を撮る時間的余裕がなくなってきました.ですが,写真的にはこれからが美しい紅葉の季節です.特に暑い夏から急に涼しくなる年はいちだんときれいな紅葉になるみたいですから期待十分です.
写真は夏の終わりの日本海に沈む夕陽です.これを観ながら夏の出来事を思い出していただければ幸いです.
『 - 治療中に呼吸停止 ミスで男児寝たきり 北九州市立医療センター -
医療事故:ミスで男児寝たきり 治療中に呼吸停止----北九州市立医療センター /福岡
◇水頭症治療中に
北九州市は25日、市立医療センター(小倉北区)で今年1月、脳室が肥大する水頭症の治療を受けていた市内の男児(2)が小児科当直医の治療ミスで呼吸が止まり、意識不明となる医療事故があったと発表した。
市病院局によると男児は04年、脳せき髄液を逃がすためのシリコン製チューブを頭部から腹部に渡す治療を受けた。今年1月、おう吐やけいれんの症状を訴え、同病院で胃腸炎と診断され入院した。当直医は、けいれんが続いたことなどからチューブが詰まるか外れるなどの異状を疑ったが、担当医を呼んで確認することをしなかった。2時間後に男児は呼吸停止に陥り、脳神経外科医が所見などからチューブ不全と診断した。男児は今も同病院で人工呼吸器をつけ、寝たきりの状態。
また市は、昨年4月に定めた医療事故の公表基準に基づき、比較的軽微なものも含め市立病院の医療事故を発表した。05年度は4件あり、内訳は医療センター1件、八幡病院3件。タンの吸引びんを誤って患者の額に落とすなど病院側のミスで患者計4人に最長1カ月のけがを負わせた。医療事故は今後も定期的に公表する。』
こんないいかげんな記事で医療不信が増大するのかと思うと情けなくなる.何も知らない国民はまた医療ミスかと思うだけだろうが,これを読んだ小児科医や脳外科医はどう思うのだろうか.
「小児科当直医の治療ミスで呼吸が止まり」と書いてあるが,これはどういう意味なのだろうか.「男児は04年、脳せき髄液を逃がすためのシリコン製チューブを頭部から腹部に渡す治療を受けた」とあるのは脳室-腹腔シャントのことだろうが,だとすれば水頭症治療は脳神経外科の仕事であり小児科医の仕事ではない.
嘔吐による誤嚥からの窒息,痙攣重積発作,閉塞性水頭症などはどれも呼吸停止の原因となりうると思うのだがいったい呼吸停止の本当の原因は何だったのだろうか.「脳神経外科医が所見などからチューブ不全と診断した」とあるが,これは水頭症が原因で呼吸停止したと脳外科医が診断したという意味なのだろうか.
私は小児科当直医が脳神経外科の担当医を呼んで水頭症の悪化を確認したとしても呼吸停止を予見することはできなかった可能性があると思うし,予見できたとしても2歳の子供にすぐに挿管して人工呼吸器を装着したとも思えないのである.つまり,問題は呼吸停止を予見して処置できる可能性があったかどうかであって,水頭症の治療ミスで呼吸停止という言い方は明らかにおかしいだろうと思う.
だからこの市立医療センター(小倉北区)の医療事故の発表にも問題があると思う.医療ミスかどうかの判断はできるかぎり厳密に行うべきであり,少なくとも専門医がみて疑問の余地を残すような報道をされるようでは,世間の無用な不安を煽るだけで意味がないどころか,ますます地方の市立病院を避ける医師が増えるだけだということがわからないのだろうか.
医療事故の結果が悪いと医療ミスと呼んで医師の責任を追及するだけでは医療の質は向上するどころかむしろ低下するということにマスコミも国民もそろそろ気づくべきだと思うのだがどうだろうか.
医療事故:ミスで男児寝たきり 治療中に呼吸停止----北九州市立医療センター /福岡
◇水頭症治療中に
北九州市は25日、市立医療センター(小倉北区)で今年1月、脳室が肥大する水頭症の治療を受けていた市内の男児(2)が小児科当直医の治療ミスで呼吸が止まり、意識不明となる医療事故があったと発表した。
市病院局によると男児は04年、脳せき髄液を逃がすためのシリコン製チューブを頭部から腹部に渡す治療を受けた。今年1月、おう吐やけいれんの症状を訴え、同病院で胃腸炎と診断され入院した。当直医は、けいれんが続いたことなどからチューブが詰まるか外れるなどの異状を疑ったが、担当医を呼んで確認することをしなかった。2時間後に男児は呼吸停止に陥り、脳神経外科医が所見などからチューブ不全と診断した。男児は今も同病院で人工呼吸器をつけ、寝たきりの状態。
また市は、昨年4月に定めた医療事故の公表基準に基づき、比較的軽微なものも含め市立病院の医療事故を発表した。05年度は4件あり、内訳は医療センター1件、八幡病院3件。タンの吸引びんを誤って患者の額に落とすなど病院側のミスで患者計4人に最長1カ月のけがを負わせた。医療事故は今後も定期的に公表する。』
こんないいかげんな記事で医療不信が増大するのかと思うと情けなくなる.何も知らない国民はまた医療ミスかと思うだけだろうが,これを読んだ小児科医や脳外科医はどう思うのだろうか.
「小児科当直医の治療ミスで呼吸が止まり」と書いてあるが,これはどういう意味なのだろうか.「男児は04年、脳せき髄液を逃がすためのシリコン製チューブを頭部から腹部に渡す治療を受けた」とあるのは脳室-腹腔シャントのことだろうが,だとすれば水頭症治療は脳神経外科の仕事であり小児科医の仕事ではない.
嘔吐による誤嚥からの窒息,痙攣重積発作,閉塞性水頭症などはどれも呼吸停止の原因となりうると思うのだがいったい呼吸停止の本当の原因は何だったのだろうか.「脳神経外科医が所見などからチューブ不全と診断した」とあるが,これは水頭症が原因で呼吸停止したと脳外科医が診断したという意味なのだろうか.
私は小児科当直医が脳神経外科の担当医を呼んで水頭症の悪化を確認したとしても呼吸停止を予見することはできなかった可能性があると思うし,予見できたとしても2歳の子供にすぐに挿管して人工呼吸器を装着したとも思えないのである.つまり,問題は呼吸停止を予見して処置できる可能性があったかどうかであって,水頭症の治療ミスで呼吸停止という言い方は明らかにおかしいだろうと思う.
だからこの市立医療センター(小倉北区)の医療事故の発表にも問題があると思う.医療ミスかどうかの判断はできるかぎり厳密に行うべきであり,少なくとも専門医がみて疑問の余地を残すような報道をされるようでは,世間の無用な不安を煽るだけで意味がないどころか,ますます地方の市立病院を避ける医師が増えるだけだということがわからないのだろうか.
医療事故の結果が悪いと医療ミスと呼んで医師の責任を追及するだけでは医療の質は向上するどころかむしろ低下するということにマスコミも国民もそろそろ気づくべきだと思うのだがどうだろうか.
杞憂?...だといいのだが.
2006年8月28日 医療の問題『 -脳神経外科医志す若手医師激減 日本脳神経外科学会が異例のPR冊子 -
日本脳神経外科学会(吉本高志理事長、会員数約8000人)は脳神経外科医を志す若手医師が激減しているのを憂慮し、異例のPR冊子(A4判14ページ)を作成した。先輩の仕事への思いや休暇の過ごし方などに触れ、若手の関心を引こうと躍起だ。
全国医学部長病院長会議が4月、全国の医学部と医科大学計80校を対象に調査したところ、臨床研修を終えて脳神経外科を希望した医師は4年前に比べ42%も減少した。調べた15の診療科のうち減少率は最も大きく、小児科や産科と同様、厳しい勤務条件が背景にあるとみられる。
その一方で、全国で約150万人いると推測される脳卒中患者は20年後に倍増する見込みだ。また、脳腫瘍(しゅよう)や脊髄(せきずい)損傷、てんかんなど対象となる疾患は幅広い。同学会は「このままでは脳神経外科が成り立たなくなる」と危機感を募らせ、脳神経外科の魅力を説明する冊子の作成に着手。この夏、80校と、訓練施設になっている医療機関の計約390施設に2万部を配布した。
冊子の表紙には「君の未来はここにある」と記載。「一人前になるには何年かかるのか」「とても忙しいのか」という10項目の質問に答えているほか、「1週間のうち手術が約3日、外来担当が約2日。CTやMRIなどの利用で負担は減っている」とした現場報告を盛り込んだ。また、若手医師の「忙しい時もあるが、やりたい仕事なので精神的な疲れはない」などの声を寄せた。
作成に携わり、冊子の中でも登場している宝金(ほうきん)清博・札幌医大教授(51)は「きつい職場であることを否定しない。だが、計り知れないほどのやりがいがある。その魅力をアピールしていかなければならない」と話している。』
私はまだ実物を見ていなし,たぶん実物を見る前だからここに書けるのであるが,私の知っている第一線で働く脳神経外科医の姿を正直に書いている冊子だとしたら果たしてそれがPRになっているのかどうか心配になる脳神経外科医は私だけだろうか.
日本脳神経外科学会(吉本高志理事長、会員数約8000人)は脳神経外科医を志す若手医師が激減しているのを憂慮し、異例のPR冊子(A4判14ページ)を作成した。先輩の仕事への思いや休暇の過ごし方などに触れ、若手の関心を引こうと躍起だ。
全国医学部長病院長会議が4月、全国の医学部と医科大学計80校を対象に調査したところ、臨床研修を終えて脳神経外科を希望した医師は4年前に比べ42%も減少した。調べた15の診療科のうち減少率は最も大きく、小児科や産科と同様、厳しい勤務条件が背景にあるとみられる。
その一方で、全国で約150万人いると推測される脳卒中患者は20年後に倍増する見込みだ。また、脳腫瘍(しゅよう)や脊髄(せきずい)損傷、てんかんなど対象となる疾患は幅広い。同学会は「このままでは脳神経外科が成り立たなくなる」と危機感を募らせ、脳神経外科の魅力を説明する冊子の作成に着手。この夏、80校と、訓練施設になっている医療機関の計約390施設に2万部を配布した。
冊子の表紙には「君の未来はここにある」と記載。「一人前になるには何年かかるのか」「とても忙しいのか」という10項目の質問に答えているほか、「1週間のうち手術が約3日、外来担当が約2日。CTやMRIなどの利用で負担は減っている」とした現場報告を盛り込んだ。また、若手医師の「忙しい時もあるが、やりたい仕事なので精神的な疲れはない」などの声を寄せた。
作成に携わり、冊子の中でも登場している宝金(ほうきん)清博・札幌医大教授(51)は「きつい職場であることを否定しない。だが、計り知れないほどのやりがいがある。その魅力をアピールしていかなければならない」と話している。』
私はまだ実物を見ていなし,たぶん実物を見る前だからここに書けるのであるが,私の知っている第一線で働く脳神経外科医の姿を正直に書いている冊子だとしたら果たしてそれがPRになっているのかどうか心配になる脳神経外科医は私だけだろうか.
『 -- 青年医師よ地方を目指せ 医療の原点見つめるために 核心評論「故若月俊一さんに学ぶ -- 」
地方の医療が崩壊の危機にある。離島、山村などへき地は言うに及ばず、地方都市も小児科や産婦人科などの医師はどこでも足りない。半面、都会では大きな病院で充実した先端医療が受けられる。医療格差是正へ国が対策に本腰を入れるのは当然だが、今後の医療の担い手になる若者たちの意識に問題はないのか。
22日に96歳で亡くなった農村医療の泰斗、若月俊一(わかつき・としかず)さんの生き方を思い返してみたい。
1995年に「地域医療の原点」をテーマに全国を取材した。かつて老人医療費を無料にした岩手県沢内村(現西和賀町)をはじめ、新潟県・八海山のふもとにある「ゆきぐに大和病院」など各地の関係者に話を聞くと、どこでも決まって若月さんの名前が出た。
1910年、東京・芝の洋品店に生まれ、東京帝大医学部を卒業。45年3月に赴任した長野県の佐久病院(現佐久総合病院)で、「予防は治療に勝る」として巡回診療や集団健診を柱とする健康管理方式を取り入れ、新しい農村医療として注目された。
「必要なのは弱い者に共感する心です」。若月さんの主張に共鳴する医師の卵が次々と同病院の門をたたき、ここから各地の病院へ散らばっていった。自治医大の卒業生たちも積極的に地方医療を支えてきた。
しかし、この10年、医療過誤訴訟、研修医の過労死問題など医療をめぐる流れも変わり、若い医師の意識も変わってきた。それが決定的になったのは2004年から義務付けられた2年間の臨床研修だ。受け入れ態勢のしっかりした都会の病院に希望者が集中し、地方病院離れが進んだ。
この結果、へき地の医療はさらに厳しくなることが予想され、厚生労働省は大学医学部の地域枠拡充や、一定期間、地元で医療に従事することを条件にした奨学金の増額などいくつかの打開策を打ち出そうとしている。
しかし、問題は国の施策だけではない。医療に携わる側の意識も大きい。都会育ちの若月さんが信州の地にこだわり続けた理由は何だったのか。田舎のおじちゃん、おばちゃんの診察を続けることによっていくつもの人間ドラマに出合い、自身も成長する醍醐味(だいごみ)を味わったからだろう。それこそ医療の原点というものだ。
新聞記者の世界でも入社後の地方勤務は常識で、わたしも10年ほど支社局にいた。地方で暮らす人々の気持ちが分からなければ、中央で記事を書かせるわけにはいかない、との判断からである。
医師の世界も同じではないか。厚労省は、病院長や開業を目指す医師にへき地などで一定期間の実務を義務付ける構想を導入しようとしたが、関係者の反対に遭い、見送ったと聞く。残念なことである。
離島の外科医を主人公にしテレビドラマにもなった「Dr.コトー診療所」(小学館)というコミックがある。この作品に心を動かされた医師の卵がいたら、若月さんが書いた「村で病気とたたかう」(岩波新書)も読んで地方の現場で一時期、汗を流すことを考えてほしい。(共同通信編集委員 上野敏彦)』
こんな記事を読んだら,僻地で働いている医師達は激怒するか,ため息をつくかのどちらかだろう.そもそも離島、山村などへき地の場合と地方都市では医師不足は同じでもその理由が違う.医師不足は医療に携わる側の意識の問題というのは見当違いもいいところで,こういう精神論の嘘こそ地方都市の医師不足の元凶であることをマスコミは知るべきだろう.地方都市の医師は忙しすぎて疲弊しているのであって,やる気がないわけではないだ.
私は脳神経外科医なので離島や僻地で働いたことはないが,十分な施設もなく人手も足りないところで頑張っても事故があれば刑事訴訟になるのでは怖くて働けないだろう.臨床研修で受け入れ態勢のしっかりした都会の病院に希望者が集中するのは,研修医が自分の身を守れるだけのスキルを身につけ,少しでも労働条件のよい職場につきたいと願うからである.
中には自己犠牲の精神で働く若い医師もいるかもしれないが,そんな修道士のような人間がそういるわけもないし,強制したりお願いするものではないだろう. 「必要なのは弱い者に共感する心です」確かに患者に共感することは医師の基本的な資質であると思う.だが,それは医師の心に余裕がある場合の話だろう.就職難を避けて医師になるものが増え,医師になっても過労で肉体的余裕も無く,医療訴訟に怯える毎日というのでは無理な話だ.
最後に,この記事に一言いわせてもらおう.「医師の世界も同じではないか。厚労省は、病院長や開業を目指す医師にへき地などで一定期間の実務を義務付ける構想を導入しようとしたが、関係者の反対に遭い、見送ったと聞く。残念なことである。」とあるが,これこそ医療に無知なマスコミの暴言だと思う.マスコミが自分の価値観で放言するだけでは無意味だろう.
もっとも,マスコミの場合,何を言っても言論の自由ですまされ,社会に与えた影響の責任もとらないわけだから,なんとも気楽な商売だと思うのは私だけだろうか.
地方の医療が崩壊の危機にある。離島、山村などへき地は言うに及ばず、地方都市も小児科や産婦人科などの医師はどこでも足りない。半面、都会では大きな病院で充実した先端医療が受けられる。医療格差是正へ国が対策に本腰を入れるのは当然だが、今後の医療の担い手になる若者たちの意識に問題はないのか。
22日に96歳で亡くなった農村医療の泰斗、若月俊一(わかつき・としかず)さんの生き方を思い返してみたい。
1995年に「地域医療の原点」をテーマに全国を取材した。かつて老人医療費を無料にした岩手県沢内村(現西和賀町)をはじめ、新潟県・八海山のふもとにある「ゆきぐに大和病院」など各地の関係者に話を聞くと、どこでも決まって若月さんの名前が出た。
1910年、東京・芝の洋品店に生まれ、東京帝大医学部を卒業。45年3月に赴任した長野県の佐久病院(現佐久総合病院)で、「予防は治療に勝る」として巡回診療や集団健診を柱とする健康管理方式を取り入れ、新しい農村医療として注目された。
「必要なのは弱い者に共感する心です」。若月さんの主張に共鳴する医師の卵が次々と同病院の門をたたき、ここから各地の病院へ散らばっていった。自治医大の卒業生たちも積極的に地方医療を支えてきた。
しかし、この10年、医療過誤訴訟、研修医の過労死問題など医療をめぐる流れも変わり、若い医師の意識も変わってきた。それが決定的になったのは2004年から義務付けられた2年間の臨床研修だ。受け入れ態勢のしっかりした都会の病院に希望者が集中し、地方病院離れが進んだ。
この結果、へき地の医療はさらに厳しくなることが予想され、厚生労働省は大学医学部の地域枠拡充や、一定期間、地元で医療に従事することを条件にした奨学金の増額などいくつかの打開策を打ち出そうとしている。
しかし、問題は国の施策だけではない。医療に携わる側の意識も大きい。都会育ちの若月さんが信州の地にこだわり続けた理由は何だったのか。田舎のおじちゃん、おばちゃんの診察を続けることによっていくつもの人間ドラマに出合い、自身も成長する醍醐味(だいごみ)を味わったからだろう。それこそ医療の原点というものだ。
新聞記者の世界でも入社後の地方勤務は常識で、わたしも10年ほど支社局にいた。地方で暮らす人々の気持ちが分からなければ、中央で記事を書かせるわけにはいかない、との判断からである。
医師の世界も同じではないか。厚労省は、病院長や開業を目指す医師にへき地などで一定期間の実務を義務付ける構想を導入しようとしたが、関係者の反対に遭い、見送ったと聞く。残念なことである。
離島の外科医を主人公にしテレビドラマにもなった「Dr.コトー診療所」(小学館)というコミックがある。この作品に心を動かされた医師の卵がいたら、若月さんが書いた「村で病気とたたかう」(岩波新書)も読んで地方の現場で一時期、汗を流すことを考えてほしい。(共同通信編集委員 上野敏彦)』
こんな記事を読んだら,僻地で働いている医師達は激怒するか,ため息をつくかのどちらかだろう.そもそも離島、山村などへき地の場合と地方都市では医師不足は同じでもその理由が違う.医師不足は医療に携わる側の意識の問題というのは見当違いもいいところで,こういう精神論の嘘こそ地方都市の医師不足の元凶であることをマスコミは知るべきだろう.地方都市の医師は忙しすぎて疲弊しているのであって,やる気がないわけではないだ.
私は脳神経外科医なので離島や僻地で働いたことはないが,十分な施設もなく人手も足りないところで頑張っても事故があれば刑事訴訟になるのでは怖くて働けないだろう.臨床研修で受け入れ態勢のしっかりした都会の病院に希望者が集中するのは,研修医が自分の身を守れるだけのスキルを身につけ,少しでも労働条件のよい職場につきたいと願うからである.
中には自己犠牲の精神で働く若い医師もいるかもしれないが,そんな修道士のような人間がそういるわけもないし,強制したりお願いするものではないだろう. 「必要なのは弱い者に共感する心です」確かに患者に共感することは医師の基本的な資質であると思う.だが,それは医師の心に余裕がある場合の話だろう.就職難を避けて医師になるものが増え,医師になっても過労で肉体的余裕も無く,医療訴訟に怯える毎日というのでは無理な話だ.
最後に,この記事に一言いわせてもらおう.「医師の世界も同じではないか。厚労省は、病院長や開業を目指す医師にへき地などで一定期間の実務を義務付ける構想を導入しようとしたが、関係者の反対に遭い、見送ったと聞く。残念なことである。」とあるが,これこそ医療に無知なマスコミの暴言だと思う.マスコミが自分の価値観で放言するだけでは無意味だろう.
もっとも,マスコミの場合,何を言っても言論の自由ですまされ,社会に与えた影響の責任もとらないわけだから,なんとも気楽な商売だと思うのは私だけだろうか.
日本ハムのファンになるかも
2006年8月26日 スポーツ『 -- 日本ハム・ダルビッシュが佑ちゃんに同情 --
甲子園の元祖「ユウちゃん」は駒大苫小牧の田中将大投手がお好き? 日本ハムのダルビッシュ有投手(20)は25日、同じ「ユウちゃん」でもある早実(西東京)のエース斎藤佑樹投手のフィーバーぶりに同情した。「大変だと思う。群馬の実家まで行かなくてもいいやんって思いますよ」。ただし、高校野球マニアでもあるダルビッシュは「斎藤君よりは駒大苫小牧の田中君のほうが上かな。一緒のチームでやるなら田中君。あの斜めに落ちるスライダーはすごい」と絶賛していた。』
私もダルビッシュ選手の意見に賛成である.斉藤選手には同情するが,選手として好きなのは田中選手のほうである.闘争心が見えるような感じはまさにファイターズ向きだろう.斉藤君は巨人にでも入ってもらってもう少し巨人が強くなればプロ野球も面白くなり,日本のプロ野球なんて観ない私も日本ハムのファンになるかもしれない.
甲子園の元祖「ユウちゃん」は駒大苫小牧の田中将大投手がお好き? 日本ハムのダルビッシュ有投手(20)は25日、同じ「ユウちゃん」でもある早実(西東京)のエース斎藤佑樹投手のフィーバーぶりに同情した。「大変だと思う。群馬の実家まで行かなくてもいいやんって思いますよ」。ただし、高校野球マニアでもあるダルビッシュは「斎藤君よりは駒大苫小牧の田中君のほうが上かな。一緒のチームでやるなら田中君。あの斜めに落ちるスライダーはすごい」と絶賛していた。』
私もダルビッシュ選手の意見に賛成である.斉藤選手には同情するが,選手として好きなのは田中選手のほうである.闘争心が見えるような感じはまさにファイターズ向きだろう.斉藤君は巨人にでも入ってもらってもう少し巨人が強くなればプロ野球も面白くなり,日本のプロ野球なんて観ない私も日本ハムのファンになるかもしれない.
『 タバコの使用はいかなる形式であっても心筋梗塞のリスクを増大させる
喫煙の有害性と心血管系リスクは国や文化の境界を超えており、紙巻タバコ1本吸うごとに心筋梗塞発症のリスクが1.056倍に増えることが、大規模患者対照研究で示された
Reviewed by Gary D. Vogin, MD
タバコを吸うと、非致死性の心筋梗塞(MI)のリスクが有意に増加し、それは直接喫煙あるいは受動喫煙かにかかわらず、世界各地で見られるさまざま曝露形式から独立していることが、大規模な国際的患者対照研究で示された。この知見は、喫煙や他の方法によるタバコの使用が心疾患の原因となっていることを示す、大量の疫学的証拠に対する世界的な認識をいっそう強めるものである。
『Lancet』8月19日号に掲載された今回の分析では、現在の喫煙行為には、まったく喫煙経験がない者の調整したMIリスクを3倍近くにする有害性があり、その有害性はタバコの使用方法を変えても回避出来ないことが示されている。この研究ではタバコの影響について、無煙タバコだけでなく、南中央アジアなど特定の地域に主に限定されているあまり一般的でない喫煙方法についても調べられた。
「今回の結果は、タバコがいかなる形式であっても有害であることを示している」と、著者であるマクマスター大学(オハイオ州ハミルトン)のKoon K. Teo, MDらが記述している。その他の注目すべき知見としては、1日の紙巻タバコ消費本数が例え2,3本であっても、消費本数とMI発症の可能性傾向との間に有意な用量反応関係があることなどである。
この研究に関して、マサチューセッツ大学医学部(ウースター)のIra S. Ockene, MDがheartwireに寄せたコメントによれば、今回の研究はかなり昔の仕事を再現したものだが、地理的な面だけでなく、タバコ曝露のほぼすべての形式にわたり検討した点で、世界的に客観性を含んだ「これまで以上の大きな成果もある」。今回のデータの中では、噛みタバコと受動喫煙のリスクに関するデータが重要であり、「タバコを止めたことで利益が得られるのにかかる時間についての、これまでの知見がさらに進んだ」と、博士は述べた。しかし、禁煙することで肺癌リスクが改善されるためには多年を要するのに対して、心血管系への利益は比較的早期に現われることについては、ほとんどの心臓専門医でもその真の価値を認識していないと、博士は言う。
heartwireとのインタビューの中で、筆頭著者のTeo博士も禁煙で劇的に現われる利益について言及した。「たとえヘビースモーカーであっても、リスクは約半分になる。禁煙するのに遅すぎることはなく、その利益はかなり早くに現われる。これが私が今、患者に向けて伝えているメッセージだ」。
Teo博士らは、急性MIの初回患者12,133例と、年齢・性別をマッチングさせた地域住民対照群14,435例を対象にして、タバコ使用の種類を調査した。募集した国は、ほぼ全大陸の52カ国に及ぶ。極めて一般的な使用方法である紙巻タバコ喫煙を、人口統計学的、地理学的、そして他の変数で調整した分析では、
・総じて、現在の喫煙者における非致死性MIのリスク(オッズ比[OR])は禁煙経験のない者に対して2.95(P<0.0001)であった。リスクは、高齢者よりも若年者で高く、男性よりも女性で低かった。
・過去の喫煙者で、止めてから3年以内の者のリスクはほんの1.85であった。い一方、タバコを止めて20年経った者でもリスクは1.22で持続した。
・MIリスクは、1日の紙巻タバコ喫煙数が1本から9本の者では1.63であったが、1日に20本を超えると4.59に激増した(いずれの結果ともP<0.0001)。分析によれば、1日に吸う本数が1本増えるごとに、リスクが5.6%増加した。
・コントロール群のうち、受動喫煙に曝露していないと報告したものは半分に満たなかった。1週間の曝露時間が1時間から7時間までの者であっても、MIリスクはまったく曝露しない者に比べて1.24になり、有意に高かった。曝露時間が1週間あたり21時間を超えると、このリスクは1.62に達した。
有害性は、従来の紙巻タバコに限られていなかった。本研究グループが「少量のタバコを乾燥したボンベイコクタンの葉で巻き糸で縛ったもの」と記載した、南アジアでは紙巻タバコより一般的な糸で縛った手巻きタバコ(ビーディ)の喫煙によるリスクは、タバコ未経験者に比べて2.89になった。中東で一般的な喫煙方法である水パイプを通した水タバコ(シーシャ)のリスクは、2.16であった。
タバコ製品を喫煙しないで用いる方法は、南中央アジアで最も一般的である。製品自体を噛む噛みタバコでは、MIリスクが2倍以上になった。噛みタバコと紙巻タバコの喫煙を両方行う者のMIリスクは、未喫煙者の4倍になった。
こうした情報は、自らの喫煙方法が紙巻タバコと同程度に有害であるとは思っていないことが多い多様な文化背景の患者を指導する際に有用だと、Teo博士は言う。「例えば南アジア出身の患者に、(タバコの)有害性が北米の研究で証明されたと話したとしても、患者は、それは米国人やカナダ人についてであって、自分は違う国の出身だと言うでしょう」。そうした場合にも今回の研究の説得力は強いはずだと、博士は述べた。
関連する論説記事において、「莫大な量のデータから得られた今回の圧倒的な結論とは、タバコ曝露は、紙巻タバコ、パイプ、葉巻、ビーディ、シーシャ、煙なしであろうが、受動喫煙または能動喫煙であろうが、フィルター付きであろうがなかろうが、ほんの少量であろうが、世界中の男性と女性において心筋梗塞の原因として大きな部分を占める、ということだ」と、ハーバード大学公衆衛生学部(マサチューセッツ州ボストン)のSarah A. Rosner博士とMeir J. Stampfer博士が記している。「ほんの低レベルの能動喫煙であってもリスクが顕著に増大するという知見は、受動喫煙も大きなリスク因子であることの信憑性をさらに高めるものである」Lancet. 2006;368:621-622, 647-658.』
これでも人前で煙草を吸う人は,酒酔い運転で他車に追突して死亡事故を起こす運転手と基本的にはあまり差がないと思います.もちろん自分が死亡するリスクの方が高いですが.
喫煙の有害性と心血管系リスクは国や文化の境界を超えており、紙巻タバコ1本吸うごとに心筋梗塞発症のリスクが1.056倍に増えることが、大規模患者対照研究で示された
Reviewed by Gary D. Vogin, MD
タバコを吸うと、非致死性の心筋梗塞(MI)のリスクが有意に増加し、それは直接喫煙あるいは受動喫煙かにかかわらず、世界各地で見られるさまざま曝露形式から独立していることが、大規模な国際的患者対照研究で示された。この知見は、喫煙や他の方法によるタバコの使用が心疾患の原因となっていることを示す、大量の疫学的証拠に対する世界的な認識をいっそう強めるものである。
『Lancet』8月19日号に掲載された今回の分析では、現在の喫煙行為には、まったく喫煙経験がない者の調整したMIリスクを3倍近くにする有害性があり、その有害性はタバコの使用方法を変えても回避出来ないことが示されている。この研究ではタバコの影響について、無煙タバコだけでなく、南中央アジアなど特定の地域に主に限定されているあまり一般的でない喫煙方法についても調べられた。
「今回の結果は、タバコがいかなる形式であっても有害であることを示している」と、著者であるマクマスター大学(オハイオ州ハミルトン)のKoon K. Teo, MDらが記述している。その他の注目すべき知見としては、1日の紙巻タバコ消費本数が例え2,3本であっても、消費本数とMI発症の可能性傾向との間に有意な用量反応関係があることなどである。
この研究に関して、マサチューセッツ大学医学部(ウースター)のIra S. Ockene, MDがheartwireに寄せたコメントによれば、今回の研究はかなり昔の仕事を再現したものだが、地理的な面だけでなく、タバコ曝露のほぼすべての形式にわたり検討した点で、世界的に客観性を含んだ「これまで以上の大きな成果もある」。今回のデータの中では、噛みタバコと受動喫煙のリスクに関するデータが重要であり、「タバコを止めたことで利益が得られるのにかかる時間についての、これまでの知見がさらに進んだ」と、博士は述べた。しかし、禁煙することで肺癌リスクが改善されるためには多年を要するのに対して、心血管系への利益は比較的早期に現われることについては、ほとんどの心臓専門医でもその真の価値を認識していないと、博士は言う。
heartwireとのインタビューの中で、筆頭著者のTeo博士も禁煙で劇的に現われる利益について言及した。「たとえヘビースモーカーであっても、リスクは約半分になる。禁煙するのに遅すぎることはなく、その利益はかなり早くに現われる。これが私が今、患者に向けて伝えているメッセージだ」。
Teo博士らは、急性MIの初回患者12,133例と、年齢・性別をマッチングさせた地域住民対照群14,435例を対象にして、タバコ使用の種類を調査した。募集した国は、ほぼ全大陸の52カ国に及ぶ。極めて一般的な使用方法である紙巻タバコ喫煙を、人口統計学的、地理学的、そして他の変数で調整した分析では、
・総じて、現在の喫煙者における非致死性MIのリスク(オッズ比[OR])は禁煙経験のない者に対して2.95(P<0.0001)であった。リスクは、高齢者よりも若年者で高く、男性よりも女性で低かった。
・過去の喫煙者で、止めてから3年以内の者のリスクはほんの1.85であった。い一方、タバコを止めて20年経った者でもリスクは1.22で持続した。
・MIリスクは、1日の紙巻タバコ喫煙数が1本から9本の者では1.63であったが、1日に20本を超えると4.59に激増した(いずれの結果ともP<0.0001)。分析によれば、1日に吸う本数が1本増えるごとに、リスクが5.6%増加した。
・コントロール群のうち、受動喫煙に曝露していないと報告したものは半分に満たなかった。1週間の曝露時間が1時間から7時間までの者であっても、MIリスクはまったく曝露しない者に比べて1.24になり、有意に高かった。曝露時間が1週間あたり21時間を超えると、このリスクは1.62に達した。
有害性は、従来の紙巻タバコに限られていなかった。本研究グループが「少量のタバコを乾燥したボンベイコクタンの葉で巻き糸で縛ったもの」と記載した、南アジアでは紙巻タバコより一般的な糸で縛った手巻きタバコ(ビーディ)の喫煙によるリスクは、タバコ未経験者に比べて2.89になった。中東で一般的な喫煙方法である水パイプを通した水タバコ(シーシャ)のリスクは、2.16であった。
タバコ製品を喫煙しないで用いる方法は、南中央アジアで最も一般的である。製品自体を噛む噛みタバコでは、MIリスクが2倍以上になった。噛みタバコと紙巻タバコの喫煙を両方行う者のMIリスクは、未喫煙者の4倍になった。
こうした情報は、自らの喫煙方法が紙巻タバコと同程度に有害であるとは思っていないことが多い多様な文化背景の患者を指導する際に有用だと、Teo博士は言う。「例えば南アジア出身の患者に、(タバコの)有害性が北米の研究で証明されたと話したとしても、患者は、それは米国人やカナダ人についてであって、自分は違う国の出身だと言うでしょう」。そうした場合にも今回の研究の説得力は強いはずだと、博士は述べた。
関連する論説記事において、「莫大な量のデータから得られた今回の圧倒的な結論とは、タバコ曝露は、紙巻タバコ、パイプ、葉巻、ビーディ、シーシャ、煙なしであろうが、受動喫煙または能動喫煙であろうが、フィルター付きであろうがなかろうが、ほんの少量であろうが、世界中の男性と女性において心筋梗塞の原因として大きな部分を占める、ということだ」と、ハーバード大学公衆衛生学部(マサチューセッツ州ボストン)のSarah A. Rosner博士とMeir J. Stampfer博士が記している。「ほんの低レベルの能動喫煙であってもリスクが顕著に増大するという知見は、受動喫煙も大きなリスク因子であることの信憑性をさらに高めるものである」Lancet. 2006;368:621-622, 647-658.』
これでも人前で煙草を吸う人は,酒酔い運転で他車に追突して死亡事故を起こす運転手と基本的にはあまり差がないと思います.もちろん自分が死亡するリスクの方が高いですが.