『 療養病床の削減計画策定へ 厚労省方針受け、都道府県

 厚生労働省が、療養病床の削減について高齢化の進展など地域の実情を踏まえるとの方針案を示したことで、今後は都道府県レベルで削減目標数などを盛り込んだ「医療適正化計画」の策定作業が本格化する。

 計画は2008年度から5年間。今秋には、各都道府県から報告を受け、療養病床の再編が終わる11年3月末までの全体の削減目標が決まる。

 削減に伴い退院患者の受け入れ先となる老人保健施設など介護サービス量の見込みなども併せて示される。当面、75歳以上の後期高齢者が膨らむことや独居世帯が増えることを想定すると、どうサービスを増やすかという考え方が中心となりそうだ。

 ただ20年ごろには65歳以上の高齢者の増加が横ばいに転じることになり、中長期的な視点が必要との指摘も。高齢者が減少する地域も少なくなく、施設が過剰に転じる可能性があるためだ。

 02年の都道府県別の将来人口推計によると、新潟、香川は20年以降、高齢者人口が減少。北海道や熊本などでも25年には減少傾向に転じる。首都圏や関西圏など大都市圏では比較的に年齢層がまだ若く、高齢者の増加傾向が続くとみられている。

 また、介護保険制度がなかった10年ほど前に、高齢化社会を見据えて国が療養病床を奨励。多くの病院が借金してまで転換を図った経緯があり、「はしごを外された」(病院経営者)との声などへの配慮が必要となる。

 団塊世代の高齢者層入りを控え、国は在宅医療、在宅介護の推進をますます強める見通しだが、医療や介護サービスが質・量ともに確保できるかが問われている。』

『 新型老健施設は終末期も対応 厚労省、療養病床転換促す

 厚生労働省は14日、慢性疾患を抱えるお年寄り向けの療養病床を減らすため、療養病床から老人保健施設に転換した場合、終末期のお年寄りのみとりや夜間看護などを充実させた新しいタイプの老健施設とすることを認める方針を固めた。削減で療養病床に入れなくなるお年寄りの受け皿とし、転換を促す狙いがある。09年の介護報酬改定で、療養病床から新型の老健施設に移行した施設への報酬を手厚くする。

 厚労相の諮問機関である「介護施設等の在り方に関する委員会」で検討し、6月をめどに具体的な対応をまとめる。

 療養病床には現在、医療保険を使って入院するベッド25万床と、介護保険を使う12万床がある。だが、療養病床の患者の半数は「医師の対応がほとんど必要ない」とされる。こうした社会的入院を解消し、医療費を抑えるため、厚労省は療養病床を12年度末までに15万床超に減らす方針だ。

 療養病床に入れないお年寄りは、老健施設や有料老人ホーム、自宅療養に移ることを想定している。しかし現実には、病状が安定していても、チューブによる栄養補給や、機械でのたんの吸引が必要な患者もいる。退院後に自宅へ戻るまでのリハビリなどを行ってきた現在の老健施設では受け入れが難しい場合があり、どの施設も受け入れてくれない「介護難民」が発生する恐れがある。

 療養病床を抱える医療機関の多くも、必要な医療を提供できなくなるなどとして老健施設への転換に難色を示している。厚労省は、療養病床で提供している比較的軽度な医療行為を、療養病床から転換した後の老健施設でも対応できるようにすることで、療養病床の削減を進めたい考えだ。

 また、現行の老健施設では「入所者100人につき看護師・准看護師9人」としている基準よりも看護師を多く配置。日常の看護や終末期のみとり、身体機能を維持するためのリハビリを充実させる。

 従来の老健施設に対する介護報酬とは別に、療養病床から新型の老健施設に転換したところに限り、介護報酬を上乗せする方針。みとりやリハビリの看護を提供した場合は、さらに加算することも検討する。

 これまでの老健施設は病院と自宅との「橋渡し」が中心で、施設で死を迎える人は入居者の2%にとどまる。自宅で亡くなるまで過ごすのが難しいお年寄りも多いため、新型老健施設では、長期的なケアや終末期医療にも対応できる「ついのすみか」の面ももたせる。

 厚労省は、療養病床の削減で医療保険給付は12年度時点で年4000億円減る一方、介護保険は1000億円増え、差し引き3000億円の給付抑制につながるとしている。新型老健施設で介護報酬を手厚くすれば、給付の抑制幅は小さくなる可能性がある。 』

 医療保険を使って入院するベッド25万床と介護保険を使う12万床の計37万床を15万床にした場合,その差は22万床.これを介護保険の増加の1000億円でみると1床あたりで年45万円の計算になる.

 1ヶ月では,わずか3万7500円.療養病床から新型の老健施設に転換したところに限り、介護報酬を上乗せするといってもせいぜい月1万円もいかないだろうから,10年経っても病床転換による設備投資の元が採れるかどうかも疑わしいのではないだろうか.

 10年前の療養型病床の時も最初はおいしそうに見えたが,すぐに話が変わって痛い目にあったのはつい最近のことだから,病院もこんな話に飛びつくわけにはいかないだろう.だから病床転換するよりも廃院してしまうところが多いのではないだろうか.

 だが,そんなことは厚労省は十分承知しているのだろう.結局,療養病床で提供する軽度な医療行為や終末期への対応は開業医にやらせるつもりのようで,最近はこんなことも言っているのである.

『 「大病院、一般外来なし」 役割分担促す 厚労省方針

 厚生労働省は13日、今後の医療政策の方向性として、大病院や専門病院は一般的な診察はせずに入院と専門的な外来に特化する一方、開業医に対しては休日・夜間の診療や患者の自宅を訪れる訪問診療を求める報告書をまとめた。病院と開業医の役割分担を明示することで、勤務医の過度な負担を軽減するとともに、在宅医療への移行をはかるのが狙いだ。今後、診療報酬の見直しなどを通じて実現を目指す。

 柳沢厚労相を本部長とする「医療構造改革推進本部」が報告書を作成。都道府県の担当者を集めた17日の会議で提示する。

 報告書では、日本の医療の問題点として、大病院、中小の病院、開業医の役割分担が明確ではない結果、「拠点となる大病院などに外来患者が集中し、勤務医に過度の負担がかかっている」と指摘。大病院は「質の高い入院治療が24時間提供されるよう、原則として入院治療と専門的な外来のみを基本とする」と明記した。

 また、中小の病院は軽い病気の入院治療や脳卒中などの回復期のリハビリテーションなどを担当することが妥当とした。

 一方、「夜間や休日などの治療に不安がある」とする患者のニーズに対応するため、開業医の果たすべき役割として(1)休日夜間急患センターに交代で参加する(2)時間外でも携帯電話で連絡がとれる(3)午前中は外来、午後は往診・訪問診療という経営モデルをつくる、などを挙げた。

 開業医はこれまで以上に広範な対応や知識が求められるため、開業医のチーム化や研修を充実させ、「看(み)取りも含め24時間体制での連絡や相談機能を果たすことのできる体制を検討する必要がある」としている。

 長期療養が必要なお年寄りについては、患者を継続的に診る「在宅主治医」の重要性に言及。患者自らが主治医を選び、医師間や病院との調整を担ってもらうことで、ケアの質を上げる。

 こうした方向性に基づいて、厚労省は地域の医療計画を策定するよう、各都道府県に要請。開業医の訪問・夜間診察の診療報酬の引き上げや、総合的な医師の養成などに取り組む考えだ。 』

 勤務医の負担を軽減というと聞こえはいいが,結局は開業医からの夜間・救急診療の依頼が増えるだけで,勤務医のストレスが減ることにはならないだろう.むしろ,夜間呼び出しがないのだけが救いだった開業医も巻き込んで,さらに医療は荒廃していくのではないだろうか.

 厚生労働省の朝令暮改は今に始まったことではないのだろうが,最近の医療行政は臨床医の私には理解できないことだらけである.政府の本当の狙いは病院経営自体を企業の支配下に置くことではないかと思うのだが,その意味では目的を達成しつつあるのだろうか.10年後の医療がどうなっているのかまったく想像もできないのは,きっと私だけではないだろう.
『 訪問介護で全国監査へ 厚労省通知

 厚生労働省は10日、広域的に事業を展開する指定訪問介護事業者について虚偽の介護報酬申請が行われていないか、速やかに監査するよう都道府県に通知した。東京都が訪問介護大手のコムスン、ニチイ学館、ジャパンケアサービスに対し、不正請求があったとして業務改善勧告を出したことを受けた措置。3社を含め広域的に事業を展開している事業者が対象で、悪質な事例については厳正な処分を求めている。』

 年金をいいだけ無駄遣いしてくれた厚生労働省に比べれば4300万円なんてかわいいものだが,訪問介護事業で利益を上げるためにはそのくらいのリスクは計算していたのではないだろうか.

 老人介護のコストダウンが目的なのだから当然かもしれないが,病院での社会的入院の時代に比べるとかなり手薄な感じがするのが現在の訪問介護サービスである.しかし,コムスン本社は六本木ヒルズにあるそうだから,実際には介護保険料からの収益はきっとかなりなものなのだろう.

 医療保険の時代とちがってサービスの質を落とせば儲かるのが介護保険制度なのだから企業は今後もあの手この手でコストダウンを計るに違いない.だから,指定取り消し前に廃業するという裏技もあらかじめ想定内だったに違いないと思うのは私だけだろうか.
そろそろ散歩写真かな
『7割が週48時間以上労働 病院会調査で明らかに

 全国で働く勤務医の7割以上は、夜勤当直を除く1週間の勤務時間が、法定の40時間を大幅に超えて48時間以上に達していることが10日、社団法人日本病院会の調査で明らかになった。医療過誤の原因として「過労」と答えた医師も7割に上っている。過労によるうつ病で自殺した小児科医(当時44歳)について先月、東京地裁で労災適用を認める判決が出たが、医療現場で広く同様の過酷な勤務実態があることを裏付ける内容。厚生労働省は医師不足への本格的な対策を迫られている。

 調査は昨年7月、全国2535病院を対象に行い、5635人の勤務医から回答を得た。結果は10日夕、厚労省の「地域医療支援中央会議」で報告される。

 1週間の勤務時間を聞いたところ、「48〜56時間未満」が26.1%(1469人)で最も多く、▽64時間以上=23.2%(1307人)▽56〜64時間未満=20.8%(1173人)と続く。週48時間以上働いている勤務医は計70.1%に達する一方、法定の「40時間未満」は4.1%(229人)にとどまっている。

 「夜間当直をする」と答えたのは71.6%(4034人)。月の夜勤当直回数は、▽3〜4回=40.8%(1645人)▽5回以上=17.1%(688人)で、「2回以内」は41.9%(1692人)だった。また、宿直勤務をした医師の88.7%が、「忙しさと無関係に翌日も通常勤務せざるを得ない」と答えた。勤務時間、当直回数は、年齢や病院の規模による差はなかった。

 医療過誤の原因(複数回答可)については、「過剰勤務のために慢性的に疲労している」を挙げた人が71.3%(4015人)を占めた。医師不足の要因(同)についても、「過酷な労働環境」と答えた人が61.0%(3435人)で最も多かった。』

 柳澤厚生労働大臣に言わせれば,「たしかに病院に着いてから帰るまでの時間は長いかも知れないけど、その中には待機してる時間や休憩時間、自分の研究をしてる時間も含まれてるんだから、本当の勤務時間である『患者を診察してる時間』だけを見たら、厚労省の調査では別にたいしたことはない」そうだから,厚生労働省が改善してくれる見込みなんてないでしょう.

 医師も自分の健康は自分で守らなければなりません.やっと風邪のカタル症状が良くなってきたので,気分転換に朝の散歩の相棒をネットで注文しました.こいつで夜明けの海まで突っ走りたいのですが,果たしてどうなることやら...
『沖縄戦集団自決「強制」記述に修正意見 教科書検定

 文部科学省が30日公表した06年度の教科書検定で、地理歴史・公民では、沖縄戦の集団自決をめぐって、「日本軍に強いられた」という内容に対し修正を求める意見が初めてついたことが分かった。強制性を否定する資料や証言を根拠に、従来の判断基準を変えたためだ。イラク戦争や靖国参拝など外交や政治にかかわる問題では、政府見解に沿う記述を求めるこの数年の傾向が今回も続いた。

 今回の対象は、高校中学年(主に2、3年で使用)の教科書。224点が申請され、検定意見を受けて各出版社が修正したうえで222点が合格。不合格の2点は、いずれも生物2だった。

 地歴公民のうち日本史では、沖縄戦の集団自決に関して「日本軍に強いられた」という趣旨を書いた7点すべてが「命令したかどうかは明らかと言えない」と指摘され、各社は「集団自決に追い込まれた」などと修正した。日本史の教科書は昨年も申請できたが、その際にはこうした意見はつかなかった。

 文科省は、判断基準を変えた理由を(1)「軍の命令があった」とする資料と否定する資料の双方がある(2)慶良間諸島で自決を命じたと言われてきた元軍人やその遺族が05年、名誉棄損を訴えて訴訟を起こしている(3)近年の研究は、命令の有無より住民の精神状況が重視されている――などの状況からと説明する。昨年合格した出版社には、判断が変わった旨は知らせるが、すぐに修正を求めることはしない方針だ。

 地歴公民では、他にも時事問題で政府見解に沿った意見がついた。その結果、イラク戦争では、「米英軍のイラク侵攻」が「イラク攻撃」に、自衛隊が派遣された時期は「戦時中」から「主要な戦闘終結後も武力衝突がつづく」に変わった。首相の靖国参拝をめぐる裁判では、「合憲とする判決はない」という記述に「私的参拝と区別する必要がある」と意見がつき、「公式参拝を合憲とする判決はない」となった。

 南京大虐殺では今回も、「犠牲者数について、諸説を十分に配慮していない」との意見が日本史5点についた。一方、政治・外交問題となり、中学の教科書からはなくなった「従軍慰安婦」(「慰安婦」「慰安施設」を含む)の問題は16点で取りあげられたが、意見は一つもつかなかった。 』

 「美しい国づくり」というのは昔の忌まわしい記憶を忘れ去って,きれいさっぱり何事もなかったようにすることなのだろうか.

 最近の政府側の答弁は何かというと証拠がないと言うのが常套手段のようであるが,結果から考えれば「沖縄戦の集団自決」も「従軍慰安婦」も戦争のもたらした結果でありその意味では命令があろうとなかろうと当時の政府の責任は逃れられるものではないだろう.

 しかし,現代は民主主義国家なのであるからすべては国民の責任である.マスコミのいいかげんな健康娯楽番組や情報操作された報道を鵜呑みにして右往左往しているようでは,騙されてバカをみるのはいつも自分たち国民だということにそろそろ気がついてもいいころではないかと思うのだが,そう感じている人はどれほどいるのだろうか.

 先日,ちょっと札幌市内のホテルに宿泊したら,「団塊の世代」と思われる観光客が目に付いた.しかし,そのマナーにはあまり感心できなかった.同世代の人数が多かったせいなのか,なにかと競争心が働くようで,風呂でもレストランでも平気で人を押しのける,他人の迷惑など気にしないという方が多いような気がした.あの年代の方の傍若無人な態度には外来で慣れているとは言え,小さな子供の前でやられるとさすがに厭なものである.

 定年になるような歳ではもう直しようがないのかもしれないが,人というものは環境次第でどうにでもなってしまうということの恐ろしさに改めて気づかされた.「みんなで渡ればこわくない」という言葉もあるが,今,問題になっている環境とか戦争とかは,みんなといっしょでも間違った方向に行けば全滅してしまうという恐ろしい問題である.何も考えずにみんなと歩くのも結構だが,それでは自分の運命は人まかせになり,挙げ句の果てに結果については自分あるいは子孫の命で払うということになるのではないだろうか.

 環境や戦争ほど大きな問題ではないのかもしれないが,医療費抑制政策も同じようなものではないだろうか.病院がなくなり,医師は逃散し,気がついたらまともな医療も介護も受けられないという人はこれからどんどん増えると私は危惧している.もっとも,厚生労働大臣が言うまでもなく,資本主義社会ではお金のないところには人も物も集まらないというのは当然のことで悪いことではないのだろう.だが,強者の理論で弱者が淘汰されていくのは,決して「美しい国」などではなく,まさに「戦場」そのものだと思うのだがどうだろうか.
 最近,外来で気になるのは認知症の患者さんの家族だけがやってくることである.

 認知症で足腰も弱っている患者さんを病院に連れてくるのが大変なのはわかるし,状態が特に変わっていなくて薬の処方を前回と同じにして欲しいとかいうのならわからないでもない.

 困るのは,家族の説明で認知症が悪化しているようだったり,前回処方した薬のきき具合をみたくても患者さんが来ていないので状態がわからない時である.それなのに家族の希望は精神科の病院にかかりたいので手紙を書いて欲しいとか,薬を飲んでも変わらないので他の薬にして欲しいということなのである.

 仕方がないので前回までの治療経過の手紙を書いたりくらいはするのであるが,薬の変更はやはり患者さんを診察しないことにはできないと説明するしかないわけである.なかには家族の都合で,毎回ちがう外来担当医のところに来る人までいて,もうこうなると誰が主治医かもわからなくなりとても責任ある診療などは望めないのである.

だから,
1.前回受診時に新しい薬が処方された時
2.以前と状態が変わった時
3.初診あるいは主治医以外の医師に診てもらう時

は,必ず患者さん本人が来ること.

そして出来ることなら,
4.家族を代表する人が毎回いっしょに受診して主治医の説明を聞く.

ということが,認知症の家族をしっかり診てもらい今後の治療方針を決定してもらうのにとても大切なことだと私は思います.
 以前からこのタイトルで書きたいと思っていたのですが.まとめて書こうと思ってもいざ書くとなると何から書いていいのかわからないし,適当な事例をあげることも難しくてどうしても書き出せませんでした.そこで日記のテーマの一つとして少しずつ書いていくことにしました.

 具体的には,こういう風にして病院や医師を利用してもらうとより良い治療を受けられるだろうというポイントなどを診療をしていて経験することを例に書いてみたいと思います.

 これに関連して以前に「おすすめ本」のテーマにあったものは「その他」のテーマに移動しました.
『異常行動、10歳未満が半数 医薬品機構、症例HPで公開

 インフルエンザ治療薬「タミフル」による副作用の疑いがある症例のうち、「異常行動」が05年度は計36件で、うち10歳未満が18件と半分を占めていることが、独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」への副作用報告で分かった。今回、投与が原則禁止された10代では15件、20歳以上は3件だった。ただ、同機構が個別に副作用との関連性を評価したものではなく、因果関係ははっきりしていない。報告は薬事法に基づく制度。症例は01-05年度分が現在、同機構のホームページで公開されている。

 タミフルを巡る副作用情報は01年の発売以降、約1800件で、厚生労働省が「異常行動」を中心に内容を再調査する方針を明らかにしている。

 05年度の同機構への副作用報告総数は約500件。副作用の症状は約170項目に上るが、「異常行動」(36件)が最も多かった。このうち20歳以上の3件の内訳は40代、70代、90代がそれぞれ1件だった。』

『タミフル取り消し、回収を NPO法人が厚労省に要望

 10代への処方が原則中止となったインフルエンザ治療薬「タミフル」について、特定非営利活動法人「医薬ビジランスセンター」の浜六郎(はま・ろくろう)代表は26日、承認取り消しと回収を求める要望書を厚生労働省に提出した。

 要望書は、厚労省がタミフルと異常行動の因果関係に否定的だった従来の立場を白紙に戻したことについて「因果関係を実質的に認めたことを意味する」と指摘。10代の処方中止だけでは他の年代の被害を防ぐことができないとしている。』

 製造元のスイス・ロシュ社の推計では,01年の発売以来,世界の服用者の約8割にあたる約2450万人が日本で服用したそうだ.インフルエンザが流行したのではなくタミフルの服用が流行したということなのだろう.これだけ短期間に大量に投与すれば未知の副作用が明らかになったとしても不思議ではないだろう.だからと言ってタミフルよりも副作用による死亡のリスクが高い薬すべてを承認取り消しにするとしたら,治療に有効なかなりの種類の薬が市場から消えるのではないだろうか.

 今回の一件で予防接種を受ける人が増えるのか,それともリレンザでまた同じことを繰り返すのか興味深い.今の臨床は主治医の意見よりもマスコミの影響力が強く,患者さんの希望が最優先だから,素人判断が横行するわけで,それには厚生労働省もとりあえず白紙撤回して責任逃れをするしかないと判断しただけではないだろうか.
『代理出産、親子関係認めず 最高裁、向井亜紀さん問題で

 タレントの向井亜紀さんと元プロレスラーの高田延彦さん夫妻が米国人女性に代理出産を依頼して生まれた双子の男児について、最高裁第二小法廷(古田佑紀裁判長)は23日、夫妻との親子関係を認めない決定を出した。親子関係を認め、出生届の受理を東京都品川区に命じた東京高裁決定を破棄した。 』

『<代理出産>向井亜紀さんの双子、最高裁が実子とは認めず

 タレントの向井亜紀さん(42)と元プロレスラーの高田延彦さん(44)夫妻が、米国での代理出産でもうけた双子の男児(3)の出生届を受理するよう東京都品川区に求めた家事審判で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は23日、受理を命じた東京高裁決定を破棄し、申し立てを退けた。出生届の不受理が確定した。決定は「現行民法の解釈としては、女性が出産していなければ卵子を提供した場合でも法的な母子関係は認められない」との初判断を示した。

 決定は4裁判官全員一致の意見。代理出産の適否には言及せず「今後も民法が想定していない事態が生じることが予想され、立法による速やかな対応が強く望まれる」と異例の言及をした。

 夫の精子と妻以外の女性の卵子を使った「代理母」のケースでは、最高裁が05年に法的な実の親子関係を認めない決定を出していた。今回は夫妻の精子と卵子を使う「借り腹」と呼ばれる方法で、判断が異なる可能性もあったが、いずれも認められないことになった。

 夫妻は米国で代理出産を試み、03年11月に双子が生まれた。米国ネバダ州の裁判所は夫妻を法的な実の親と認めており、審判では、この裁判の効力が日本で認められるかが争点となった。

 第2小法廷は「日本の法秩序の基本原則や基本理念と相いれない外国判決は公の秩序に反して無効」とした97年判例を踏まえ、ネバダ州裁判の効力を検討。「民法が定める場合に限って親子関係を認めるのが法の趣旨」とした上で「民法が認めていない場合に親子関係の成立を認める外国の裁判は公の秩序に反する」との判断を示した。

 その上で「出産した女性が母親」とした62年判例を引用。「親子関係は公益と子の福祉に深くかかわるため、一義的で明確な基準により決められるべきだが、民法には子供を出産していない女性を母と認めるような規定がなく、母子関係は認められない」と述べ、効力を否定した。

 双子は「保護者同居人が日本人」という在留資格を得て日本で夫妻に育てられている。実の親子関係に近い「特別養子縁組」が認められるなどすれば、日常生活に大きな支障はないとみられる』

 認知問題なら遺伝子にこだわるのもわからないではないが,代理出産で生まれた子供が実子か養子かにこだわる理由がわからない.出産のリスクを考えれば代理だろうとなんだろうと生んだ女性が生みの母,育てた女性が育ての母でいいだろう.法的に母親になりたければ養子縁組すればいいだけの話ではないだろうか.

 人間にとって心(=脳)が一番大切という私の視点で言わせてもらえば,一生懸命子育てに関わってしっかり人格形成をしてあげた人こそが子供にとって本当の親だと思うのだがどうだろうか.
天寿
『国内最高齢ライオン死ぬ 23歳、札幌の円山動物園

 札幌市の円山動物園は、飼育中の国内最高齢のライオン「ジェスパ」(雄)が老衰のため死んだと22日発表した。23歳で、人間の年齢に換算すると100歳近いという。円山動物園によると、ジェスパは年明けから体調を崩していたという。21日午後、水飲み場で横たわると、そのまま息を引き取った。来場者側から見ると、いつも定位置にいることが多く、雄たけびが人気を集めていた。』

 昨年,還暦のお祝いをした象の花子に続き,国内最高齢のジェスパ(写真は今年1月のものです.)も亡くなってしまった.これだけ長生きすれば天寿を全うしたと言ってもいいだろうか.しかし,長生きできたからと言って,動物園での生涯が動物にとって幸せとも思えない.すべては人間の都合なのである.
『厚労省課長、中外製薬に天下り 医薬品担当 国会で質疑

 厚生労働省で医薬品の販売許可や副作用認定などを担当していた元課長(58)が退職後、中外製薬(本社・東京)に天下っていたことがわかった。20日の参院厚生労働委員会で共産党の小池晃氏が指摘した。国家公務員は離職後2年間、在職中に密接な関係があった企業に勤められないが、元課長の場合、2年を超えていた。柳沢厚労相は「法的に問題はなく、薬事行政がゆがめられることはない」と述べた。

 同省によると、元課長は医薬安全局安全対策課長や医薬局審査管理課長などを務め03年8月に退職。財団法人に2年1カ月勤めた後、中外製薬に移ったという。

 中外製薬はインフルエンザ治療薬「タミフル」の輸入販売元。薬の服用と異常行動との関連が指摘されており、厚労省研究班が調べている。同社は「職歴や知識などを総合的にみて貢献しうる人材と判断して採用した」と話している。』

『<公務員退職年齢>天下り防止で引き上げへ 渡辺行革相

 国家公務員が定年前に退職する「早期退職慣行」を是正するため、政府は03〜07年度の5年間で平均退職年齢を3歳引き上げる目標を掲げているが、06年8月時点で1.4歳の引き上げにとどまっていることが、20日明らかになった。渡辺喜美行政改革担当相は退職年齢を引き上げ、慣行の廃止を目指す考えを強調した。』

 早期退職して2年と1ヶ月で合法とはうまい話ですね.60歳前に退職してまで天下るのにはきっと双方にそれなりの大きなメリットがあるのでしょうね.柳沢厚労相の天下りを擁護するような発言は真意がよくわかりませんが,このところマスコミはタミフル薬害説と関連づけて薬事行政の三位一体説でも唱えたいのでしょうか,
『「注射1人で出来ない」看護師学校の過半数で8割超す

 新人看護師の看護技術低下が深刻化している。

 日本看護協会の調査では、人工呼吸、心臓マッサージ、止血など救急救命術や注射などを「1人でできる卒業生が20%未満」という看護学校が半分を超えた。

 新人看護師による医療事故も少なくない。事態を重く見た厚生労働省の検討会は来週、病院実習を大幅に増やすなど、看護教育カリキュラムの10年ぶりの見直しを議論する。

 「点滴を付けた患者の寝間着やシーツを1人で替えられない」「患者の搬送時、ストレッチャーを真っすぐ押せない」。毎年4月になると、東大付属病院の榮木実枝看護部長のもとに新人看護師を巡るトラブル報告が相次ぐ。「ここ5、6年、シーツ交換など『これだけはできてほしい』ということができない人が増えた」と言う。』

 今までにあわせて4期ほど看護学校で解剖学と脳神経外科疾患について教えた事がある.最後には翌年の講師の依頼をお断りさせていただいたのだが,その理由というのはあまりにも学生の質が悪くなったということだった.

 もともと人に教えるなどということは好きではないが,教える以上はこちらもなるべく新しくて興味が持てるような資料を毎回色々準備して講義に臨んでいるのである.講義中居眠りしている学生はまあ許せたとしても,試験の採点の時に全員があまりに勉強していないのがわかり,正直言って驚いたのと同時に失望させられたのである.

 基本的に留年はさせないように学校側から頼まれるので,試験問題はまったく教科書の範囲内だけにとどめて難易度も毎回変わらないようにしているのだが,最近の看護学生は昔の学生に比べて真剣に勉強していないことが試験の結果をみれば一目瞭然だったのである.それで私も休日を潰してまで資料を準備をして教える気を失ってしまったのだ.

 だが,これが勉強しないのではなくやってもできない,つまり看護師を希望する学生の質が落ちているのだとしたら問題はより深刻だ.政府は医療費抑制のために厚生労働省に詳細な年次目標計画を提出させて,医療コストのさらなる圧縮を計ろうとしているようだが,それはすなわち医療職の人件費抑制ということにつながっていくに違いない.そんな状況で,今後,医師や看護師に優秀な人材が確保できるのだろうか.

 医学部はまだ人気が高いとは言っても,研修医の動向をみてもわかるように一部の診療科はすでに職業としての魅力を失っているようであるし,地方医療の荒廃ぶりをみれば高い倫理感や医師としての使命感などを期待されてもそれに応える医師が増えるわけがないのも明らかだ.今や医師が業務上過失致死で逮捕されるのであるから,せっかく苦労して医師になっても得る物がないのでは人材が先細りになるのではないかと心配になる.

 看護師も同様ではないだろうか,いくら呼び名が看護婦から看護師になっても社会的地位が向上し勤務が楽になって給与が増えたわけではない.診療報酬改訂のためにいろんな特典付きで勧誘されても,それは看護専門職としての技術やキャリアを買われたわけではなく頭数をそろえるのに必要とされただけの話である.こんな状況では,日頃から自分の仕事に対する学習意欲がわかないのも無理はないのではないだろうか.

 最近は,どこの病院でも研修会や各種の委員会を通じて看護師の知識と技術の向上に努めてはいるのであるが,やはり肝心なのは新人看護師さん達の資質だろうと思う.しかし,医療コストを下げることばかり考えているといずれ看護師さんの大部分は賃金の安い外国からの人たちになってしまうのではないかと心配しているのは私だけだろうか.   
 ネット社会のおかげでしょうか.情報量が飛躍的に増えたおかげで誰でもが色々なことを知る事ができるようになりました.しかし,その情報を取捨選択できる知恵がないと誤った情報を鵜呑みにして情報に流されてしまいます.

 医師じゃないという点では,厚生労働大臣にしても患者の家族にしても同じようなものです.医療が崩壊していく現場の医師だけにしかわからないことが,厚生労働省のお役人の報告書やマスコミの報道で理解できると勘違いされたのでは医師のやる気が萎えるのが加速するだけです.もっとも故意に勘違いしたフリをしているとなるとまた話は別ですが...

 インフルエンザの流行で学校がお休みだそうです.世のお母さんたちはタミフルで騒ぐ前になぜ子供に予防接種を受けさせないのでしょうか.学校の先生達はなぜ病院の職員のように全員が予防接種を受けないのでしょうか.私には理解できないことが多すぎます.

 最近,こちらの説明を聞いていたようなのに患者さん自身や家族の方が勝手に入退院や転院を希望するケースが増えています.その多くは仕事の都合や病気に対する勝手な思い込みなのですが,希望がかなわないと逆上して食って掛かる人も多いようで病院は大変迷惑しています.もう,こうなると紹介状を書いてあげますからどこにでも行ってくださいと言うしかなくなります.

 悪い結果を招くのを防ぐ意味でも情報の乱用による素人判断は避けるべきだと思われます.
『パイロットの飛行能力は、年齢ではなく熟練で決まる

 最新研究によると、年齢に起因する認知機能低下の影響は熟練に基づいた知識で相殺できると思われ、定年退職の義務の妥当性について疑問が呈される。

 非民間航空会社の40歳から69歳までのパイロット118名を対象にした3年間の縦断研究によると、米連邦航空局(FAA)の上級パイロットの資格を有するパイロットは、年齢に関係なく、経年的な能力の低下が少なかった。

「この知見は、熟練知識が有利であり、人はある年齢に達すると自動的に認知機能の低下が始まるという想定に基づいた『60歳定年』ルールが合わないことを明確に示している」と、筆頭著者であるStanford/VA Aging Clinical Research Center(カリフォルニア州パロアルト)のJoy Taylor, PhDがMedscapeに対して語った。

この研究は、『Neurology』2007年2月27日号に掲載されている。

研究の盲点

 FAAは現在、民間航空会社のパイロットは60歳で定年にすることを定めている。しかし、この決定を支持する根拠は弱い。今回の研究によれば、今日までに行われたフライトシミュレーターと専門技能の研究はすべて横断的なものであり、したがってある一定時点の能力の指標でしかない。

 そこで今回の研究チームはこの研究の盲点に対処する研究を起ち上げ、保護因子になる可能性のある熟練といった因子と年齢の相互関係を調べ、それが最終的に能力に与える影響を詳しく調べることにした。

 対象としたパイロットは全員が、総飛行時間は300から1万5,000時間までの現役パイロットであり、FAAの健康証明書を有していた。各パイロットを試験に組み入れる時に各自の飛行経験を、それまでに達成されたFAAパイロット熟達度ランク(熟達度最小から最大)に基づいてレベル1から3に分類した。

 今回の研究では、退職後に飛行の機会がないことで退職者間の能力に差が生まれる可能性を除外するために、民間航空会社のパイロットは除外することにした。

 フライトシミュレーターを用いて、コミュニケーション能力、接近回避、緊急状態を発見するコックピット機器の視認能力、有視界着地の実施能力、飛行概要スコア(flight summary score)についてパイロットを毎年検査した。

熟練パイロットのほうが年数を経ても安定

 被験者は、CogScreen-AE batteryからの抜粋検査群と情報処理能力検査からなる、飛行機操縦に関係する能力を調べるための認知機能検査バッテリーをすべて行った。

 最初のレベル分けののち、パイロットはフライトシミュレーターで「飛行」を行った。このシミュレーターは、接続されたコンピュータが「窓を通した」視界を生成し、飛行機の向きとコミュニケーション頻度に関するデータを連続的に収集する。コンピュータは23種類の変数を生成することができ、理想的な向きからのずれや割り当てられた値、それから反応時間について測定する。

 このシステムは、着陸装置固定・プロペラ固定の小型単発機で、山に囲まれた平地への晴天下での着地をする飛行をシミュレートする。コックピットのスピーカーシステムを介して、管制官を模して録音した音声メッセージをパイロットに対して流した。

 各被験者は午前中に75分間と午後に75分間の飛行を行い、それぞれの飛行後には、40分から60分かけて認知機能検査を受けた。

 平均3年間の追跡の間、パイロットは1年ごとにこの検査を受けた。

 全体の年齢が上がるにつれ能力の低下が見られたが、熟練度の高いパイロットでは研究開始時の飛行概要スコアが良く、経年的な低下が少ないことが判った。またTaylor博士によれば、最高齢のパイロットたちの方が対応する若いパイロットたちよりも接近回避能力が高いことが二次分析により判った。

「FAA熟達度資格が最高ランクにあるパイロットは、経験の少ないパイロットに比べて、能力全体がもっとも優れており、とても興味深いことに経年的変化が安定していた」とTaylor博士は語る。

広い範囲に及ぶ意義

 Taylor博士の話によると、今回の研究結果の意義は航空業界だけに留まるものではなく、ある個人が退職の段階に来ているかどうかを判定する方法としては、仕事内容を模した検査法が客観的で精度が高いことを示しているという。

「職場での能力と適性を調べるには仕事内容を模した検査を使うという考え方がとても重要であり、結局のところきわめて公平なのではないか、と思う」とTaylor博士は述べている。

 Taylor博士によれば、健康者においては、20代半ばには加齢による自然な認知機能の低下が見られる。問題は、それによる実際の影響が個人の仕事の能力に関係するかどうかである。

 関連する解説記事において、メイヨークリニック医科大学(アリゾナ州フェニックス)のJoseph I. Sirven, MDとイリノイ大学航空人間工学科(サヴォイ)のDaniel G. Morrow, PhDも、この研究の広範囲な意義について触れている。

「固定年齢制の就業制限を見直し、適性に基づいた能力評価への移行を考えるべき時期にきている。忠実度の高いシミュレーションといった評価手段の有効性を確認し、実行すべきである。より優れたシミュレーション技術の開発が、航空業界だけでなく、公衆の安全を左右する医療などの専門職においても必要である」。

Neurology. 2007; 64: 648-654, 630-631.』

 脳神経外科医は執刀医として一人前になるまでにだいたい8〜10年はかかるのではないだろうか.私の場合は,メインオペレーターとして手術をするようになったのは医師になって10年目だったが,今だったら卒後研修が2年あるので脳外科医として手術をするのはその分遅れるから12年かかる計算になる.仮に24歳で医師になっても脳外科医として一人前になるともう35歳を超えているであろう.

 60歳で手術ができなくなるとしたら25年しかないわけである.個人差があるので一概には言えないが,65歳でも手術ができる体力に恵まれている脳外科医というのは限られるのではないだろうか.パイロットと脳外科医で年齢による認知機能に差があるとは思えないが,長時間の飛行と手術で必要となる体力はどのくらいの差があるのだろうか.

 最近でも35歳の頃と比べて持久力はそれほど落ちた気はしないのだが,実際には手術時間が短くなり体力的に楽になったような気がしているだけなのかもしれない.まだ長時間の手術もそれほど苦でもなく自分ではあまり歳をとった気もしないのだか,そんなことを考えている脳外科医は私だけなのだろうか.
『厚労相また失言? 「労働時間だけ売り物」

 柳沢伯夫厚生労働相は19日午前の衆院予算委員会で、工場労働を「労働時間だけが売り物」とした労働法制に関する自らの発言について、撤回と議事録からの削除を検討する考えを明らかにした。

 柳沢氏の発言は、15日の参院厚生労働委員会で答弁したもの。柳沢氏は事務職の一部を残業代の支払い対象から外すホワイトカラー・エグゼンプションに関連し、「工場労働というか、ベルトコンベヤーの仕事。もう労働時間だけが売り物ですというようなところでなく働いている方々の現実に着目した労働法制をつくることが課題だ」と述べた。

 この発言について、民主党の川内博史氏が19日の衆院予算委で、「現場で一生懸命働いている方に失礼だ」と批判し、柳沢氏自らが議事録からの削除を申し出るよう求めた。これに対し、柳沢氏は「全体を見てもらえば誤解が生じるとは思わないが、『だけ』という表現が、ある人々を傷つけるとの指摘なので、(削除が)可能かどうかを相談したい」と述べた。』

『 月3回は32時間勤務=「休みゼロ」も3割近く−勤務医の労働実態調査・医労連

 月3回は連続32時間勤務、3割近くは1カ月間休日なし−。勤務医の厳しい労働実態が19日、日本医療労働組合連合会(日本医労連)の初の調査で浮き彫りになった。慢性的に疲労を感じる人は6割に上った。
 調査は昨年11月から今年1月にかけて、同労連の加盟組織などを通じ、勤務医に調査票を配布。25道府県約150施設の1036人の回答を集計した。
 前月の宿直回数は平均2.9回。4回以上の人は全体の4分の1を占め、「10回以上」の人もいた。宿直明けの日に勤務がないのはわずか4.2%で、大半の人は宿直時に32時間連続勤務をしていた。
 休憩時間を規定通り取れる人は約2割にとどまる。前月休んだ日数の平均は3.3日で、ゼロの人も27.0%いた。』

 病院の宿直なんて救急患者が来なければ『もう労働時間だけが売り物です』というような仕事だけど,いつどんな救急患者が来るかと思うと非常にストレスを感じる医師は多いはずである.おまけに救急患者はだいたいが夕食後や明け方に来る事が多いから,受け入れる方は食事や睡眠が不規則になるものなのである.だから自分の健康を考えれば宿直なんてまっぴら御免だというのが多くの医師の本音ではないだろうか.

 脳神経外科の場合,多くは2〜3人で宿直あるいは呼び出しの当番をまわすことが多いから,ひと月に多い人で15回以上,少ない人でも7〜8回は救急患者で呼び出されているのではないだろうか.そして医師の場合は宿直明けはそのまま翌日も勤務するのが常識になっているから前日の8時間+宿直16時間+翌日8時間で32時間労働になるわけである.運が悪いと本当に睡眠時間が0のまま緊急手術になることもあるが,たとえ緊急じゃなくとも当直の翌日に定期の手術なんてやりたいわけがないのである.

 『働いている方々の現実に着目した労働法制をつくることが課題』などときれいごとを言うくらいなら,まず勤務医の連続勤務時間と一ヶ月の宿直時間の上限設定くらい厚生労働省でしてくれてもいいような気がするのだがどうだろうか.それとも勤務医はホワイトカラーじゃないから過労死あるいは医療事故で勾留されるまで働き続けなければいけないのだろうか.

Wiiの可能性

2007年2月17日 その他
YouTubeをテレビのように見れるWii対応の動画サービス『Rimo』が始まったそうだ.
http://rimo.tv/

 普通にPCでアクセスしても見ることができるのだが,これをWiiのブラウザで見ると大画面液晶でテレビのように流し見できるという点が面白い.これで,ニュース,天気予報,そして面白映像がWiiで見られるようになった.できればGyaOなんかもWiiで見れるようにしてもらえるとありがたいのだがどうにかならないだろうか.

 もうひとつ最近Wiiで面白そうなのがアンケートチャンネル.国内あるいは世界中のWiiユーザーを対象にアンケートに答えてもらってその結果を発表するというものだが,これって使い方によってはいろいろ面白いことができそうだ.自分でアンケートを作ってNintendoに送ることもできるようなので,ちょっと作って送ってみた.万が一にも採用されたら結果もあわせてここに報告することにしよう.
『 禁煙条例に反対の組織票 JTが神奈川県アンケートで

 公共の場での喫煙を全面的に禁じる全国初の喫煙禁止条例制定について、賛否を問う神奈川県のインターネットアンケートで、日本たばこ産業(JT)が社員を動員して組織的な反対票を投じていたことが15日、分かった。JTは横浜支店の社員ら約200人に依頼、1月末の締め切り直前に反対票が賛成票を上回る結果となった。同社は「社員に反対するよう依頼した。全面禁煙反対は社のスタンスだ」としている。』

 喫煙による健康被害は明らかであるのに,こういう行動を取りコメントを出すということは,非喫煙者の人権に対する挑戦と受け取るべきだろう.JTがこのように自ら反社会的企業であることを公言するのであれば,企業の存続自体が問われるべきだろうと思うのは私だけだろうか.厚生労働省も手ぬるいことをやっていないで,喫煙が健康保険制度に与えた損害の賠償をJTに求めるべきだろう.
 
憂うつな年中行事
食べる気にもなれない『義理チョコ』はいい加減に止めて欲しいのは私だけ?

写真の天気は良いですが,現在の札幌地方は予報通り大荒れです.
http://www.hbc.jp/live-cam/odori.html
『 江別市立病院:常勤医退職問題 あり方検討委が答申、医師の負担軽減を

 内科医の大量退職に伴う患者減少で江別市立病院の経営が悪化している問題で、同病院あり方検討委員会(加藤紘之委員長ら6人)は答申を小川公人市長に提出した。緊急の対応策として内科常勤医の確保を図り、専門性の高い医療を提供する地域のセンター病院としての役割・機能を果たすべきだと提言した。答申を受け、小川市長は9日記者会見し、「着実に実行していきたい」と再建へ決意を示した。

 同病院は06年3月に12人いた内科常勤医が10月に不在となり、06年度の決算は14億2000万円の赤字となる見込みだ。今年1月からは内科常勤医を2人確保しているが、患者数の回復には至っていない。

 答申には(1)救急医療に関する勤務医の負担軽減(2)カルテの電算化などに対応する医療事務補助員の採用(3)医療紛争への病院の組織的対応(4)院内保育所設置(5)経験を積んだ熟練医師の半日勤務などでの活用----などを盛り込み、一人一人の医師の負担軽減や女性医師・看護師を採用しやすい環境作りを提言した。さらに、院長に予算、人事権を与え、強力なリーダーシップで医師・看護師の確保と採算性を考慮した経営改善に取り組むべきだとした。小川市長は昨年11月、学識経験者6人に同病院の役割を諮問し、これまで5回、委員会を開いてきた。』

 赤字病院が厚生労働省の言いなりにカルテを電算化すればそれだけでさらに経営が傾くと思うのだが,江別市立病院の場合は今後さらに増大するであろう赤字をいつまで市が支える事ができるのか気になるところだ.

 それ以上に気になったのは,「救急医療に関する勤務医の負担軽減」という項目だが,これをどのように実現するのかは非常に興味があるところだ.最近聞いた話だと公的病院が夜間に当直医以外の呼び出しを避けるために救急患者の搬入を断ることがあるらしい.それも院長が勤務医の負担を軽減して病院からいなくなるのを防ぐためだとしたらどうだろうか.

 救急隊から搬入要請があっても当直医が専門医に連絡がつかないことなどを理由に搬入を断れば,場合によっては他市の公的病院まで搬送しなければならなくなる.まあ,こんなことは米国ではよくある事らしいが,我が国もついにそのレベルに達したようだ.米国型医療を目指す厚生労働省のねらいは達成されつつあるが,一方でこれからは交通事故による多発外傷や心筋梗塞あるいは出血型脳卒中になったら搬送中に死亡する確率も高くなるのではないだろうか.

 仰天発言連続の厚生労働大臣も,産婦人科医と同様に救急患者を診る医師がいなくなるのは救急患者が減っているからとはいくらなんでも言えないだろうが,なぜ,医師がやる気を失っていくのかについてはもっとよく考えてもらわないとわが国の医療崩壊は救急医療でも確実に進行すると心配しているは私だけだろうか.
  
雪祭り
20年ぶりに夜の大通り会場を歩いてみた.
自衛隊に造ってもらった大雪像は相変わらず見事だった.
凍った通路で観光客が滑らないように通路の管理はとても良くされているようだった.
しかし,その通路が狭くなるほどに立ち並ぶ屋台の飲食店などには感心できないのは私だけだろうか.
『 北海道新聞社員が地下鉄止める 「会社員」として報道

 札幌市白石区の市営地下鉄東西線南郷13丁目駅で1月17日夜、酒に酔って線路内で寝ていて列車と接触し、軽傷を負った男性が北海道新聞社の社員だったことがわかった。この事故の影響で列車12本が運休した。同社は、事故直後に社員であることを確認したが公表せず、翌日の自社の紙面でも「会社員」と報道していた。

 同社経営企画室によると、男性は財務管理室の次長。「事故の態様を見て公表の必要はないと判断した」としている。

 市交通局によると、直前に駅員が非常停止ボタンを押したが、列車はホームにさしかかっており止まり切れなかった。この影響で、同線の一部が約1時間にわたって運休、2900人に影響が出た。』

 北海道の地方医療崩壊の社説もピントはずれだったような気がしたが,それはまあわからないのだから許すとしても,身内に甘いとどうなるか道警の裏金事件からは学ばなかったのだろうか.「事故の態様を見て公表の必要はないと判断した」というコメントには開いた口がふさがらない.

 中学生が社会勉強のために読むには安心して読める無難な記事が多かったような記憶しかないが,情報の遅さとインパクトのなさが面白くなくて私は随分以前からほとんど読まなくなっている.インターネットでこんなことがニュースにされているようでは道民の目と耳として長い歴史のある北海道新聞社も地方医療と同じくらいのスピードで崩壊していくのではないだろうか.

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