『--肩凝りと診断後意識不明に くも膜下出血で倒れる --
 長野県臼田町の佐久総合病院(夏川周介(なつかわ・しゅうすけ)院長)で頭痛の原因を肩凝りと診断された佐久市の女性(55)が、診察後にくも膜下出血で倒れ、意識不明の重体になっていることが18日、分かった。女性の関係者は、診察した医師のミスとして業務上過失傷害容疑での告訴状を臼田署に出した。
 佐久総合病院によると、女性は10月23日午後2時ごろ、後頭部に頭痛がしたため同病院で診察を受けた。研修医は、女性の症状から肩凝りが原因と診断、鎮痛剤を処方した。女性は自宅に戻った後、倒れて意識不明となった。同日午後6時すぎに救急車で同病院に運ばれ、コンピューター断層撮影装置(CT)で検査した結果、くも膜下出血だったことが判明した。女性は現在も重体のまま同病院に入院中。夏川院長は「家族には病院として誠心誠意対応したい」と話している。』

この記事では研修医がくも膜下出血を誤診したという書き方だがそれにはちょっと問題がある.まず,後頭部痛で受診したと言うことだが,初診時に頭部CTを撮っていたかいたかどうかがまず問題になる.撮っていてくも膜下出血があったのなら見逃したことになるが専門医が見てもわからないほどの切迫破裂による出血や,まだほとんど出血していない解離性動脈瘤なんてこともある.こうなると研修医には診断できなくても不思議はない.

痛みというものには個人差があり,私の経験でも脳内出血を伴う動脈瘤破裂のくも膜下出血でも外来に歩いてやって来た人もいるくらいだから痛みの程度ではわからないだろう.むしろ,それまで痛くなかったものが突然に痛み出すのがくも膜下出血の特徴でそれが唯一の診断の手がかりだと私は思っているくらいである.

くも膜下出血の診断は誤診すれば極めて重大な結果となるので注意を要するものなのである.だが,もっとも大きな問題点は研修医制度で脳外科が必須でないことであろう.現在,日本では脳卒中による死因は癌,心筋梗塞に次ぐものであり,その中でも脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血による死亡率は高齢化によりわずかに増加傾向とはいえ減少はしていないのである.

こんなことを言うと明日にでも外来が増えるかも知れないが,筋緊張性頭痛や大後頭神経痛とくも膜下出血による頭痛の鑑別診断を研修医が行って誤診したら業務上過失傷害容疑にされるのでは頭痛の診断は脳外科専門医でもなければ責任を持てないだろうと思われる.たとえ神経内科医でも頭部MRAが読めて解離性動脈瘤の経験でもなければ脳外科専門医に紹介したいところだろう.

ところで,研修医には必ず指導医がいるはずであるが,このような場合には指導医にも責任が問われるのであろうか.こんなことで責任が問われるとしたら,やっぱり指導医なんてやってられないだろう.まあ,まれなケースではあろうが臨床研修医制度にはこのような潜在的な問題点はまだまだあると思われる.
『--救急車とトラックが衝突 搬送中の2カ月男児が死亡--
16日午後2時45分ごろ、北海道標茶町阿歴内原野の国道272号で、生後2カ月の男児を搬送していた中標津消防署の救急車が、対向車線をはみ出したトラックと正面衝突した。男児は頭を強く打ち、死亡した。男児は中標津町東39条北4丁目、会社員上田高男(うえだ・たかお)さん(36)の二男、輝月(きら)ちゃん。呼吸器不全で同町内の病院に入院していたが、肺炎を起こして容体が急変したため、高男さんと釧路市の病院に向かう途中だった。救急車に乗っていた看護師(38)が重傷、高男さんや救急隊員ら4人と、トラックの運転手奥山健二(おくやま・けんじ)さん(27)=中標津町=の計5人が軽傷。
 弟子屈署などによると、事故当時は雨で路面がぬれていた。トラックは、前を走っていた車が救急車のサイレンを聞いて急に減速したため、よけようとしたらしい。』

トラックなら前方から走ってくる救急車が見えていたのではないだろうか?車間距離をちゃんととっていたのかなどの問題もあるだろうし,本当によけようとしたとしても対向車線に出たのは明らかな過失だろう.

それにしても最近は最低限の運転マナーも知らないドライバーが多すぎる.安全確認はもとより救急車両の優先まで知らないのにはあきれるばかりだ.私も時々は救急車に乗ることがあるが,昔は救急車がきたらすぐに停車してかえって救急車の通行の邪魔になるのが目立ったものだ.

そのため本来は徐行しながら救急車の通行を妨げない場所に移動するように教えられているはずなのだが,停車しないでというのを勝手に解釈しているのか,いつまでも走行していたり救急車が交差点で安全確認のため停車したのにその前を横断して右折していくものまで現れる始末である.

こんなことを日頃から見ているから,冒頭のニュースを読んで,救急車が対向車線にいるのを知りながら追い越ししようと考えたのではないか,と思ってしまうのは私だけではないだろう.
『今回の保険診療との併用を認める保険外診療の対象拡大で、これまで併用を望む患者の声が特に強かった抗がん剤など国内未承認薬について、厚生労働省は来月にも「未承認薬使用問題検討会議(仮称)」を設置。併用が可能な「治験」を認めるかどうか、申請後3カ月以内に結論を出すなど手続きを大幅にスピードアップする。 これまでは治験で安全性が確認されても、保険が利用できるようになるまでの間は併用が禁止されてきたのを改め、保険適用まで切れ目なく併用を認める。乳がん手術で失った乳房再建手術も同様の扱いとする。胃がんとの関連が指摘されているピロリ菌の除去やがん細胞が出すタンパク質(腫瘍(しゅよう)マーカー)検査は、保険で定められた回数を超えて行うと、超えた分の実費だけでなく、本来保険の対象となる入院費なども全額自己負担になっていたが、今回併用が認められ、入院費に保険が適用される。
 併用を認める医療を、保険適用のための評価を行う「保険導入検討医療」と、保険適用を前提としない「患者選択同意医療」に再編成する。それぞれ、肝臓移植などこれまでの「高度先進医療」と、差額ベッドなど従来の「選定療養」が中心となる。』

「患者は医者を選べない」という言い方があるが,正確には「患者は医者を選ぶ知識を持っていない」もしくは「患者は病気の治療を選ぶ知識がない」ということだろうか.今回の改革では少なくとも患者のニーズに合わせて医療現場での治療の選択肢が増えたことは評価したい.

混合診療と呼ばずとも今後は自費での治療の部分が拡大していくだろう.結果として医師の説明を聞いて自分で治療を選ぶ機会が増えると思われる.しかし,治療について説明する際にはとかくメリットばかりが強調されがちであるが,これを機会に治療のデメリットについて患者側にもっと理解を深めてもらう必要があるだろう.

患者側も自分に都合のいいことばかり聞き憶えることなく,治療のデメリットについてもっと正しく理解していれば,たとえ副作用などが起きたとしても自分の選択に責任を持った態度をとるべきだろう.そうすれば医療事故だの医療過誤だのと騒ぐ必要はないだろう.

そもそも医師にできることは治療の選択の機会を与えることと病気の回復の手助けをすることだけである.病気が良くなるのも悪くなるのも結局は自分の意志と体次第ということを忘れている人がほとんどなので最近の外来は特にストレスが溜まるのだ.
『--心臓手術後3人死亡、同じ医師が執刀 東京医大--
 東京医科大学病院(東京都新宿区)の第二外科で、02年10月から昨春にかけ、男性の心臓外科医(45)が執刀した心臓弁膜症の手術で、患者3人が術後に相次いで死亡していたことがわかった。遺族は東京簡裁に証拠保全を請求。同簡裁は10日、3人のカルテなどの保全手続きをした。今年1月にもこの外科医が助手を務めた手術で男性患者が死亡していた。同病院は事実関係の調査を始めた。
 遺族側の説明によると、最初の死亡事例は東京都杉並区の女性(71)。02年10月、心臓弁の閉鎖不全と急性心不全のため、この外科医の執刀で手術を受けた。しかし、術後に心臓から出血し、再手術を数回受けたが03年1月下旬に死亡した。03年1月には、同区の女性(81)が手術後、意識が戻らず、12日後に死亡した。同年3月には、心臓弁の閉鎖不全や狭心症などを起こした東京都中野区の女性(68)が、この外科医の執刀で、弁置換手術と冠動脈バイパス手術を同時に受けた。だが、術後に出血が止まらず、再手術を繰り返した後、4月中旬に死亡した。
 男性医師は3人の遺族らに対し、「合併症などが原因」などと説明したという。病院などによると、この外科医は同大の出身。心臓血管外科専門医や日本循環器学会専門医などの資格を持ち、現在は第二外科で講師を務めている。これまで約1000件の心臓手術にかかわり、うち約270件で執刀医を務めた。弁膜症の手術も約190件に加わり、21件で執刀した。同病院広報室は「現段階では医療過誤であったという認識には至っていないが、このような事態になったことは遺憾に思う。第三者を含む調査委員会を持ち、事実関係の究明に当たりたい」としている。

 弁膜症手術は広く行われている。特に人工弁に置き換える弁置換手術の数は多く、専門家によると成功率は90%を超す。一方、狭くなった部分を広げたり、広い部分を縫い縮めたりする弁形成術はある程度の熟練が必要という。ただし、弁置換でも、心臓の筋肉が弱った高齢者の場合には、出血して再手術が必要になるケースもあるという。』

弁膜症の手術21件の執刀で手術が直接の原因で術後1週間以内に3人死亡なら問題だろう.記事をよく読むと再手術を繰り返したのが2例あり,最初の手術から死亡するまでの期間が数週間あるのでこれでは直接の原因かどうかはわからない.手術後に意識が戻らず12日後に死亡したというのはやはり手術が原因だろうか.

まあ,いずれにしても弁置換手術の成功率は90%を超すそうだから21例で3例死亡させるようでは外科医としては恥ずべき成績だろう.だが,成功率90%は果たして安全なのだろうか?実は私には安全なような気がまったくしないのである.成功率で言うなら私が安全と考えるのは成功率99.5%以上というところだろう.

現実には脳外科の手術で成功率99.5%を超える手術は存在しないだろう.脳血管撮影という検査でさえも1%のリスクがあると言われているくらいである.手術に比べてリスクが少ないとマスコミで騒がれた脳血管内手術がその後に医療事故として再びマスコミのねたとなったのも記憶に新しい.

そもそも手術に成功率を考える意味はあるのだろうか.統計学的に考えるなら,病気の程度,患者の体力,術者の腕,スタッフの質,病院の設備など様々な要因で成り立つ手術の成功確率はもともと各患者で異なっているのだからそれを病名や手術名が同じものをひとつにして論じる意味がどこにあるのだろうか.

手術を治療としてみた場合に統計学的に意味があるのは患者の年齢における平均余命に対して,手術をして期待できる延命期間がどれほどあるのかということだけだろう.それも遷延性意識障害になって延命というのでは意味がない.目の前に患者がいるから手術をするだけというのでは外科医として真摯な態度ではないだろう.

患者の家族にすれば大学病院で手術することに期待もあったのだろうが,手術は外科医がするものである以上,施設の手術数や病院の規模は手術の結果とは関係ないのだ.手術の成功率だって米国みたいにリスクの高い患者の手術はしないことにすれば上げることは簡単だろう.

問題は手術の数でもなく成功率でもなく病気に対して延命効果があるかどうかだけだと思うのだが,これを統計学的に明らかにするいい方法を私は知らない.
『--混合診療:未承認薬を容認、抗がん剤など対象に 厚労省案--
 政府の規制改革・民間開放推進会議(議長・宮内義彦オリックス会長)が全面解禁を求めている混合診療について、厚生労働省の対案が7日、明らかになった。国内未承認の抗がん剤などについて、薬学関係の有識者ら外部の専門家が安全・有効性を認めた場合は混合診療の対象として認めるなど、同診療の対象を拡大する内容。規制改革に関する閣僚折衝などで近く提示される。
 混合診療は公的な医療保険が適用になる保険診療と保険外診療の併用を認めるもの。原則として禁止され、保険が利かない治療を一部でも受けると保険適用される診療分を含め全額自己負担になる。現在は特定療養費制度で、高度先進医療(97技術)▽選定療養(差額ベッドなど13項目)−−の2分野のみ認めている。ただ、高度先進医療は大学病院など125医療機関しか申請できないなど制約も少なくない。
 厚労省は今回、特定療養費制度の名称変更も含めた全面改組を検討。海外で承認されながら国内未承認の医薬品は速やかに治験に入れるよう運用面を改め、新設する外部の専門家による検討会が認めた薬品については、厚労相の諮問機関・中央社会保険医療協議会の了承を経て混合診療を可能とする。
 未承認薬は現在、治験段階と承認後から保険適用までの期間は混合診療を認めているが、承認審査中に使うと、保険が適用される他の治療分まで患者の全額自己負担となる。厚労省の対案では、全額負担は治験段階から保険適用まで、使用した薬代だけで済む。日本は医薬品の承認手続きが煩雑で、審査に1年近くかかることが多く、有効と分かっていても負担が重くなるため、患者が使用を断念するケースもあるという。
 厚労省は未承認薬の他に混合診療を認める新分野として「必ずしも高度でない医療」も新設し、対象病院も広げる。規制改革会議は未承認薬をはじめ乳がん手術に伴う乳房の再建など15例を解禁事例に挙げているが、同省は15例すべてに対応。この中の、外国人患者のための通訳は、医療行為と切り離し、これを利用しても保険が利く診療分は自己負担にならないようにする。
 規制改革会議は「一定水準以上の病院での混合診療全面解禁」を求める姿勢を変えていないが、今回の対案を軸に調整が進む見通しだ。』

「一定水準以上の病院での混合診療全面解禁」というところに疑問がある.なにをもって一定水準というのかが怪しいのだ.治療に必要な設備は最低限の条件だろうが,病院の規模や医者の数で決めることにはあまり意味はないはずである.ましてや大学病院だからなんていうのは馬鹿げている.外科の手術と同じでいい医者が1人いればいいわけで病院の症例数なんかは関係ないだろう.

薬学関係の有識者ら外部の専門家が安全・有効性を認めた場合は混合診療の対象として認めるなら副作用に関しては事実上承認されたも同じであるはずなのに,これをわざわざ混合診療にするのもおかしな話だ.安全・有効性が確認されたなら保険適用にすればいいだけだろう.

要するに,国民健康保険料の高騰を防ぎたいがために厚生労働省が意図的に承認を遅らせてきた治療を混合診療にするだけの話に見えるのだ.だが,混合診療にすれば治療のメリットを受けられるのは大都市に居住するお金のある人たちだけになるのではないだろうか?

政府の規制改革・民間開放推進会議(議長・宮内義彦オリックス会長)が全面解禁を求めているとは言っても,お金があれば助けてもらえるような気がする「一定水準以上の病院」はそうたくさんはいらないということだろう.
『--生後18日の新生児に脳死判定 神奈川の病院で昨秋--
 神奈川県内の病院で昨年9月、生後18日の新生児の男児が「脳死状態」と診断され、病院側と両親が話し合ったうえ人工呼吸器を外していたことが分かった。国内では生後3カ月未満の新生児については脳死判定基準が確立していない。主治医は「国が生後3カ月以上を対象に定めた基準に準じて判断した」と話している。
 病院によると、新生児は昨年8月、県内の別の病院で仮死状態で生まれ、救急搬送されてきた。生後6日目に脳死診断を実施し、深昏睡(こんすい)や瞳孔散大、脳幹反射消失を認め、「脳死状態」と診断。病院と両親は誕生の日から呼吸器を外す当日まで計7回、看護師やソーシャルワーカーも同席の上で約1時間ずつ話し合い、両親の同意の下で呼吸器を外し赤ちゃんは心停止したという。
 主治医によると、この病院では3カ月未満の新生児を「脳死」と診断したのは初めてだが、国内のほかの病院では過去に数例あるという。 国の脳死判定基準は、15歳以上が対象のドナー(臓器提供者)となることを前提とした脳死判定に用いられる。また、臓器移植を想定したものではないものの、将来15歳未満がドナーとなる可能性や医療現場からの要望に応える形で、生後3カ月以上を対象とした「小児における脳死判定基準」を旧厚生省の研究班が00年に示している。今回はこのどちらにも該当しない。主治医は「両親に重症度を理解してもらう一つの判断材料として『脳死判定』をした。赤ちゃんのターミナルケアをめぐる具体的な方策は各現場で模索している状態」と話している。』

 産婦人科医の出生前診断は社会的認知がないままの医師の暴走行為であるが,今度は新生児の脳死判定とはいったいどういうことなのだろうか?私には理解できないし,この新生児を小児に準じて脳死判定したとしてもその科学的根拠をだれが示せるというのであろうか.

 私は脳死判定はそもそもが臓器移植が目的のものだと理解しているので,こういったケースでの脳死判定の必要性はないと思うのである.脳死状態であれば1週間もすれば患者は死亡するのであるから,わざわざそれを早める必要はどこにあるのだろうか.

 家族の死を受け入れるための時間と考えれば1週間は決して長い時間ではないはずである.むしろ脳死判定を急ぐ理由としては,そのまま生存し遷延性意識障害のような状態になった時にどうするのかを家族や主治医が決められないことが問題のような気がするのだ.呼吸器のついた遷延性意識障害の新生児が生存するとみんなが不幸になるにもかかわらずどうすることも出来ないのが現在の医療現場というわけだ.

こう考えると回復の見込みのない新生児の脳死判定の必要性も少しは理解できるのかも知れない.
『 強いストレスで老化早まる 米大学が人の細胞で発表
 強い心理的なストレスは細胞の老化を早める可能性が高いと、米カリフォルニア大サンフランシスコ校などのチームが30日までに発表した。研究論文が近く、米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載される。ストレスがさまざまな病気の引き金になることは指摘されていたが、具体的なメカニズムは不明で、同チームは細胞の老化が病気を引き起こす一因とみている。
 チームは、病気の子供を介護している母親39人と、健康な子供を持つ母親19人について、免疫にかかわる白血球細胞の核の中にある「テロメア」という部分の長さを調べた。テロメアは細胞が分裂して年を経る度に短くなるため、細胞の老化の一つの目安になる。介護している母親では、介護期間が長くなるほどテロメアが短かった。また母親全体の中で、調査に対し特に強いストレスを感じていると答えたグループ(14人)は、特に小さいグループ(14人)と比べ、年数に換算して9-17年分もテロメアが短いという結果だった。』

これが本当なら介護者のストレスを減らすのが最善なのだろうが,地方自治体にまかされる介護保険の先行きは暗いものになると思われる.

身体障害者福祉や精神障害者福祉も地方自治体へ移行するせいなのだろうか,最近は社会保険事務所でいままで申請をみとめていなかったような患者の家族にしきりに申請をすすめているらしい.おかげで言い訳が面倒な申請書類を何通もかかされてストレスがたまりそうだが,それでは自分の寿命が縮むのだろう.

それでなくとも馬鹿げた医療制度改革やくだらない監査に付き合わされてストレスがたまるのだから,うまくストレスを発散することを考えなければ老化が一気に加速してしまいそうだ.
『--「犬も運ばんか」と救急隊員殴る 男2人を逮捕 北九州 --

 福岡県警小倉南署は1日、バイクにはねられた飼い犬を救急車で運ばせようとして救急隊員らに暴行したなどとして、北九州市小倉南区の建築板金業の男(44)と建築板金工(54)の2人を公務執行妨害の疑いで逮捕した。 調べでは、10月17日午後9時ごろ、同区新道寺の国道322号で、区内の飲食店員のバイクが板金業の男が飼っていた柴犬系の雑種犬をはねた。
 転倒して肩の骨を折った店員を搬送するため、市消防局小倉南消防署三谷出張所の救急車が来たところ、2人が「人ばかり診らんで犬も診らんか」と怒鳴りながら救急隊員の肩を突くなどした。別の隊員にも「犬も病院に運ばんか」と怒鳴りながら体当たりし、頭を殴るなどした疑い。隊員2人は頭などに軽いけがをしたという。 犬は即死状態だったが、隊員は店員と一緒に救急車で病院に搬送した。2容疑者は病院まで車で追いかけ、病院でも職員らに「犬も診らんか」と怒鳴り続けたという。 板金業の男は容疑を認め「かわいがっていた犬が倒れていて興奮していた」と話している。事故当時、犬は放し飼いにされていたという。 』

まったく馬鹿げた話だが,救急車をタクシー代わりにしている患者やその家族が多いのにはあきれる.このニュースでは犬もいっしょに運んだそうだが,それは問題にならないのだろうか.動物を人間と同じに扱って人畜共通感染症にかかっているだけなら世話はないが,そのうち動物病院に運べという者が現れるかもしれない.

あまりに救急車の出動が多いので消防隊員の消防と救急の兼務をみとめたというニュースもあったが,いっそのこと救急車に料金メーターを付けたり,救急搬送を民間業者にやらせてはどうだろうか.急病でも無いのに早朝から救急搬入されて外来での待ち時間なしで受診した患者を何人も知っている医者ならわかるだろう.
『-中医協を厚労省の権限外へ 規制改革会議が基本方針-
 政府の規制改革・民間開放推進会議(議長・宮内義彦オリックス会長)は22日、汚職事件の舞台となった中央社会保険医療協議会(中医協)の抜本改革案などを柱にした答申の基本方針をまとめた。来月答申する。
 中医協について、厚生労働省の権限が及ばないように改め、機能と組織を抜本的に見直す必要があると強調。中医協の機能を診療報酬の点数や薬価などの決定だけに限り、保険適用などの決定は別の組織で手掛けるべきだと指摘した。
 また、中医協は医師などの診療側、健康保険組合といった支払い側、有識者による公益委員の三者の計20人で構成されているが、公益委員数を現在の4人から過半数に増やして公平性を確保するように求めた。
 医薬品の販売では、一定の能力が認められる薬局や薬剤師については、医師の処方せんによらずに自らの裁量で処方できるようにするべきだと指摘した。
 規制改革会議は、診療報酬など官が中心となった価格決定の仕組みについて透明化を促す必要があると判断、具体的な改革案を盛り込むことにした。中医協をめぐっては、経済財政諮問会議などでも改革の議論が進んでいる。』

診療報酬の決定に市場の原理を導入し,混合診療により医療を商品化し,内服薬の一部を医師の関与なしに流通させる.ということは,オリックスのような金融・保険を商品とする企業にとっては医療そのものを自らの商品にできるまたとないチャンスである.これが医療の民営化ということなのだろう.

もっとも厚生労働省にまかせても医療業界は衰退するばかりだろうからこれでいいのかもしれない.米国に比べれば格安といえる診療報酬が上がるのならばたとえ混合診療により自己負担が増えたとしてもいい話なのだが,金融会社が医療に直接関与してひと儲けしようなどと考えているのだったらとんでもない話である.
『診療報酬改定などを決める中央社会保険医療協議会(中医協)は12日、保険診療と自由診療を併用する「混合診療」について医療関係者ら2人から公開ヒアリングを行った。2人とも政府の規制改革・民間開放推進会議が求めている全面解禁に反対した。
 日本産科婦人科学会など64の学会でつくる外科系学会社会保険委員連合の出月康夫(いでづき・やすお)会長は「解禁は患者側の自己負担が増えるなど不利になる」と強調。規制改革会議が容認を求めている「有効性が認められる抗がん剤など医薬品の保険適用外症例への使用」に対しては「診療報酬の中に入れるべきで的外れだ」とはねつけた。
 混合診療は、一連の診療過程で一部でも自由診療を組み合わせると全部が保険外診療となり、治療費が全額自己負担となることが問題となっているが、国際医療福祉大学の開原成允(かいはら・しげこと)副学長は「混合診療の定義・認識があいまいなのが問題。もっと明確にできれば今の制度でもやっていける」と述べた。
 混合診療をめぐっては規制改革会議が全面解禁を強く主張。小泉首相が年内に結論を出すよう指示しており、厚生労働省はヒアリングなどを来週以降も重ね、今後の対応策を検討する。』

最近の政府,厚生労働省の目的は私からみるとたった一つである.「国民健康保険の破綻を防ぐために個人負担を増やすこと」これに尽きるのである.介護保険法なるものもこう考えるとわかりやすい.混合診療を解禁することにより自己負担,自己責任での医療になればおのずと保険診療は減るとでも考えているのだろう.
『厚生労働省仙台検疫所の仙台空港支所(宮城県名取市)の男性検疫官(35)が、航空会社に勤める20代の女性職員に携帯電話の番号を教えるよう迫り、拒まれると「おれの地位があれば、お前を辞めさせることも可能だ」と脅していたことが13日、分かった。同検疫所は「不適切な行為」として、検疫官を戒告処分にした。
 同検疫所によると、検疫官は今春「業務上必要なので連絡先を知りたい」と女性職員に複数回、携帯電話番号を聞き、拒まれると脅迫。女性職員の上司にも「検疫業務に非協力的で困る」とうその報告をし、それがきっかけで脅迫行為が発覚した。
 女性職員は空港に勤務し、国際線の出入国審査などで検疫官と顔を合わせる機会が多かったという。
 検疫官は8月に検疫業務を外され、現在は総務課付き。内部調査に「検疫業務への協力を求めただけで、脅迫などしていない」と話しているという。同検疫所総務課は「検疫官の主張は根拠のない思い込み。不適切な行為でパワーハラスメント(地位を利用したいやがらせ)ととられても仕方がない」としている。』

あきれた男だがこれがまた厚生労働省の職員というところに嫌気がさした.地位を利用するような人間は公務員には最も不適当であるし,この女性を脅したのが事実なら刑事事件ではないのだろうか.これを内部調査だけで済ませていいのだろうか.身内には甘いといわれてもしかたないだろう.ストーカー行為につながる可能性もあるのだから警察で取り調べるのが妥当ではないだろうか.

ビタミンEの過剰摂取

2004年11月12日
『老化の原因になる体内の活性酸素を消す働きがあるビタミンEをサプリメントなどで大量に摂取すると、健康に有害な恐れがあるとする研究を米ジョンズホプキンズ大などがまとめ、10日、米心臓学会で発表した。欧米と中国で主に高齢者を対象に行われた、計19の臨床試験(患者総数約13万6000人)を分析した。1日に267ミリグラム(400国際単位)以上を摂取すると、最長約8年の追跡期間中の死亡率が、偽薬をのんだ人に比べ約10%高かった。摂取量がその半分以下だと、逆にプラスの効果も推定された。
死亡率が高くなる原因は不明。試験参加者の大半は持病があったため、研究者らはさらに研究が必要と認めているが「無害と分かるまで大量摂取は控えた方がいい」としている。
 日本人の1日のビタミンE所要量は成人男性10ミリグラム、同女性8ミリグラムで、摂取上限は600ミリグラム。専門家によると食事から取れるのは10ミリグラム程度だが、サプリメントは1錠で267ミリグラム以上を含む製品もあるという。』

脳外科医としてはサプリメントもさることながら外来で投与しているユベラNというビタミンE製剤が気になった.

私自身はその効果をあまり信じてはいないが,効能には1.脂質代謝改善作用,2.微小循環系賦活作用,3.血管強化作用,4.血小板凝集抑制作用などがあり昔から脳外科の外来でもよく処方されているものだ.だが,エーザイのユベラNソフトカプセルは1カプセル200mg製剤で,通常成人には1日3カプセルを3回に分けて経口投与するから1日あたり600mgとなる.

これが本当に死亡率を高めるのならやはり中止しなければならないのだろうが,さてどうしたものだろうか.目に見えて副作用があれば患者さんもすぐに休薬に同意するのであるが,そうでもないと長年服用した薬をやめるのには相当な抵抗があるものらしい.

話は変わるが最近では出血性の合併症のリスクのためにラクナ梗塞の患者さんには抗血小板薬(アスピリン,パナルジンなど)は投与しないのである.昔はよく処方されていたのでこれを中止しようとすると,「前の先生はこの薬だけは死ぬまで飲むんだよ」と言っていたとか,「血をさらさらにして脳梗塞を予防する薬はやめたくない」とか言ってやめようとしない患者さんに遭遇して説明に窮することが多い.

あまりに抵抗されるとさすがに処方を継続することにしないと外来が滞ることになり結局処方してしまうのであるが,困ったものだ.終末動脈の動脈硬化は血管が閉塞すればラクナ梗塞,破綻して出血すれば脳内出血となり致死率は出血の方が高いから生命予後を考えるならやはり抗血小板薬の適応はないだろう.

内科開業医でも脳梗塞というと安易に抗血小板薬が処方されているのがみられるが閉塞性動脈疾患でもない限りそのような処方は厳に慎むのがEBMに基づく治療だと思うのだがどうだろうか.
『横浜市立脳血管医療センター(磯子区)で昨年、くも膜下出血で搬送された米国籍の50代の男性患者が手術2日後に死亡していたことが8日、分かった。センターによると、男性は昨年8月上旬、足の付け根からカテーテルを入れ、脳内の動脈瘤(りゅう)を治療する手術中に動脈瘤が破裂、脳死状態となり死亡した。センターは「当時の状況を担当医から聴くがミスはなかったと考えている」としている。
 同センターでは昨年7月に50代の女性患者が、脳の内視鏡手術直後に一時危篤になり、全身まひの後遺障害が生じた。センターは当初、医療ミスを否定したが、外部の専門医らで構成する調査委員会が今年9月、医療過誤と認定している。』

こういうニュースの書き方だと同様にミスがあったかのような印象を読者に与えかねないだろう.もっともそれが報道機関の意図するところなのかも知れないが,脳の内視鏡手術と血管内手術の間にはなんの関係もないのだから,この記事の書き方は意図的なものと感じられる.

そもそも医療行為というものに絶対安全というものはない.破裂動脈瘤だろうが未破裂動脈瘤だろうが動脈瘤は破れる可能性を持っている.だからこそ治療の対象となるのである.可能性がある以上あとは確率の問題であるから,破れたからミスで死亡したら刑事責任を追求だとかいうのなら手術などできないだろう.

血管内手術による塞栓術と開頭術によるクリッピング術のどちらが安全かという問題は総数と予後で見た場合には確率的に血管内手術に分がありそうであるが,よりクリティカルな部分ではクリッピング術のほうが安全マージンが高い症例もあると思われるので,症例ごとにどちらを採るのか決定するには勘と経験がものをいうであろう.

最近の傾向として医療を結果のみでみる患者や家族が多いのが気になるのであるが,そういうことを繰り返していくと治療のチャンスそのものを失っていくだけだと思うことが多い.よい薬にも副作用があるように,いい手術にも危険は必ず伴うということを理解してもらわなけらばいい医者も育たないわけである.
『北海道富良野市の民間病院に勤務していた小児科の男性医師=当時(31)=が突然死したのは過剰な時間外労働などが原因として、医師の家族が5日までに、旭川労働基準監督署に労災申請した。
 代理人の高崎暢(たかさき・とおる)弁護士によると、医師は昨年10月6日未明、自宅で突然意識不明となり、約3時間後に搬送された富良野市にある勤務先の病院で死亡した。この病院に赴任して5日目だった。 前任の道内の市立病院に勤務していたときは、約8時間の通常勤務に加え、当直や呼び出しなどで、月に2、3日しか休んでおらず、死亡前の1年間で少なくとも月100時間以上の時間外労働が続いていたという。
 高崎弁護士は「時間外労働に加え、転勤で人間関係のストレスなどが急速に高まっていた」と申請の理由を話している。』

脳外科医になりたての頃はそもそも労働時間の規定があることなど知らなかった.大学での研修というか雑用ははほとんどエンドレスだったし,先輩医師の言うことは絶対であった.だが,医師もただの職業という最近の研修医の考えを知るにつれて時間外もはたらくことに使命感を持つ必要はないことに気がついた.

良質な医療を提供するには医師にも休暇は必要である.まじめに医療に関わるほどに医師の身体的,精神的ストレスはたまるものである.適当なところで気分転換をしなければそのツケは自分だけでなく患者にもまわるということに気がついたほうがいい.

地方で自分しか医師がいないとかいうのでなければ緊急性の無い患者の夜間診療は勇気を持って断るのもいいだろう.一人しか患者がいないのならともかくも当直医は本来は入院患者のためにいるのである.自称急患は夜間急病センターにいくのが本当だろう.家から近いからとか仕事が遅く終わったからとか明日も日中は仕事があるからなどという理由でやってくる患者の相手をまともにやる必要はないだろう.

急患ならせめて急病センターかいつもかかっている開業医の紹介状でも持って救急車でやってきてほしいものだ.夜中に放射線技師を呼んで日中と同じ検査をすべてやったあげくに,異常がないとわかったら満足して帰っていくなんてのは馬鹿げている.

病院の経営を考えて患者や家族の機嫌をとるような情けない医師も最近多くなったようだが,何をそんなに怖がっているのだろうか.自分から病院をコンビニ化するのはもうやめていいんではないだろうか.コンビニの店員ならそもそも時間外に働く必要もないだろう.

当直医に急患を担当させるのもやめるべきだろう.当直も週に何回もあればそれだけでかなり疲れるものだ.厚生労働省ももっとしっかり時間外労働の規制をするべきだろう.それが患者の安全にもつながるのだから.夜間の救急患者の診療は当直医のほかに救急担当医を用意できる病院のみに認可するのが本当だろうと思うのだがどうだろうか.
『--生徒の血液使い理科授業 和歌山・橋本の男性教諭--
 和歌山県橋本市の市立中学校の男性教諭(41)が2年生の理科の授業で、生徒24人に針で指を刺させて採取した血液を実験に使っていたことが2日、分かった。保護者の抗議を受けた市教育委員会は「生身の体を傷つけてまで実験をすることはなく、配慮が足りなかった。今後、このようなことがないよう徹底したい」としている。市教委によると、教諭は10月下旬、「血液とその循環」をテーマにした授業を実施し、2年の3学級計104人のうち98人が受講。熱消毒した針と消毒液を生徒に渡し、針で指を刺させて採取した血液をガラス板に塗り顕微鏡で観察させた。
 4、5人のグループの中から話し合いやじゃんけんなどで針を刺す生徒を選ばせたという。針を刺し出血する様子を見てショックを受け泣きだす生徒もおり、保護者から学校に抗議があった。
教諭はこの中学に赴任し2年目。「血液の様子を具体的に目にしてほしかったが、方法を考えるべきだった」と話しているという。』

この教諭の間違いは全員にやらせなかったことだろう.針を刺せば痛いし血も出ることを身をもって知ることは重要だし,止血がどのように行われるかを知ることも救命には重要なことである.なぜ学校でこんな基本的なことを教えてはいけないのだろうか?
生命の尊さをちゃんと教えていないから次のようなことも起こるのだろう.

『19歳の女性の50人に1人、18歳だと64人に1人の割合で2003年度に人工妊娠中絶をしていたことが2日、厚生労働省の統計で分かった。10代を1歳刻みで集計したのは初めて。10代の中絶率は前年度より微減したが、10年前の約2倍と依然多かった。
 厚労省は10代女性の身体と心を傷つける中絶の減少を母子保健10カ年計画で目指しており「ショッキングな数字。学校や市民団体と協力して性に関する知識の普及啓発をしたい」(母子保健課)としている。この調査は1948年に開始、母体保護法に基づいて都道府県などに届け出があった件数を集計し、01年までは1-12月の年間数、02年度からは年度の数字をまとめている。
 これまで20-40代は5歳刻み、それ以下は「20歳未満」と一括集計してきたが、急増する10代の中絶実態をつかむため初めて15-19歳を年齢別に調査した。03年度の20歳未満の中絶は計4万475件。年齢別では19歳が約1万4600件と最も多く、18歳約1万1100件、17歳約7900件と続き、15歳未満も483件あった。 年齢人口1000人当たりの中絶実施率で見ると、19歳はほぼ50人に1人に当たる19・9で、20代以降で最も高い20-24歳の20・2に匹敵する高率。18歳も15・7で、25-29歳(14・8)や30-34歳(13・3)を上回り、20歳前後に中絶のピークがあった。
 10代全体で見た中絶実施率は93年の6・6から01年の13・0まで急増。その後わずかに減少し、03年度は11・9だった。
 03年度の全年代を通した総件数は、前年度より約9500件減の31万9831件。』

イラクのテロリストもこれを聞いたら驚くだろう.理由はともかく毎年30万人の合法的殺人が日本国内で行われているのだ.きっとAIDS患者もこれに比例して増えることだろう.学問はきらいでもいいから自分の体のことくらいもっと知っていてほしいものだ.

学校でもっときちんと生命や人体について最低限の基本的なことをしっかり教えてもらわなければ病気について説明しても無意味なような気がするのだがどうだろうか.
『--福井副知事:不登校児は「不良品」と暴言 PTA大会で--
 福井県の山本雅俊副知事が10月15日に福井市であった「第60回東海北陸ブロックPTA研究大会」のあいさつで、不登校児を不良品に例える発言をし、西川一誠知事から注意を受けていたことが1日分かった。
 山本副知事は知事代理として出席。自らの企業経験に触れながら、「東海北陸6県の生徒数は120万人で、そのうちの1万4000人は不良品」と述べた。質疑の時間に、怒りを表す出席者もおり、主催の日本PTA全国協議会関係者も不穏当な発言と抗議、山本副知事は「総合的対策が必要との趣旨での例えだったが、不適切だった」などと釈明した。
 発言を巡り、インターネット上の同大会掲示板には「非常識極まりない」「不登校で悩んでいる家族の心をどれほど傷つけたことか」などと非難の声が多く寄せられ、福井県に抗議する関係者もいた。これに対し、西川知事は「説明が十分至らなかったために真意をお伝えできなかったものと思います」などと応え、知事が副知事に口頭で注意した。山本副知事は、デンソー常務や化学会社デュポンの日本法人社長を歴任。行政経験のない民間出身の副知事として昨年8月に就任した。』

人間ひとつのことばかり熱心にやっているとやがて価値観が固定されてしまうものだ。製品をつくる企業ばかりで働くとなんでも品質管理の目で見るようになってしまうものなのだろうか。成長過程にある人間を不良品よばわりするとは恐れ入った。

だが、この手のまちがいは病院でもよくあることだということに気が付つかなければいけないだろう。医師が物を扱うように患者に接するなんていうのも問題だろうが、患者も患者の家族も人間的に扱えと言うわりには自分たちの体が機械を修理するかのように治ると思っている人が意外と多いのに驚かされる。

体も確かに物質で成り立っているのであるが、工業製品のように統一された規格で作られているわけではない。心に個性があるように体にも個性があるのである。同じ薬を使っても治療効果のある人と副作用のほうが強く出る人がいるのである。

そんな当たり前のことが社会保険庁には通じないのである。とにかく治療のコストを下げるためにはみんな同じに治療しろと言わんばかりなのだ。病名が同じでも病態は様々なのが当たり前なのに同じ病名の患者は同じ料金で治せといっているようなものである。これは人を物扱いしていることにはならないのだろうか。

この副知事の話はわかりやすい事例なので社会的な影響はそれほどでもないだろうが、いま医療の現場で進んでいる人を物扱いするような医療の再編は放っておくと見えないところで悪化する恐れがあると思うのだが、それに気が付く一般の人はいったいどれほどいるのだろうか。
台風,地震,そしてまたイラクでの人質事件と続き被害者の方々には深くお悔やみを申し上げます.

ところで,これらに対する政府の対応はどうであったろうか.阪神大震災の教訓は?前回の人質事件で学んだことは生かされたのか?どちらも予想した範囲内の対応で失望した被害者は多いだろう.小泉首相のスタンドプレーもその誠意の無さに地元の人の拍手もまばらだったそうな.この人にとって国際社会からも国民から無視されながら政権をながらえる意味はなんなのだろうか.

権力に固執するのもいいが能力のないものが上に立つと組織は崩壊していくものだ.現に国民健康保険と国民年金は将来に崩壊するのが見えているし,郵便貯金もそのうちどうなるものかわかったものではない.財政破綻を目の前にしてこの災害続きはまさに弱り目に祟り目といった感じだろう.

ところでその新潟であるが新幹線も高速道路もずいぶん壊れたようだ.震度6だとあんなにも壊れるものなのだろうか.壊れついでに工事に問題がなかったのか調査する必要があるのではなかろうか.談合に手抜き工事なんてものがあってもぜんぜん不思議ではないのだからちゃんと調べてもらいたいものだ.

ところで今後もイラクへ旅行に行く若者は現れるのだろうか.好奇心が強いのもいいが,身の程知らずでは得られるものはないだろう.それでもレンタカーで自殺する若者よりはましかも知れない.日本は最近自殺者が増えているようだが,自殺するくらいならイラクで人間の盾にでもなったほうがいいのかもしれない.

ローソンに行ってもマクドナルドに行ってもアルバイトの女性がいるのだが,仕事が遅いのと不正確なのがどうにも気になってしまうのだ.あれで時給は1000円弱くらいなのだろうか.そういえばパートの看護師さんの時給もそれに近いくらい安いらしい.まあ,そういうことであれば多少のミスには目をつぶらなければならないのだろうか.

自分の周りを見回すと政府からコンビニまでいたるところ人材不足のようだ.医師だけが人手不足なのではないということで自分を納得させたところで,また今日の当直を無難に過ごすことを考えるとしよう.
『--監修料問題:厚労相が自主返納--
 厚生労働省と社会保険庁の職員延べ約1500人が補助金絡みの事業などで、99〜03年度に計約10億円の監修料を受け取っていた問題で、尾辻秀久・厚労相は26日、監督責任を取って歳費月額分の20%を12カ月、自主返納することを明らかにした。尾辻厚労相によると、衛藤晟一、西博義の両副厚労相も同額を返納するとしている。』

やっぱり国民はバカだと思っているのだろう.役人が税金を自分たちに還流したのがばれてもお金だけ返せばいいんだろうみたいな姿勢がみえみえなのにはあきれたものだ.

医師の名義貸し問題では名義を借りたほうの病院はそれによる診療報酬以上に返納を迫られたし,名義を貸した医師にもお金を返すだけでなく様々な形でペナルティーを課したのであるが,それは報道されていないからわからないだろう.

しかし,監督官庁である自分たちが利権まみれでこんな汚職まがいのことをやっても個人は処分されないどころか懐に入れた金の一部しか返還しないというのだからその厚顔無恥には恐れ入る.

これだから官僚や公務員は辞められないのだろうね.でも,こんな人たちに監督されるのは真っ平だ.いますぐ厚生労働省は解体してもらいたいものだ.
『--軽度医療は全額本人負担に 財政諮問会議で民間議員 --
 経済財政諮問会議は22日、奥田碩日本経団連会長ら民間議員が介護と公的医療について、軽度医療は全額本人負担とするなど給付費の伸びを国内総生産(GDP)の伸び率以下に抑制すべきだ、などとする意見書を提出、今後予定されている介護保険、医療制度改革に反映させることを求めた。
 意見書では、マクロ経済に合わせて給付を抑制した年金制度改革と同様の仕組みを導入する必要性を指摘。給付計画は、厚労省が5年ごとに策定し、政府は、経済財政政策の中期指針「構造改革と経済財政の中期展望」などで、この給付計画を財政収支や潜在的国民負担率目標とのバランスを図らなければならない、としている。このほか(1)中央社会保険医療協議会の決定プロセスを改革する(2)介護保険の被保険者を安易に拡大しない-なども提案している。竹中平蔵経済財政担当相は終了後の記者会見で、「社会保障給付費の総額管理が必要との意見が多かった」と総括した上で、「社会保障の一体的見直しにはスピード感が必要だ。年内に論点を整理し、来年の骨太方針に取り組みを明示したい」との方針を表明した。』

医療の現場から言わせてもらうと病院にかからなくてもいい人をまず医療保険の対象からはずすべきであろう。

脳外科でいえば投薬で改善するような頭痛は偏頭痛で高価な薬が必要な患者さん以外はすべて自己負担でいいだろうし、脳梗塞が心配なので頭の検査をしたいとか、検査をしたが異常がなかった人はすべて自己負担でいいだろう。

外来をやっていて思うことは病院にかかる必要のない人が半分以上だということだ。これをすべて健康保険でまかなうから財源不足になるのだろう。

一方で本当に病気だった場合は1割負担でも大変な場合があるのだから自己負担の上限をもっと低く設定したり、保険会社の疾病保険で医療費と家族の生活費まで出るのが本当だろう。

生活保護者の医療扶助も考え直すべきだろう、病院にかかる必要のない人がやはり半分くらいだろう。パチンコに通い、酒やタバコをのみながら病院にかかる生活保護者っていったいなんなのだろうか。そんな人たちの分まで税金を払ってやる必要はないだろう。

本当に救済の必要な患者さんには手厚く、そうでない人には自己負担でというように効率的な援助の分配を是非行ってほしいものだ。
『−−介護保険料:自己負担増え、サービス低下 給付費抑制へ地ならし−−厚労省が試算
 厚生労働省が21日、65歳以上の高齢者について示した介護保険料の将来試算は、給付費の抑制を盛り込む05年の制度改正に向けた環境整備が主な狙いだ。しかし、介護保険は2000年度にスタートしたばかりなのに、なぜ急激に保険料が上昇するのかといった疑問に答えるものではなく、国民への説明は十分とは言えない。 介護給付費は00年度の3・6兆円から03年度は5・7兆円と急増。それだけ社会全体で高齢者介護を支えるようになったとは言えるが、一方で同保険の理念の「規制緩和、民間参入」が想定以上に給付費を押し上げている側面もある。
 制度発足直後、介護分野の営利法人は約1万だったが、今年は約2万5000に増加した。営利法人が需要を「発掘」、給付費増に跳ね返る結果となった。同省幹部は「民間参入の理念は間違っていないが、給付増の一因というジレンマはある」と誤算を認める。
 軽度の要介護者は、ヘルパーに料理などの家事援助を頼むだけの人が多い。厚労省はこれが「本人の身体機能低下」→「一層の給付費増」との悪循環を招いているとみて、家事援助の大幅制限に乗り出すことにした。代わりに介護予防事業を導入、軽度の要介護者に筋力トレーニングや食べ物をかむ機能の維持といった訓練費用を保険から給付し、重度化を防ぐ。 さらに、「費用のかさむ施設介護から安い在宅介護へ」の流れを促進するために、現在は最大9割が保険給付される施設入所者の居住費(家賃、光熱水費)と食費を全額自己負担とする。特別養護老人ホームの4人部屋入居者(モデル)の場合、自己負担は現在月額5万6000円だが、8万7000円になる。同省は要介護認定者の施設利用割合を現在の41%から10年後に37%以下に抑える考え。
 ただ、こうした対応に、福祉施設関係者からは「効率の悪い公立施設も運営できる高い介護報酬設定の見直しなど、先にやるべきことはある」との批判も出ている。
 一方、試算では現行制度のままのケース(1)で、現在5・7兆円の給付費総額は12〜14年度に10・6兆円に膨らむが、制度改正により重度の要介護者になる割合が10%減少と想定したケース(2)では8・7兆円に抑えられるという。
 また、介護保険料の制度改正による圧縮効果は1000円強。ただ、保険料は市町村が設定しているため、地域格差がある。施設給付の割合が高い上位30市町村(現在3700円)の場合、12年度の保険料は6600円になる見込みだが、ケース(2)では5400円になる。逆に下位30市町村(同2600円)は現行のままなら4800円、改正により4100円になるという。』

病院に社会的入院という形で入院していた要介護者を病院から引き離し健康保険の負担を減らしたかったのだろうが,今度は介護保険の破綻が見えてきたようだ.

病院よりも民間業者のほうが他に患者がいない分だけ利益追求するのは当たり前で,同じサービス当りでは費用はかえって増大したに違いないし,医師や看護師が常駐している病院にいるよりサービスが低下することも予想できていたはずである.

結局は健康保険の費用の減少より介護保険料の増大が上回り国民の負担は増えて要介護者へのサービスは低下したというのが本当のところだろう.

病院から要介護者がいなくなって医師としては負担が減ったが,病院経営上は定常的な収入源であった社会的入院患者が減り,平均在院日数の縛りが増えて経営は厳しくなったわけである.

健康保険の自己負担も増えて,さらに介護保険料がアップしたのでは納得できないが,今後の介護保険はさらに給付費の抑制と施設利用の抑制と続いていき,まだまだ高くてまずいサービスになっていくようである.

病院側も今後は本来の医療費を上げてもらうか,医療の質を落とすかしなければ経営は成り立たないだろう.この場合の医療の質とは必要のない検査や手術を増やすということも含まれる.

週刊誌などでは手術の多い病院ほどいい病院みたいなことも書いてあるが,本来手術をしなくていいものを手術しても悪くなるはずもないから手術成績はいいはずだし,やったほうが明らかに病院の経営にいいわけだから,手術が多いからいい病院だなんて思っていても実はあてにはならないものだということを忘れないほうがいいだろう.

たとえば脳神経外科にしても雑誌に書いてある病院で私がおすすめしたい病院なんて本当にわずかしかない.だからマスコミの情報なんて信用しているとひどい目にあうのだろうが,事故の時には大きくて有名な病院のほうが慰謝料はたくさん払ってくれそうなのでそういう選択の仕方もあるのかも知れない.

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